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クラスター株式会社のソフトウェアエンジニアです。エンジニアリングや読書などについて書いています。

「カスタマーサクセスとは何か」読んだ

「カスタマーサクセス」読んだ - $shibayu36->blog;に引き続き、SaaSについて学ぶ第三弾として、カスタマーサクセスとは何か――日本企業にこそ必要な「これからの顧客との付き合い方」を読んだ。

前回の本よりスッと頭に入ってきて、かつ説明されている成功要因と原則が具体的で適用しやすいものだったため、読んで非常に良かった。印象に残ったのは以下の項目。

  • リテンションモデルの勝者の強さの秘訣は「プロダクトを買ってくれたカスタマーが、それをどう使い・どんな成果を得ているのかを深く理解し、カスタマーへ成功を届けることで、カスタマーがそれ無しでは仕事にならない状態にしている」
    • 気付き:重要ポイントが端的に説明されているのが良い
  • 原則1-2:成功を届けられない相手には売らない覚悟と仕組みを持つ
  • 原則2-2:カスタマーがイライラする負荷をなくす
    • エフォートレス(プロダクトでイライラしないこと)はロイヤルティと強く相関するが、感動や満足とロイヤルティの相関はとても弱い
    • エフォート = カスタマーがプロダクトを使うために要した時間やエネルギー
    • エフォートレスな体験を届けることは、オンボーディング以降の育成・支援フェーズ全体を通じて常に非常に重要
    • 気付き:エンジニアリングをしていると使ってみて感動することに意識が向きがちだが、「イライラしない」に目を向けるべきと気づけたのが良かった
  • 原則3:プロダクトチームとサクセスチームがベタベタに連携せよ
    • 原則3-1:プロダクトチームがカスタマーの声に触れる時間をサクセスチーム主導で作る
    • 原則3-2:カスタマーデータからサクセスチームが洞察を抽出しプロダクトチームに渡す
    • 原則3-3:理想的なカスタマーの人物像と成功への道のりを一緒に作る
    • 原則3-4:共有するゴール指標を最低一つ設定して進捗を定期的に確認し合う
    • 気付き:連携が大事ということは分かっていたが、その具体的なやり方について知れたのは大きい
  • 会社を変えるときは、社長が覚悟がないと必ず失敗する
    • 気付き:わかる of わかる。最低でも経営レベルに一人でも覚悟を持つ人がいないとどうにもならない

読書メモ

* リテンションモデルの勝者の強さの秘訣は「プロダクトを買ってくれたカスタマーが、それをどう使い・どんな成果を得ているのかを深く理解し、カスタマーへ成功を届けることで、カスタマーがそれ無しでは仕事にならない状態にしている」 710
* カスタマーサクセスの基本用語 923
* 月のチャーン率2.5%で、5年目末で新規契約で穴埋めできなくなる 949
    * 売上シミュレーション 
    * チャーンを抑制しながら買い増しも促せると、売り上げの成長スピードは大幅に加速
* アップセル、クロスセルが獲得コストがいかに少ないかがわかる 995
* 成功要因1:ライフタイムバリューの最大化 1083
    * 原則1:成功を届けられるカスタマーとの末長い関係に責任を持て
        * カスタマーをファンにし、お客さんが商品を紹介するほどにする 1105
    * 原則1-1:カスタマーの「成功」を正しく理解する 1123
        * 成功 = カスタマーの事業へ実際にもたらされた成果・業績
    * 原則1-2:成功を届けられない相手には売らない覚悟と仕組みを持つ 1165
        * 徹底する仕組みは
            * 売るべき相手と売ってはいけない相手が一目瞭然になる顧客セグメンテーション開発(例:カスタマーの成功に基づく分類、「成功におけるプロダクトの重要性」x「カスタマーの事業規模」に基づく分類)
            * 売ってはいけない相手に「ノー」と言えるスキルトレーニング
            * 正しいカスタマーに売っているかを評価する指標を決め、定期的に測定して経営陣に報告する
    * 原則1-3:成功を届けるまで責任をもって行動する 1188
        * チェック項目。Noがないように
            * 成功が届いたか確認しているか
            * カスタマーに仕事の仕方を変えてもらうのを、カスタマー任せにしていないか
            * 他社サービスと乗り入れてデータ共有する仕組みがある
* 成功要因2:買ってもらってからが勝負 1243
    * 原則2:素早く・負荷なく・漏れなく成功を届けよ
    * カスタマーのライフサイクル
    * 原則2-1:オンボーディングで「ワオ!」を素早く届ける 1329
        * 気付き:顧客がプロダクトで成功を得て驚く体験をなるべく早くすることでリテンションの足がかりにする
    * 原則2-2:カスタマーがイライラする負荷をなくす 1360
        * エフォートレス(プロダクトでイライラしないこと)はロイヤルティと強く相関するが、感動や満足とロイヤルティの相関はとても弱い 1373
        * エフォート = カスタマーがプロダクトを使うために要した時間やエネルギー
        * エフォートレスな体験を届けることは、オンボーディング以降の育成・支援フェーズ全体を通じて常に非常に重要 1423
    * 原則2-3:漏れなく確実に成功を届ける 1423
        * 基準値に基づき成否を判断し、成否に応じて取るべき打ち手・行動をあらかじめ決めて人に依存しないように
* 原則3:プロダクトチームとサクセスチームがベタベタに連携せよ 1447
    * カスタマーへ成功を届けるためには、機能だけでなく「機能と成功の差分」を埋める部分が大事
    * 原則3-1:プロダクトチームがカスタマーの声に触れる時間をサクセスチーム主導で作る 1522
        * サクセスチームが「カスタマーの目利き」をし、プロダクトチームが耳を傾けるべき重要な声を明確にする
    * 原則3-2:カスタマーデータからサクセスチームが洞察を抽出しプロダクトチームに渡す 1547
    * 原則3-3:理想的なカスタマーの人物像と成功への道のりを一緒に作る 1572
        * サクセスチーム・プロダクトチーム合同で
        * やったことがなければ大体それぞれが考える理想的なカスタマーの人物像は大きくずれている
    * 原則3-4:共有するゴール指標を最低一つ設定して進捗を定期的に確認し合う 1585
        * 一般的な共有ゴールの領域 1598
            * 1. アダプション = カスタマーの定着?
            * 2. アウトカム = カスタマーが手にした成果・成功
            * 3. カスタマー体験
* 成功要因4:データからカスタマーの未来を創る 1620
    * 原則4:データの統合・分析に投資し組織全体でデータをフル活用せよ
    * リテンション成長方程式の例 1661
    * 原則4-1:データの統合・分析に投資
    * 原則4-2:組織全体でデータをフル活用する
* 成功要因5:スケーラビリティ構築力 1842
    * 原則5:カスタマーの手と知恵を活かせ(そのための基盤を育め)
    * スケーラビリティを上げるための究極の秘訣二つ 1863
        * セルフサービス = カスタマーの自助。自分で問題解決ができる
        * ピアツーピア = カスタマー同士の互助。ユーザーグループなど
    * 原則5-1:自助・互助が促進される基盤を丁寧に育む
* カスタマーサクセスとは、「カスタマーセントリックな企業文化、ないしそれが根付いた企業のあらゆる活動そのもの」 2004
    * 以下の三つの行動すべてに自信を持って「はい」と言えるならカスタマーセントリック
        * 1. 私がカスタマーならを常に考える。何かを判断するときは「私がカスタマーなら賛成か?」を必ず問い、カスタマーの成功につながることが常に最優先で意思決定される
        * 2. カスタマー体験の良し悪しと彼らが手にした成功を数字で測定している。それが企業の経営目標とリンクしていて、各組織はその経営目標の一翼を担うことで組織が一枚岩になっている
        * 3. カスタマーの声を収集しプロダクトや業務に反映するフィードバックループの仕組みがある。結果として企業のあらゆる活動が首尾一貫して素晴らしいカスタマー体験に直結している
* 会社を変えるときは、社長が覚悟がないと必ず失敗する 2078
    * 気付き:わかる