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クラスター株式会社のソフトウェアエンジニアです。エンジニアリングや読書などについて書いています。

仕事の価値と責任範囲を伝え、任せる - 「1分間モチベーション」を読んだ

最近はマネジメントにおけるモチベーション管理について学習を深めている。その一環として1分間モチベーションを読んだ。

1分間モチベーション

1分間モチベーション

  • パンローリング株式会社
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この本はメンバーに良い仕事をしてもらうために、どのようにモチベーションを管理していくかについて書かれている。おおまかに3つのことを説明していて、以下のトピックについて学ぶことができる。

  • やりがいがある仕事をするにはどうすればよいか
  • メンバーが自己管理をしながら目標を達成するにはどうすればよいか
  • モチベーションを鼓舞するような声援(援助)の方法はなにか


この本を読むと、なぜ目標設定が必要なのか、仕事をどのようにして任せるほうが良いのかなどのことが分かってくるので、非常に参考になった。新しくマネジャーになり、仕事をメンバーに任せるということを初めてするような人には非常におすすめな本だと思う。


今回は次のことが興味深かったのでブログに書いてみる。

  • 仕事そのものではなく、仕事がどのように社会に役立っているかを理解する
  • 仕事の範囲を明確に定める

仕事そのものではなく、仕事がどのように社会に役立っているかを理解する

この本の中でやりがいのある仕事とは何かについて言及している章があるのだけれど、やりがいのある仕事をしてもらうための一条件として、「仕事そのものではなく、仕事がどのように社会に役立っているかを理解する」というものが書いてあった。


これがなぜやりがいに繋がるのかというのかは、 2007-10-23 に書かれているお茶くみの例が極端だけれど分かりやすい。お茶くみという仕事をまずやっておいてと、仕事内容を伝えるだけではほとんどの人がやりがいを感じることが出来ない。しかし、「お茶くみという仕事は顧客へのファーストインプレッションであり、その印象が良くなれば社内で提供している価値をこの顧客に提供でき、社会に役立つことができる」のように、お茶汲みという仕事が社会貢献や会社貢献にどのように寄与するか伝えると、仕事内容を伝えるだけの時と比べてやりがいを感じさせることができる、というような話。

仕事を任せる時、よくあることとして、その意図や理由を伝えずにこういう作業をやって欲しいとお願いするだけに留まってしまうことがある。例えばwebの仕事だと、analyticsのタグを入れておいてとか、こういう新機能を作りたいんだけど、というもの。しかしそうではなくて、計測することで更にたくさんの人に価値を提供させる戦略を考えたいからタグを入れたいとか、こういうターゲットに対してのこの課題を解決したいからこういう機能を作りたいとか、その仕事がどのような価値を持っているかを伝えるだけでも全然仕事に対する受け取られ方が違う。


これらのことから「仕事がどのように社会に貢献できるか」ということをきちんと説明していくということを心がけないといけないと感じた。

仕事の範囲を明確に定める

この本の中に、メンバーに自己管理をしながら目標を達成してもらうためには、「仕事の範囲を明確に定める」ということが必要なものの一つであると書かれていた。


最近の失敗例として、メンバーにこの仕事で自分がサービスの導線の設計までして良いとは思っていなかったと言われたことがある。これは明確に仕事の範囲を伝えてなかったために、メンバーが迷いながら仕事をしてしまった典型例だと思う。
その後、範囲を明確にしなかったことに反省し、ここまでは任せるけど、このレイヤーの判断が出てきたら相談して欲しいと伝えた。そうすると、非常に良いパフォーマンスで仕事をしてもらえ、自主的に調整などを行い、しかも良い成果も返ってきた。


どこまでやってよいか迷いながら仕事をしていると、最大のパフォーマンスを出すことも出来ないし、メンバーに主体的にリードを取ってもらうことも出来ない。このことからタスクを任せるときは必ず仕事の範囲を明確に定め、どこまではやって良いが、ここまで言ったら相談、などきちんと線引しながらタスクを任せていこうと感じた。

まとめ

これらのことから、仕事を任せるときは、

  • 仕事の価値とは何か
  • 担当者の仕事の責任範囲はどこか

をきちんと定めてから、仕事を任せることが重要と感じた。

今回は1分間モチベーションを読んで、人のモチベーションの源泉などについて学んだ。200ページくらいの本で物語風に書かれている割に、非常によくまとまっているのでおすすめ。

1分間モチベーション

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マネジメントについて学習していると、仕事の任せ方や目標の決め方、仕事の範囲の決め方によって、明確にメンバーのパフォーマンスが変わることが分かってくる。また現在ディレクターをして実践していくと、実際に実感も湧いてきている。

上司になった時に、部下が思うように動いてくれない、部下が優秀でないなど嘆くのは簡単である。けれどその前に動いてくれないのは自分の任せ方に原因があるのではないかなど自問自答し、自分のやり方を改善するということに出来るだけ心がけていくほうが健全であると感じる。ありがたいことにマネジメントという学問があり、マネジャーという職能があるおかげで、様々な本や資料がそのあたりにたくさんあるので、そこから今後も学んでいきたいと感じる。

この本を読んで、モチベーション管理を行っていくにはさらに目標管理やコーチングなどマネジメントに関する知識を深めていく必要があると感じた。そのため続いて以下のような本を読んでいきたいと思う。