名著と言われているカーネギー著の「人を動かす」を読んだ。
この本は人を動かす原則や、人に好かれる原則をさまざまな例を使いながら紹介してくれる。ちょっとうんざりするほど例が多いのだけど、その分言いたいことをイメージしやすくなるような構成になっている。
今回の本の中で、「人を動かす秘訣はみずから動きたくなる気持を起させること」と書かれているのが非常に面白かったので、このことについて今回は書いてみる。
人を動かす秘訣はみずから動きたくなる気持を起させること
この本の中で一番重要だなと思った言及に以下の様なものがある。
人を動かす秘訣は、まちがいなく、ひとつしかないのである。すなわち、みずから動きたくなる気持を起させること――これが、秘訣だ。
かさねていうが、これ以外に秘訣はない。
ではみずから動きたくなる気持を起させることはどうすればよいか?僕は以下の三つくらいが印象に残った。
- 相手に重要感を持たせる
- その人の好むものを問題にし、それを手に入れる方法を教えてやる
- 人から押し付けられた意見よりも、自分で思いついた意見
相手に重要感を持たせる
まず相手に重要感を持たせる必要があると書かれている。人には食欲など様々な欲求があるがその中に「自己の重要感」という欲求もある。つまり「偉くなりたいという願望」である。これを満たすことが出来れば、みずから動きたくなる気持を引き起こすことが出来る。
重要感を満たすためにどうすればよいかというのはあんまりちゃんとまとめられて書かれていないのだけれど、例えば相手を心から賛成し、惜しみなく賛辞を与えよう、ということが書かれていた。これはいろんな本にかかれていることで、賞賛や励ましというものは人のモチベーションの向上に効果を与えたり、人材育成に役立つ。どんな本にも褒めることが重要であるということが書かれているのを思うと、それほど賞賛は大事なことなのだろう。
また、今日たまたまアニメのSHIROBAKOを見ていたら、「君はなぜ僕にこの仕事をやってもらいたいと思ったの?やっぱり君にしか出来ないと言われるような仕事をやらせてもらえると嬉しいものだよ」というようなセリフがあって、ああこれも重要感を持たせる方法の一つだよなと思う。その仕事自体に社会的価値があり、かつ自分ならそれを最大限に出来ると思ってもらえるようなことをしてもらうことが、相手に重要感を持ってもらい働いてもらうために必要なことなんだろうなと感じた。
相手に重要感を感じてもらうというのは重要だけど、非常に難しい話だと感じる。今後もどのようにすればいいかは考え続けていきたい。
その人の好むものを問題にし、それを手に入れる方法を教えてやる
さらにこの本の中に、
人に動いてもらうには、その人の好むものを問題にし、それを手に入れる方法を教えてやることだ
と書かれている。これは本の中に書かれている以下の話が分かりやすい。
エマーソンとそのむすこが、子牛を小屋に入れようとしていた。ところがエマーソン親子は、世間一般にありふれた誤りをおかした。自分たちの希望しか考えなかったのである。むすこが子牛をひっぱり、エマーソンがうしろから押した。子牛もまたエマーソン親子と全く同じことをやった。すなわち、自分の希望しか考えなかった。四肢を踏んばって動こうとしない。見かねたアイルランド生まれの女中が、加勢にやってきた。彼女は、論文や書物は書けないが、少なくともこの場合は、エマーソンよりも常識をわきまえていた。つまり、子牛が何を欲しがっているかを考えたのだ。彼女は、自分の指を子牛の口にふくませ、それを吸わせながら、やさしく子牛を小屋に導き入れたのである。
分かりやすい。得てして人は他人に動いてもらおうとした場合、自分の都合だけを考えがちである。しかし、それだと人は動いてくれない。人を動かすにはまずは相手の中に強い欲求を生み出さないといけない。
このことより人を説得して何かをやらせようと思った時には、この本に書かれているように、まず以下のように自分にたずねてみることが必要だろうと感じた。
「どうすれば、そうしたくなる気持を相手に起こさせることができるか?」
人から押し付けられた意見よりも、自分で思いついた意見
もう一つ、この本の中に書かれていた言葉に以下のようなものがある。
人から押し付けられた意見よりも、自分で思いついた意見の方を、われわれは、はるかに大切にするものである
これは実感的に正しいと感じる。いかに相手に説得されるよりも、自分からこうしたほうが良いのではないかと言い始めて始めたほうが、自らのモチベーションが高い。また、いろんな本に同じようなことが書かれていることを考えると、一般的に正しいのだろう。
それではどうすればいいかというと、以下の様な言及がある。
すると、人に自分の意見を押し付けようとするのは、そもそもまちがいだといえる。暗示を与えて、結論は相手に出させるほうが、よほど利口だ。
けっこう難しいことを言っているけど、1分間リーダーシップにもそのヒントが書かれていた。1分間リーダーシップではある目標に対する一定の習熟度を超えた人には援助によってモチベーションを高めると書かれているのだけど、その方法として「〇〇しようと思うんだけどどう思う?」とか「〇〇するにはどうしたら良いと思う?」のような問いかけをすると書かれている。このような問いかけは相手に考えさせてきちんと結論を出させるための一つの方法であるといえるだろう。
相手に思いつかせるというのは難しいとは思うが、主体的に動いてもらうには非常に重要に感じる。これからもどうしていけばよいか考え続けていきたい。
まとめ
今回は「人を動かす」を読んで、この本のテーマの一つである「人を動かす秘訣はみずから動きたくなる気持を起させること」について深堀りして自分の意見などを書いてみた。
「人を動かす」はけっこう面白い本で名著ではあると思うが、少しだけ例が多く個人的には回りくどいなと思ってしまった。とはいえそんなに時間はかからないので、一読してみると良さそうに思う。「道は開ける」よりはおすすめ。
もうそろそろマネジメントに関する具体的な事例を考えるには十分な情報量を取得できたように感じるので、そろそろ気合を入れてマネジメントの体系をざっと網羅することが重要に思えてきた。そのためには最近購入した「マネジメントとは何か」や「マネジメント入門」を読む必要があるなと感じる。このへんは年末年始の休暇を利用してなんとか読みきりたい。