最近どのような人事評価制度が良いものなのか考えている。どういうシステムが良いかを考えるためには、まずは人事評価制度はどういう目的で行われるのかを考える必要があると思い、まずは人事評価制度は何なのかについて自分なりに考えてみたいと思う。
今のところいくつかの本を読んで、自分の意見をまとめているという段階なので、中身の正確さは保証できない。間違っているところなどあれば指摘してもらえると。
人事評価制度の目的は何か
「そうか、君は課長になったのか。」「マネジメントとは何か」「1分間マネジャーシリーズ」など、いくつかの書籍を読んだ所、人事評価制度はマネジメントという文脈で非常に重要なポジションであることが見てとれた。
これらの書籍を見る限り、以下の様なものが人事評価制度の目的となるのではないかと考えている。
- 報酬による外的モチベーションの管理
- 社員教育の促進
- 会社の方向性を社員に伝搬させる
報酬によるモチベーションの管理
人事評価制度と聞くと真っ先に目的として浮かぶのが、報酬を適切に決めるための仕組みというもの。なぜ報酬を適切に決めないといけないかというと、社員の業績や努力と報酬が適切に結びつけることで、モチベーションを向上させることができるためだ*1。
つまり、頑張れば頑張るほど評価されるという仕組みがあることによるモチベーション管理が、評価システムの一つの目的ではないかと考えている。
この目的を満たすためには、以下の様な要素が求められそう。
- 努力や業績とは何かを規定できている
- 努力や業績が、評価軸によって報酬と明確に対応していて、それが社員に伝わっている
社員教育の促進
人事評価制度の目的の一つとして、社員教育を促進するというのもありうる。
評価制度には評価軸というものがある。評価軸が適切に報酬に結びついているとすると、社員はそれから何を頑張ればよいかという方向性を知ることが出来る。
社内でこの職種がこのくらいの時期にあるべき姿を規定できていて、それが評価軸に反映されれば、社員はそれを短期的な自分の目標とすることが出来る。目標が決まれば、自分自身が何をすればよいかが明確になるので、それに向けて学習するなどのことができる。
また評価軸に対して、適切に評価点を付けてフィードバックすることにより、当人に今自分は何が会社から評価されているか、逆に何が課題なのかを適切に伝えることが出来る。これにより、当人の強みや課題を明確にすることができるので、それも教育に活かせる。
このような教育的な側面を担保するためには、例えば以下の様な要素が求められそうだ。
- 会社として、どのような人材になって欲しいかが明確である
- なって欲しい人材像が適切に評価軸に反映されている
- 評価軸での評価が適切に被評価者にフィードバックされる
最近見た記事の中では、ペパボや糸井重里事務所とかがどのような人材になって欲しいか明確になってるなーと思ったので、参考にしたい。
http://blog.kentarok.org/entry/2014/04/27/220231
東京糸井重里事務所の経理チームと総務人事チームが乗組員を募集します- ほぼ日刊イトイ新聞
会社の方向性を社員に伝搬させる
評価制度は、会社の方向性を社員に伝搬させるための仕組みにもなりうる。
「爆速経営 新生ヤフーの500日」によると、Yahooは会社をモバイルの方向に転換させるために、まず評価軸としてモバイルに関するものを作っている。他にも極端な例だけどぐるなびが会社のビジネスモデルを方向転換させるために、全員をヒラ社員に戻して、新しい指標で評価するといったことをしていたりする。
評価軸は報酬ともつながってくるはずなので、このように評価軸を調整することで、会社の方向性を社員レベルに伝搬させることも出来る。技術の会社にしたければ技術方面に評価軸を調整することもできるし、今期は売上を重要視したいならそのあたりの評価軸を調整するということも出来る。
この側面のためには、例えば以下の様な要素が求められそうである。
- 会社として、どのような方向に行きたいかが明確である
- 会社の方向性が評価軸に適切に反映されている
- 評価軸と報酬の関係が明確であり、評価軸が重要であると社員に伝わっている
まとめ
評価制度は単に報酬を決めるためと思われがちだと思う。だけど、会社がある程度以上の規模になってきたときには教育やメッセージの目的もあるように感じる。
今のところいくつかの本を参考に目的を考えてみただけなので、他の目的もありそうに思える。もう少し知識を深めて、どのように評価制度を利用できるか考えてみたい。
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*1:もちろんこれはモチベーションの一側面でしかなく、報酬を渡せばモチベーションが上がるという単純なものではない