$shibayu36->blog;

クラスター株式会社のソフトウェアエンジニアです。エンジニアリングや読書などについて書いています。

地域No.1工務店の「圧倒的に実践する」経営を読んだ

「建設DX」読んだ - $shibayu36->blog;に引き続き、業界理解として地域No.1工務店の「圧倒的に実践する」経営を読んだ。かなり面白かった。

この本に書いてあることを自分の中で落とし込むと「工務店がいかに自分の顧客に対してカスタマーサクセスを実践していくか」ということだったと思う。自分は建設SaaSに携わる中で工務店の人たちを顧客としてカスタマーサクセスを考える必要があるが、さらにその先の工務店が主体のカスタマーサクセスの片鱗を見れたことは業界への解像度をより高めることに繋がった。

この本の中で印象に残ったところは以下の点だった。

  • 工務店にとっての劇的変化、1.クラウド、2.スマホ、3.チャット
    • クラウドにデータを集め、どこでも仕事できるように
    • お客さんはスマホで情報収集している
    • スピード感のあるコミュニケーションのために顧客ともチャットを利用する
  • 点検などアフターサービスを充実かすることにより、営業せずともお客さんが自らリフォームしたいと相談しやすい接点が生まれる
    • 気付き:カスタマーサクセスによる営業活動というイメージ
    • アフターサービスに不可欠なのが顧客管理
  • 顧客管理の2つの目的
    • 1.将来の優良なリフォーム顧客を大切にし長期存続できるアフター体制を構築する
    • 2.お客さんとの信頼ネットワーク
  • 利益を残すには「標準化」と「平準化」
    • 標準化により良質な材料をリーズナブルに提供する
    • 平準化により、年中通して安定的に職人が仕事ができる状態にする

読書メモ

* 工務店にとっての劇的変化、1.クラウド、2.スマホ、3.チャット 271
    * クラウドにデータを集め、どこでも仕事できるように
    * お客さんはスマホで情報収集している
    * スピード感のあるコミュニケーションのために顧客ともチャットを利用する 359
* 工務店が全力で身につけるべき3つのコツ 377
    * オンライン面談
    * リモート接客
    * 電子契約
* お客様は、1.スマホで情報収集 -> 2.写真口コミで工務店を絞る -> 3.来場する 421
    * このため、スマホで家づくりのことをほとんど勉強できる状態にしておく必要がある
* 点検などアフターサービスを充実かすることにより、営業せずともお客さんが自らリフォームしたいと相談しやすい接点が生まれる 490
    * 気付き:カスタマーサクセスによる営業活動というイメージ
    * アフターサービスに不可欠なのが顧客管理
* 顧客管理の2つの目的 517
    * 1.将来の優良なリフォーム顧客を大切にし長期存続できるアフター体制を構築する
    * 2.お客さんとの信頼ネットワーク
        * 顧客満足度を高めることでお客さんが紹介してくれる
* IT化の前に顧客の整理をする 543
    * 契約顧客、入居顧客、見込み顧客
        * 契約顧客の管理は着工前管理と工程管理の二つのパート 581
    * 顧客管理の徹底度チェックの質問
        * 今月契約日が確定している「契約顧客」の数は?・今月の着工済の現場の数は?・御社の「入居顧客」の数は?(引渡済の累計棟数)・今月来場された「見込顧客」の数は?・今月の初回面談をした営業パーソンベスト3は?・今月の資料請求の数は?・今月の建築確認済の数は?
    * まず着手すべきは契約済のお客様の着工前管理。着工前管理が疎かだと、お客様に工程上の迷惑をかけたり、職人に安定的に工事をしてもらうことができない 586
* 利益を残すには「標準化」と「平準化」 721
    * 標準化により良質な材料をリーズナブルに提供する
    * 平準化により、年中通して安定的に職人が仕事ができる状態にする
* 定期的に自問自答すること 925

「建設DX」読んだ

今回は入社した会社の携わる業界理解ということで、「建設DX デジタルがもたらす建設産業のニューノーマル」を読んだ。

この本からは、建設業がこれから5年ほどで直面する課題や、今後の建設業でのトレンド・新技術について学べた。特に業界課題を把握できたことは、顧客の本当の課題への理解の手助けになると思う。印象に残った or 自分の中の気付きは以下の点。

  • 建設業がデジタル技術を大胆に取り入れなければ解決しない3つの時限爆弾
    • 2024/4以降に建設業にも適用される時間外労働の上限規制
    • 建設技能者(職人)の大量離職問題。14年度に343万人いたが、25年度までに109万人いなくなる
    • 24年ごろからはゼネコンの技術者も一斉定年退職(バブル入社組)
  • 建設業は「単品受注生産」「屋外生産」といった背景から、製造業と比べて生産活動の効率化ができなかった
  • 建設許可業者の大半(60%程度)は零細企業や個人。建設業就業者はピーク時から27%減
  • 気付き:東日本大震災の復興事業、五輪誘致の増加が2021年以降終わりそうだがどうなる?
  • 建設業の労働生産性はこの20年変わっていない
  • 気付き:建設業の最重要テーマとしては生産性向上がある
    • 2024年4月で15%ほど作業時間が減るのをなんとかする必要性
    • 一方で生産性向上だけでは安定的な受注に至らないのではないか?

読書メモ

* 建設業がデジタル技術を大胆に取り入れなければ解決しない3つの時限爆弾 22
    * 2024/4以降に建設業にも適用される時間外労働の上限規制
    * 建設技能者(職人)の大量離職問題。14年度に343万人いたが、25年度までに109万人いなくなる
    * 24年ごろからはゼネコンの技術者も一斉定年退職(バブル入社組)
* 建設業は「単品受注生産」「屋外生産」といった背景から、製造業と比べて生産活動の効率化ができなかった 34
* 建設産業の主なプレーヤー 197
* 建設許可業者の大半(60%程度)は零細企業や個人。建設業就業者はピーク時から27%減 198
* 東日本大震災の復興事業、五輪誘致の増加が2021年以降終わりそうだがどうなる? 198
* 建設業の労働生産性はこの20年変わっていない 199
* 気付き:建設業の工場化という流れがある 432、2499
    * 単品受注生産、屋外生産でも適用できる工場化があれば製造業のように効率化できる
* 気付き:建設業の最重要テーマとしては生産性向上がある 678
    * 2024年4月で15%ほど作業時間が減るのをなんとかする必要性
    * 一方で生産性向上だけでは安定的な受注に至らないのではないか?
* 5Gの「高速・大容量」「低遅延」「同時多数接続」の特徴によって、作業の遠隔化などの期待が高まっている 1003
    * 現場に縛られる働き方を脱却すれば3K(きつい、汚い、危険)のイメージ払拭につながる 1064
* 建設ロボットは、生産性向上以外にも、「苦渋作業」から人を解放する 1166
* 気付き:建築にBIMモデルを生かすことにより、さまざまなツールを使えるようになりそう 1550
    * 自動審査、3Dプリンタ、複合現実
    * BIMモデルのデータは維持管理にも使える。不具合、修繕の記録の蓄積・共有や改修計画の立案など 1757
    * 23年度までに国土交通省が発注するすべての公共工事でBIM/CIM(土木用BIM)を活用する目標を掲げている 1829
* 3Dプリンティングは生産性向上やデジタル化の貢献に期待される 2381
* モジュール化によって、工場で実施する作業が増える。これにより悪天候の影響緩和や、基礎工事との並列化が可能になる 2420
* マッキンゼーが予測する9つの変化 2523
    * 製品ベースでのアプローチ:建築物は標準化された「製品」に
        * 標準化しやすくするためには規模も大事ということが重要。それが統廃合や国際化などが進む
    * 専門特化:高層住宅・病院といった自社が優位性を発揮できるセグメントに特化し始める
    * バリューチェーンの制御と産業サプライチェーンの統合:垂直統合や戦略的提携などによってサプライチェーンの統合に
    * 統廃合
    * 顧客中心主義とブランディング
    * 技術や設備への投資
    * 人材への投資
    * 国際化
    * 持続可能性

「カスタマーサクセスとは何か」読んだ

「カスタマーサクセス」読んだ - $shibayu36->blog;に引き続き、SaaSについて学ぶ第三弾として、カスタマーサクセスとは何か――日本企業にこそ必要な「これからの顧客との付き合い方」を読んだ。

前回の本よりスッと頭に入ってきて、かつ説明されている成功要因と原則が具体的で適用しやすいものだったため、読んで非常に良かった。印象に残ったのは以下の項目。

  • リテンションモデルの勝者の強さの秘訣は「プロダクトを買ってくれたカスタマーが、それをどう使い・どんな成果を得ているのかを深く理解し、カスタマーへ成功を届けることで、カスタマーがそれ無しでは仕事にならない状態にしている」
    • 気付き:重要ポイントが端的に説明されているのが良い
  • 原則1-2:成功を届けられない相手には売らない覚悟と仕組みを持つ
  • 原則2-2:カスタマーがイライラする負荷をなくす
    • エフォートレス(プロダクトでイライラしないこと)はロイヤルティと強く相関するが、感動や満足とロイヤルティの相関はとても弱い
    • エフォート = カスタマーがプロダクトを使うために要した時間やエネルギー
    • エフォートレスな体験を届けることは、オンボーディング以降の育成・支援フェーズ全体を通じて常に非常に重要
    • 気付き:エンジニアリングをしていると使ってみて感動することに意識が向きがちだが、「イライラしない」に目を向けるべきと気づけたのが良かった
  • 原則3:プロダクトチームとサクセスチームがベタベタに連携せよ
    • 原則3-1:プロダクトチームがカスタマーの声に触れる時間をサクセスチーム主導で作る
    • 原則3-2:カスタマーデータからサクセスチームが洞察を抽出しプロダクトチームに渡す
    • 原則3-3:理想的なカスタマーの人物像と成功への道のりを一緒に作る
    • 原則3-4:共有するゴール指標を最低一つ設定して進捗を定期的に確認し合う
    • 気付き:連携が大事ということは分かっていたが、その具体的なやり方について知れたのは大きい
  • 会社を変えるときは、社長が覚悟がないと必ず失敗する
    • 気付き:わかる of わかる。最低でも経営レベルに一人でも覚悟を持つ人がいないとどうにもならない

読書メモ

* リテンションモデルの勝者の強さの秘訣は「プロダクトを買ってくれたカスタマーが、それをどう使い・どんな成果を得ているのかを深く理解し、カスタマーへ成功を届けることで、カスタマーがそれ無しでは仕事にならない状態にしている」 710
* カスタマーサクセスの基本用語 923
* 月のチャーン率2.5%で、5年目末で新規契約で穴埋めできなくなる 949
    * 売上シミュレーション 
    * チャーンを抑制しながら買い増しも促せると、売り上げの成長スピードは大幅に加速
* アップセル、クロスセルが獲得コストがいかに少ないかがわかる 995
* 成功要因1:ライフタイムバリューの最大化 1083
    * 原則1:成功を届けられるカスタマーとの末長い関係に責任を持て
        * カスタマーをファンにし、お客さんが商品を紹介するほどにする 1105
    * 原則1-1:カスタマーの「成功」を正しく理解する 1123
        * 成功 = カスタマーの事業へ実際にもたらされた成果・業績
    * 原則1-2:成功を届けられない相手には売らない覚悟と仕組みを持つ 1165
        * 徹底する仕組みは
            * 売るべき相手と売ってはいけない相手が一目瞭然になる顧客セグメンテーション開発(例:カスタマーの成功に基づく分類、「成功におけるプロダクトの重要性」x「カスタマーの事業規模」に基づく分類)
            * 売ってはいけない相手に「ノー」と言えるスキルトレーニング
            * 正しいカスタマーに売っているかを評価する指標を決め、定期的に測定して経営陣に報告する
    * 原則1-3:成功を届けるまで責任をもって行動する 1188
        * チェック項目。Noがないように
            * 成功が届いたか確認しているか
            * カスタマーに仕事の仕方を変えてもらうのを、カスタマー任せにしていないか
            * 他社サービスと乗り入れてデータ共有する仕組みがある
* 成功要因2:買ってもらってからが勝負 1243
    * 原則2:素早く・負荷なく・漏れなく成功を届けよ
    * カスタマーのライフサイクル
    * 原則2-1:オンボーディングで「ワオ!」を素早く届ける 1329
        * 気付き:顧客がプロダクトで成功を得て驚く体験をなるべく早くすることでリテンションの足がかりにする
    * 原則2-2:カスタマーがイライラする負荷をなくす 1360
        * エフォートレス(プロダクトでイライラしないこと)はロイヤルティと強く相関するが、感動や満足とロイヤルティの相関はとても弱い 1373
        * エフォート = カスタマーがプロダクトを使うために要した時間やエネルギー
        * エフォートレスな体験を届けることは、オンボーディング以降の育成・支援フェーズ全体を通じて常に非常に重要 1423
    * 原則2-3:漏れなく確実に成功を届ける 1423
        * 基準値に基づき成否を判断し、成否に応じて取るべき打ち手・行動をあらかじめ決めて人に依存しないように
* 原則3:プロダクトチームとサクセスチームがベタベタに連携せよ 1447
    * カスタマーへ成功を届けるためには、機能だけでなく「機能と成功の差分」を埋める部分が大事
    * 原則3-1:プロダクトチームがカスタマーの声に触れる時間をサクセスチーム主導で作る 1522
        * サクセスチームが「カスタマーの目利き」をし、プロダクトチームが耳を傾けるべき重要な声を明確にする
    * 原則3-2:カスタマーデータからサクセスチームが洞察を抽出しプロダクトチームに渡す 1547
    * 原則3-3:理想的なカスタマーの人物像と成功への道のりを一緒に作る 1572
        * サクセスチーム・プロダクトチーム合同で
        * やったことがなければ大体それぞれが考える理想的なカスタマーの人物像は大きくずれている
    * 原則3-4:共有するゴール指標を最低一つ設定して進捗を定期的に確認し合う 1585
        * 一般的な共有ゴールの領域 1598
            * 1. アダプション = カスタマーの定着?
            * 2. アウトカム = カスタマーが手にした成果・成功
            * 3. カスタマー体験
* 成功要因4:データからカスタマーの未来を創る 1620
    * 原則4:データの統合・分析に投資し組織全体でデータをフル活用せよ
    * リテンション成長方程式の例 1661
    * 原則4-1:データの統合・分析に投資
    * 原則4-2:組織全体でデータをフル活用する
* 成功要因5:スケーラビリティ構築力 1842
    * 原則5:カスタマーの手と知恵を活かせ(そのための基盤を育め)
    * スケーラビリティを上げるための究極の秘訣二つ 1863
        * セルフサービス = カスタマーの自助。自分で問題解決ができる
        * ピアツーピア = カスタマー同士の互助。ユーザーグループなど
    * 原則5-1:自助・互助が促進される基盤を丁寧に育む
* カスタマーサクセスとは、「カスタマーセントリックな企業文化、ないしそれが根付いた企業のあらゆる活動そのもの」 2004
    * 以下の三つの行動すべてに自信を持って「はい」と言えるならカスタマーセントリック
        * 1. 私がカスタマーならを常に考える。何かを判断するときは「私がカスタマーなら賛成か?」を必ず問い、カスタマーの成功につながることが常に最優先で意思決定される
        * 2. カスタマー体験の良し悪しと彼らが手にした成功を数字で測定している。それが企業の経営目標とリンクしていて、各組織はその経営目標の一翼を担うことで組織が一枚岩になっている
        * 3. カスタマーの声を収集しプロダクトや業務に反映するフィードバックループの仕組みがある。結果として企業のあらゆる活動が首尾一貫して素晴らしいカスタマー体験に直結している
* 会社を変えるときは、社長が覚悟がないと必ず失敗する 2078
    * 気付き:わかる