マネジメントシリーズとして、「そうか、君は課長になったのか。」を読んだ。
この本は課長になった部下に対して、以前の上司が課長の仕事とは何かについてお手紙を送るという形式で書かれている。非常に平易な文章で180ページくらいの本なのだけれど、マネジャーがやるべき仕事のエッセンスがある程度書かれており、仕事の価値を伝える重要性、目標設定の重要性、コーチングの技術、真摯さの必要性など、マネジャーに必須な概念を勉強することができる。マネジャーを3ヶ月くらい体験すると、この本をあーあるあると思いながら読めるので、その時期に読むのが最適だと感じた。
この本のなかで、印象に残ったのは以下の二点。今回はこれについて書こうと思う。
- 現状を把握するために、真っ先にすべての部下と面談する
- 評価は指導のためのもの
現状を把握するために、真っ先にすべての部下と面談する
この本の中で、まず課長になった場合はその課の現状を把握することが必要だと書かれている。
着任後、君が真っ先にやらなくてはならないのは、
・課としてなすべき重要な課題や緊急テーマ
・課を構成する部下の業務分担、能力、モチベーション、メンタルヘルス、家族状況
・上司(部長)の存在感
など、担当課を取り巻く現状を把握することです。
また現状を把握するにしても、きちんと「事実」を把握しなければならないと書かれている。そのためには前任者の引き継ぎを鵜呑みにしてはならないと書かれている。さらに「事実」というのは厄介であると言及されていて、例えば「こういうことがこの課ではある」と言っている場合でも、それは実際には「事実」ではなく、本人の主観に基づいた「解釈」である可能性があるとのこと。
これらから、現状の「事実」を把握するためには、全員と面談し一次情報として課の現状を聞き出し、かつ相手の言っている「事実」を揺さぶることにより、本当の「事実」を洗い出すことが重要であると書かれていた。
この話は実体験として最近体験したので、非常に良い話を言っていると感じた。先週辺りにいろいろなモチベーションの源泉を勉強するために、チームメンバー全員と面談するということがあったのだけれど、その結果チームの現状を把握できたり、それぞれの人の能力やモチベーション、興味などが把握することが出来た。これらを把握できた時に、それぞれの人の仕事の任せ方などが急に見えてきて、それまでよりいきなり仕事がしやすくなるという経験をした。
以上のことから、もし自分がマネジャーとなるチームが変わった時は、その時その時毎回一度面談するというのはしてみると良いと感じた。
参考情報
評価は指導のためのもの
この本の中に以下のようなことが書いてあり、評価に関するこの視点全くなかったので、非常に勉強になった。
人事評価は本来、給与・処遇の差をつけるために行うものではありません。そうではなく、部下の現状を正しく評価することによって、これから身に付けなければならない能力・技術・人間力について自覚させるとともに、君が上司として指導するためのものです。
確かにマネジャーの仕事の一つとして、チームメンバーを育成するというものがある。チームメンバーの育成の方法も難しいのだけれど、少なくともその人の現状を把握できていない限り、どこを伸ばせばよいかなどの判断すらできない。
マネジャーになる前は、評価期間が始まると面倒だなーと思っていたけれど、育成という観点において重要な意味合いがあると捉え直すと、評価をするというのは大事な役割を担っており、マネジャーになってからはここにも力を入れる必要があると感じた。
まとめ
今回は「そうか、君は課長になったのか。」を読んで、気になった部分である面談の部分と評価の部分に関して少し深堀りして書いてみた。
チームを率いる立場になると、考えることが多く、かつ何をするべきか優先度を付けられなくなることがある。そんな時に課長の仕事とは何かについて書かれているこの本を読んでみると、そもそも会社として仕組みに組み込まれている面談や評価などについての知見を得ることができる。
マネジャーになりたての頃は何をすべきかわからず非常に苦労するとは思うが、結局はマネジャーの仕事もこれまで理論により体系だてられている。今回の本はその体系の中のエッセンスを非常に平易な言葉でまとめてある。何をすべきかわからないという漠然とした不安感を拭えるので、そのような不安感を抱えているとしたら読んでみると良いと思う。
面談についてもう少し知見を得たいと考えているので続いて面談についての本も読んでいきたいと思っている。
またもう少し自分の中でマネジメントを体系だてたいと思っているので以下の本を順に読んでいきたい。