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クラスター株式会社のソフトウェアエンジニアです。エンジニアリングや読書などについて書いています。

「10分の面談で部下を伸ばす法」を読んだ

面談の技術を知っておきたくて、10分の面談で部下を伸ばす法を読んだ。

この本は面談を成功させるポイントを

  • 問題解決力
  • 傾聴力
  • 動機づけする力
  • 信念

とした上で、それぞれのポイントに対して3つずつ例を出して、悪い面談良い面談を比較して、面談のポイントを解説してくれる。

読んだのだけど、正直さらっとしすぎていてあんまり頭に入ってこなかった。もうちょっと単なる例にとどまらず理論的なポイントを抑えておいて欲しかったというイメージ。

面談はマネジメントにおいてのツールにすぎず、マネジメントの概念をわかった上で面談のやり方は自分で考えていけばよいかという気持ちになってきたので、面談について書かれている本はこれ以上読まなくてよいかと思った。どちらかというと伝える力とか聞く力みたいなことについて言及されている本を読むと良いのかなと思った。

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マネジャーの仕事のエッセンスが学べる「そうか、君は課長になったのか。」を読んだ

マネジメントシリーズとして、「そうか、君は課長になったのか。」を読んだ。

この本は課長になった部下に対して、以前の上司が課長の仕事とは何かについてお手紙を送るという形式で書かれている。非常に平易な文章で180ページくらいの本なのだけれど、マネジャーがやるべき仕事のエッセンスがある程度書かれており、仕事の価値を伝える重要性、目標設定の重要性、コーチングの技術、真摯さの必要性など、マネジャーに必須な概念を勉強することができる。マネジャーを3ヶ月くらい体験すると、この本をあーあるあると思いながら読めるので、その時期に読むのが最適だと感じた。

この本のなかで、印象に残ったのは以下の二点。今回はこれについて書こうと思う。

  • 現状を把握するために、真っ先にすべての部下と面談する
  • 評価は指導のためのもの

現状を把握するために、真っ先にすべての部下と面談する

この本の中で、まず課長になった場合はその課の現状を把握することが必要だと書かれている。

着任後、君が真っ先にやらなくてはならないのは、
・課としてなすべき重要な課題や緊急テーマ
・課を構成する部下の業務分担、能力、モチベーション、メンタルヘルス、家族状況
・上司(部長)の存在感
など、担当課を取り巻く現状を把握することです。

また現状を把握するにしても、きちんと「事実」を把握しなければならないと書かれている。そのためには前任者の引き継ぎを鵜呑みにしてはならないと書かれている。さらに「事実」というのは厄介であると言及されていて、例えば「こういうことがこの課ではある」と言っている場合でも、それは実際には「事実」ではなく、本人の主観に基づいた「解釈」である可能性があるとのこと。

これらから、現状の「事実」を把握するためには、全員と面談し一次情報として課の現状を聞き出し、かつ相手の言っている「事実」を揺さぶることにより、本当の「事実」を洗い出すことが重要であると書かれていた。


この話は実体験として最近体験したので、非常に良い話を言っていると感じた。先週辺りにいろいろなモチベーションの源泉を勉強するために、チームメンバー全員と面談するということがあったのだけれど、その結果チームの現状を把握できたり、それぞれの人の能力やモチベーション、興味などが把握することが出来た。これらを把握できた時に、それぞれの人の仕事の任せ方などが急に見えてきて、それまでよりいきなり仕事がしやすくなるという経験をした。

以上のことから、もし自分がマネジャーとなるチームが変わった時は、その時その時毎回一度面談するというのはしてみると良いと感じた。

評価は指導のためのもの

この本の中に以下のようなことが書いてあり、評価に関するこの視点全くなかったので、非常に勉強になった。

人事評価は本来、給与・処遇の差をつけるために行うものではありません。そうではなく、部下の現状を正しく評価することによって、これから身に付けなければならない能力・技術・人間力について自覚させるとともに、君が上司として指導するためのものです。

確かにマネジャーの仕事の一つとして、チームメンバーを育成するというものがある。チームメンバーの育成の方法も難しいのだけれど、少なくともその人の現状を把握できていない限り、どこを伸ばせばよいかなどの判断すらできない。

マネジャーになる前は、評価期間が始まると面倒だなーと思っていたけれど、育成という観点において重要な意味合いがあると捉え直すと、評価をするというのは大事な役割を担っており、マネジャーになってからはここにも力を入れる必要があると感じた。

まとめ

今回は「そうか、君は課長になったのか。」を読んで、気になった部分である面談の部分と評価の部分に関して少し深堀りして書いてみた。

チームを率いる立場になると、考えることが多く、かつ何をするべきか優先度を付けられなくなることがある。そんな時に課長の仕事とは何かについて書かれているこの本を読んでみると、そもそも会社として仕組みに組み込まれている面談や評価などについての知見を得ることができる。

マネジャーになりたての頃は何をすべきかわからず非常に苦労するとは思うが、結局はマネジャーの仕事もこれまで理論により体系だてられている。今回の本はその体系の中のエッセンスを非常に平易な言葉でまとめてある。何をすべきかわからないという漠然とした不安感を拭えるので、そのような不安感を抱えているとしたら読んでみると良いと思う。

面談についてもう少し知見を得たいと考えているので続いて面談についての本も読んでいきたいと思っている。

またもう少し自分の中でマネジメントを体系だてたいと思っているので以下の本を順に読んでいきたい。

仕事の価値と責任範囲を伝え、任せる - 「1分間モチベーション」を読んだ

最近はマネジメントにおけるモチベーション管理について学習を深めている。その一環として1分間モチベーションを読んだ。

1分間モチベーション

1分間モチベーション

  • パンローリング株式会社
Amazon

この本はメンバーに良い仕事をしてもらうために、どのようにモチベーションを管理していくかについて書かれている。おおまかに3つのことを説明していて、以下のトピックについて学ぶことができる。

  • やりがいがある仕事をするにはどうすればよいか
  • メンバーが自己管理をしながら目標を達成するにはどうすればよいか
  • モチベーションを鼓舞するような声援(援助)の方法はなにか


この本を読むと、なぜ目標設定が必要なのか、仕事をどのようにして任せるほうが良いのかなどのことが分かってくるので、非常に参考になった。新しくマネジャーになり、仕事をメンバーに任せるということを初めてするような人には非常におすすめな本だと思う。


今回は次のことが興味深かったのでブログに書いてみる。

  • 仕事そのものではなく、仕事がどのように社会に役立っているかを理解する
  • 仕事の範囲を明確に定める

仕事そのものではなく、仕事がどのように社会に役立っているかを理解する

この本の中でやりがいのある仕事とは何かについて言及している章があるのだけれど、やりがいのある仕事をしてもらうための一条件として、「仕事そのものではなく、仕事がどのように社会に役立っているかを理解する」というものが書いてあった。


これがなぜやりがいに繋がるのかというのかは、 2007-10-23 に書かれているお茶くみの例が極端だけれど分かりやすい。お茶くみという仕事をまずやっておいてと、仕事内容を伝えるだけではほとんどの人がやりがいを感じることが出来ない。しかし、「お茶くみという仕事は顧客へのファーストインプレッションであり、その印象が良くなれば社内で提供している価値をこの顧客に提供でき、社会に役立つことができる」のように、お茶汲みという仕事が社会貢献や会社貢献にどのように寄与するか伝えると、仕事内容を伝えるだけの時と比べてやりがいを感じさせることができる、というような話。

仕事を任せる時、よくあることとして、その意図や理由を伝えずにこういう作業をやって欲しいとお願いするだけに留まってしまうことがある。例えばwebの仕事だと、analyticsのタグを入れておいてとか、こういう新機能を作りたいんだけど、というもの。しかしそうではなくて、計測することで更にたくさんの人に価値を提供させる戦略を考えたいからタグを入れたいとか、こういうターゲットに対してのこの課題を解決したいからこういう機能を作りたいとか、その仕事がどのような価値を持っているかを伝えるだけでも全然仕事に対する受け取られ方が違う。


これらのことから「仕事がどのように社会に貢献できるか」ということをきちんと説明していくということを心がけないといけないと感じた。

仕事の範囲を明確に定める

この本の中に、メンバーに自己管理をしながら目標を達成してもらうためには、「仕事の範囲を明確に定める」ということが必要なものの一つであると書かれていた。


最近の失敗例として、メンバーにこの仕事で自分がサービスの導線の設計までして良いとは思っていなかったと言われたことがある。これは明確に仕事の範囲を伝えてなかったために、メンバーが迷いながら仕事をしてしまった典型例だと思う。
その後、範囲を明確にしなかったことに反省し、ここまでは任せるけど、このレイヤーの判断が出てきたら相談して欲しいと伝えた。そうすると、非常に良いパフォーマンスで仕事をしてもらえ、自主的に調整などを行い、しかも良い成果も返ってきた。


どこまでやってよいか迷いながら仕事をしていると、最大のパフォーマンスを出すことも出来ないし、メンバーに主体的にリードを取ってもらうことも出来ない。このことからタスクを任せるときは必ず仕事の範囲を明確に定め、どこまではやって良いが、ここまで言ったら相談、などきちんと線引しながらタスクを任せていこうと感じた。

まとめ

これらのことから、仕事を任せるときは、

  • 仕事の価値とは何か
  • 担当者の仕事の責任範囲はどこか

をきちんと定めてから、仕事を任せることが重要と感じた。

今回は1分間モチベーションを読んで、人のモチベーションの源泉などについて学んだ。200ページくらいの本で物語風に書かれている割に、非常によくまとまっているのでおすすめ。

1分間モチベーション

1分間モチベーション

  • パンローリング株式会社
Amazon

マネジメントについて学習していると、仕事の任せ方や目標の決め方、仕事の範囲の決め方によって、明確にメンバーのパフォーマンスが変わることが分かってくる。また現在ディレクターをして実践していくと、実際に実感も湧いてきている。

上司になった時に、部下が思うように動いてくれない、部下が優秀でないなど嘆くのは簡単である。けれどその前に動いてくれないのは自分の任せ方に原因があるのではないかなど自問自答し、自分のやり方を改善するということに出来るだけ心がけていくほうが健全であると感じる。ありがたいことにマネジメントという学問があり、マネジャーという職能があるおかげで、様々な本や資料がそのあたりにたくさんあるので、そこから今後も学んでいきたいと感じる。

この本を読んで、モチベーション管理を行っていくにはさらに目標管理やコーチングなどマネジメントに関する知識を深めていく必要があると感じた。そのため続いて以下のような本を読んでいきたいと思う。