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クラスター株式会社のソフトウェアエンジニアです。エンジニアリングや読書などについて書いています。

「DMM.comを支えるデータ駆動戦略」読んだ

データ分析を学びたいシリーズとして読んだ。

この本はプロダクト作りにおけるKPI分解から施策決定、施策振り返りから次の施策へ活かすなどのリーンおよびアジャイルな開発の一連の流れをデータ中心に教えてくれる。ちょうど正しいものを正しくつくるをもうちょっとデータ寄りにした本のイメージ。

個人的にはKPI分解をどのようにやっていくかの流れや、仮説検証の流れが具体的に示されていたことが非常に参考になった。

データ分析学びたいシリーズ

読書ノート

- 「データ駆動」な戦略を立案して実現するのに、一番大事なのは強固な組織体制 7
- データ駆動戦略を用いたプロダクト開発の進め方の全体像 17 ⭐️
    - 1. 事業を数値モデルとして理解する
    - 2. 事業構造をKPIで表現し、予測可能性を作る
    - 3. KPIから見えた課題に対して施策を当てていく
    - 4. 仮説検証サイクルによって学習が生まれる
    - 5. 仮説検証サイクルを高速に合理的に回す
    - 大きく、事業をどうつくるかを捉える部分と、何をどのように作るかの部分 33
- KGI/CSF/KPIによって事業構造を数値モデル化する 23
- 施策を実施するときは、その施策が直接的にターゲットとするKPIだけではなくて、他のKPIをみるべきである。そのために事業構造を数値モデルとして表しておくと良い 31 ⭐️
    - 流入を増やす施策をしたら、思った以上に継続率が下がってた的な
- 操作可能変数 68
- ユーザー単位のユニットエコノミクスによって事業の健全さを把握する 70
    - LTV > CAC(顧客獲得コスト)なら黒字
    - ユニットエコノミクス = LTV / CAC > 3 && コストに対する利益が出るまでの「回収期間が6~12ヶ月」であれば健全な事業であるという指標
    - LTV = ARPA / Churn Rate
        - ARPA = 売上 / アカウント数
        - Churn Rate = 退会数 / アカウント数
    - CAC = 新規獲得コスト / 新規獲得数
    - 改修期間=Playback Period = CAC / ARPA
- 施策実施時に、施策による定量的な効果の予測をしておくことで、リリース後の実測値との差分を測り、そこから学習をできる 74
- どこまで事前に計画すべきかをDMMでは以下にしている ⭐️
    - 問いたい仮説は何か
    - 改善したいKPIは何か
    - そこから何を学習したいか
    - 失敗がコントロールできているか(施策失敗の時の売上などの影響。A/Bテスト20%にしておくと失敗時のコントロールがしやすいなど)
- A/Bテストをする前に必ず行うべきことは既存2パターンを用意して正しいデータを取れていることを確認する、AAテスト 109
- MVPによる実験手法 111
    - 気づき: 基本は開発コストを最小化して必要なものを作る手段
    - カスタマーリサーチ型(顧客調査)
        - ワイヤーフレームやスケッチなどを用意してユーザーに見せニーズを探る
        - メリット: アイディアをすぐに試せる、目に見える形で共有理解が生まれる
        - デメリット: 情報の幅が限定的になるため複雑な仮説の検証は難しい
    - スモークテスト型(プレオーダー、サービス紹介ビデオ)
        - カスタマーリサーチより広く市場に問いかけられる、事前登録でリアルなユーザーのニーズが把握可能、収益の目処が立ちやすい
    - オズの魔法使い型(一部手作業)
        - ユーザーから見ると実際のプロダクトと変わりがなく、解像度が高い状態で仮説検証可能
        - このまま事業拡大は難しいので適用範囲は限定的
    - コンシェルジュ型(全手作業)
        - オズの魔法使い型のさらに手作業版
        - 作業の多さによってはサンプル数が不足する可能性がある
    - プロトタイプ型(動くソフトウェア)
- 仮説に必要な情報は、学習結果・仮説・施策・実施・計測の5ポイント 153
- 仮説検証のステップはBMLループの逆回しにする 154
    - 計画ループ
        - (1) 仮説を考える。どんな確証を得たいか、なぜ知りたいかをしっかり定める
        - (2) 必要なデータの形は何か、どう計測するかを考える
        - (3) どう作るか考える。仮説が検証できる機能をどう作るか、検証方法はどうするか
    - 実行ループ
        - (1) MVPを実装する
        - (2) 計測してデータを作る。検証結果がわかるデータを可視化する
        - (3) 結果から学習して次の仮説を考える
- バリューストリームマップは最初は一人で始める 185
    - 関係者を集めて作るのが一番良いが、全員を数時間拘束は大変なため
    - 可視化して伝えるだけでも効果的
- データアナリストと事業改善プロセス 334 ⭐️
    - データアナリストとして貢献できるポイント
        - 現状分析:事業モデルの定義。KPIモデルの分解および目標値の設定と現状の差分
        - 課題分析:その数値が上がらない課題の掘り下げ。ファネルの中のボトルネック分析など
        - 施策提案:データ分析から施策提案
            - エビデンス付きで施策の提案をする
        - 効果検証:施策の結果がどうなったか
            - 施策の結果の定量的な改善結果を示す。失敗した場合も改善の知見を得られるようにする
- サイロ化を防ぐレポートテンプレ 340
    - サマリ、重要KPI状況、トピック=施策の目的進捗結果、中長期のOKR、今後のマイルストーン、所感
- ダッシュボードを作る 358 ⭐️
    - KPIダッシュボード:KPIツリーをもとに作った、全施策のベースとなるダッシュボード
    - 施策ダッシュボードに記載したい
        - 仮説は何か
        - 改善指標は何か
            - 気づき:ベースとなるKPIのどこに注力していて、中間指標はどれで、どこに悪影響を与えうるかみたいなのを可視化すると良さそう
        - そこから学習したいことは何か