先日のEM Lounge(2026年5月)のLean Coffeeで、「仕事でモヤモヤしていることがあった時、EMだとなかなか良い相談相手・愚痴相手がいない。どう解消すると良いか」という話になった。問題そのものの解決ではなく、自分でモヤモヤを解消する方法ってあるんだろうかという話だ。そこで自分がやっていることとして「5コラム法」を紹介したら、思ったより興味を持ってくれる人が多かった。なのでブログにも書いておく。
5コラム法は、出来事への「事実」「認知」「感情」を書き出して感情を整える方法
5コラム法は、認知行動療法の「コラム法」と呼ばれる手法のひとつ。
認知行動療法のベースにあるのは、「出来事そのものではなく、その出来事をどう受け取ったか(認知)が感情を生んでいる」という考え方だ。同じ出来事でも、受け取り方次第で落ち込むこともあれば、まったく気にならないこともある。だったらその受け取り方を一度書き出して眺めてみよう、というのがコラム法だ。
書く欄(コラム)の数で3コラム・5コラム・7コラムなどの種類があり、自分は「他の考えを探す」というステップが好きで5コラムを使っている。手法自体の詳しい説明はコラム法とは?やり方やワークシート、認知行動療法の理論、実践アプリをご紹介が分かりやすいので、興味があればそちらを見てほしい。
自分が使っているテンプレートと、よく使う感情のリスト
自分は次のテンプレートを使っている。モヤモヤした時に、上から順に埋めていくだけだ。
## YYYY/MM/DD * 気分が落ち込んだ出来事 * その時に起こった感情と強さ * その時心を占めた考え * それ以外の可能性のある考え方 * 感情の変化と強さ
感情の強さは10段階で、「不安7、怒り5」のように書いている。
地味に難しいのが、自分の気持ちにうまく名前をつけることだ。モヤモヤしている時は、その気持ちが何なのか自分でもよく分からない。そこで、感情に名前をつける手助けとして、よく使う感情を一覧にしている。
- ネガティブ: 憂鬱、不安、怒り、罪悪感、恥、悲しい、困惑、怯え、苛立ち、心配、無我夢中、パニック、不満、神経質、うんざり、嫌悪感、失望、激怒、怖い、焦り、屈辱感、せつない、無力感
- ポジティブ: 楽しい、楽天的な、穏やかな、やる気のある、リラックスした、安心、愛情、誇り、興奮、快い
このリストはNVC(非暴力コミュニケーション)の感情リストから、自分がよく使うものをピックアップして作った。ネガティブとポジティブで分けてあるのは、その方が探しやすいからだ。最初の「その時に起こった感情」はだいたいネガティブ側から選び、最後の「感情の変化」では落ち着いてポジティブ側の言葉も出てくる、という使い方をしている。
例:廊下で挨拶を返されなかった時
簡単な例で書いてみる。
廊下ですれ違いざまに同僚に挨拶したのに、相手が挨拶を返してくれなかった、という出来事があったとする。これを5コラム法で書くとこうなる。
## 2026/05/24 * 気分が落ち込んだ出来事 * 廊下ですれ違いざまに挨拶したのに、同僚が挨拶を返してくれなかった * その時に起こった感情と強さ * 不安 7 / 悲しい 5 / 苛立ち 3 * その時心を占めた考え * 「自分、何か嫌われるようなことをしたかな」 * 「無視された。軽く見られてるのかも」 * それ以外の可能性のある考え方 * 考え事をしていて、単に気づかなかっただけかもしれない * 急いでいた / 体調が悪かったのかもしれない * 自分も気づかず、誰かの挨拶を返せていない時がある * 感情の変化と強さ * 不安 3 / 悲しい 2 / 安心 2
ポイントは「それ以外の可能性のある考え方」だ。最初は「嫌われたかも」と決めつけて不安になっていたが、冷静に他の可能性を並べてみると、別に自分のせいとは限らないなと思えてくる。そうすると最後の「感情の変化」では、不安がだいぶ下がっている。
続けて感じている3つの効果
自分が感じている効果は大きく3つある。
1つ目は、モヤモヤを言語化できることだ。「なんかモヤモヤする」「イライラする」という曖昧なものを、実際に自分が何を感じ、何を考えていたのかという具体的な言葉に落とせる。不思議だけど、言語化できた時点でスッとモヤモヤが晴れることも多い。
2つ目は、別の解釈を考えることで、その場の感情を自分で動かせることだ。「それ以外の可能性のある考え方」を書く作業は、一旦立ち止まって、感情に至った認知を見つめることができる。見つめ直すと極端に認知しすぎたなと気づくこともあり、その段階でモヤモヤが解消できることがある。
3つ目は、自分の思考の癖が見えてくることだ。続けていると「自分はこういう時にいつも不安に感じやすいな」といったパターンに気づく。そして、振り返ってみるとそれが事実ではなく単なる自分の癖と分かることがある。癖だと分かると、そこからもう少しバランスを取れるように癖を改善していくことができる。別解釈を考えることそのものも、改善のためになっていると思う。
まとめ
5コラム法は、嫌なことがあった時に、自分ひとりで手軽にできるモヤモヤの対処法だ。紙でもメモアプリでも、テンプレートさえあればすぐ始められるので、仕事でモヤモヤしがちな人は一度試してみてほしい。
ただし、メンタルの落ち込みがひどい場合、そもそも自分で解消しようと考えない方がいいので、そういう場合は医療機関やカウンセラーなど専門家に相談すると良いと思う。
参考リンク
- コラム法とは?やり方やワークシート
- NVC(非暴力コミュニケーション)の感情リスト
- うつ病の認知療法・認知行動療法(患者さんのための資料)
- 認知行動療法のベースとなる知識を知りたい時の参考
認知行動療法の本


