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クラスター株式会社のソフトウェアエンジニアです。エンジニアリングや読書などについて書いています。

パターンから組織改善のきっかけを得る - 「組織パターン」読んだ

組織の勉強の一環として「組織パターン」読んだ。

この本は、チームや組織が、よく陥る問題とその解決策について、組織パターンという形でまとめて教えてくれる。パターンは

  • パターンの名前と重要度
  • ・・・の後にコンテキスト
  • 星三つのあとにパターンの背後にあるフォースやトレードオフ
  • それゆえの後に解決策
  • 星三つのあとに、なぜそのパターンがうまくいくか
  • そのあとに他パターンへの参照

のように書かれていて、特定問題が起こる背景や、そのとき解決の一案、さらにその解決策がなぜ効果的かというのが分かるようになっている。ただし、この本の最後の方に「組織パターンはインスピレーションをもたらすのに使うべきで、そのまま適用するべきではない」と書かれているように、そのまま適用するというより、気づきを得て自分の考えのサポートにする使い方が良いのだろう。

この本を読むと、チームや会社に対して自分が感じている「なんとなく良くない」ことを言語化したり、自分が気づいてなかった「実は良くないこと」を発見することができたり、それらの問題の解決の糸口をつかめたりということができる。また、逆に自分が気づかずにやっていた良いパターンの発見にも役立つ。そのため、「なんとなく良くない感じがしているのだけ何が良くないのか分からない...」と感じている人には、参考になるだろう。


個人的に面白かったなと思ったのは、以下の点。

  • 誰か一人を犠牲にするパターン
    • 余計な作業が細かく積み重なると、集中を奪い、チームの力を蝕んでしまう
    • 誰か一人余計な作業に割り当てて、その作業を終わらせる
    • 【感想】よくやってしまうのは、全員に面倒事を分配しがちになってしまい、結果として重要プロジェクトのリリースが遅れるということがあるので、面白い
  • シナリオが問題を定義する
    • システムの機能的な要件をユースケースとして表現
    • 【感想】確かに仕様では議論が進まないが、ユースケースや画面を作るとエンジニア以外のメンバーとの間でも議論がされるように感じる
  • 賢い愚者
    • 人間同士のダイナミクスは、時に、よいアイデアを口にしたり、悪いアイデアを取り除いたりすることの妨げになる
    • 誰かが触媒となって、時々グループの内省を促す必要性
    • ポイントは、組織が内部からの批判を喜んで受け入れなければならないこと
    • 【感想】つまり、ある程度の健全な衝突を起こす発言をできる人物がいないと、組織が硬直化して改善がされなくなるという話。組織の本には、コンフリクトは役に立つことも害悪になることもある、とよく書かれている
  • 成功報酬
    • 個人に報酬を与えることにより、企業の価値体系に合ったビジネスの目的を達成するように仕向けることが重要
    • 成功に導くような振る舞いに報酬を与える
    • 組織が価値を置くものについて報酬を与えるようにする
    • 組織内で共有された「達成すべき重要事項」という価値体系に基づいて報酬を与えるのが一番
    • 【感想】どの組織の本でも、成功報酬を組織が価値を置いているものに適切に与えることが重要と書かれているので、その一種であろう。成功に導くような振る舞いに報酬を与えるというのが面白い。成功報酬を組織が価値を置いているものに与えることで、組織の行動を徐々に変化させることができるのだろう
  • コンウェイの法則
    • ビジネスの主構造、組織の構造、ソフトウェアの構造の三つを整合させたものが、長期的に見て最善の構造
    • 三つを整合させるアプローチとして
    • アーキテクチャが安定していない状況で組織をアーキテクチャによって境界づけてはならない
    • 関連: 組織はマーケットに従う 4453、組織は拠点配置に従う
    • 【感想】マイクロサービスがなぜ出てきたのかを考えると、結局の所、組織の構造とアーキテクチャを整合させようとした結果なんだろうなというのが分かって良いですね


組織についての勉強として、次はなぜ評価制度がありどういう効果があるのかについて知りたいので、人事管理入門という本を読もうと思う。

読書メモ

- 改善する時、間違って行っていることを見つけ、プロセス内でエラーが発生している場所を見定め、それを適正化することが多い。プロセス全体が間違っているかもしれないと考えられることはほとんどない 88
- 各パターンはシステムに構造を付け加えることで問題を解決する 487
- パターンの短い定義 494
    - 繰り返し発生する構造的な形で、あるコンテキストにおける問題を解決するもの。なんらかの全体の全体性あるいはシステムに寄与し、美的あるいは文化的な価値を反映する
- パターン言語 505, 1064
    - パターンの名前と重要度
    - ・・・の後にコンテキスト
    - 星三つのあとにパターンの背後にあるフォースやトレードオフ
    - それゆえの後に解決策
    - 星三つのあとに、なぜそのパターンがうまくいくか
    - そのあとに他パターンへの参照
- 四つのパターン言語 614, 649
    - プロジェクトマネジメントのためのパターン言語: スケジュールやプロセス、タスクなど、特に仕事がうまく進むよう支援するのに必要な構造に焦点
    - 組織の漸進的成長のためのパターン言語: 組織とプロセスを同時に成長させる方法
    - 組織スタイルのためのパターン言語: 組織におけるロール同士の関係性の構造に目を向け、これらの関係性が別の組織スタイルへの前触れとなっていることを検証する
    - 人とコードのためのパターン言語: 組織の構造と組織が生み出す成果物との間には密接な関係があるというコンウェイの法則を拡張する
- パターンを順序に従って一つずつ適用し、フィードバックを受けながら、時間をかけて発展させていく必要がある 979
    - 一度に一つのパターンを適用しなさい。そして、うまくいっていないようだったら戻りなさい 1140
- プロジェクトマネジメントのためのパターン言語のつながり図 1272
- 信頼で結ばれた共同体 1301
    - チーム内の人間が互いに信頼し合うことが欠かせない。そうでなければ、何かをやりとげることは難しいだろう
    - 信頼していることを明示的に表現する行為をする。重要なのは、こうした活動が目に見えてはっきりとしていなければならない
    - 信頼は、顧客も含め全員の間で築かなければならない
    - 信頼というものは伝染しやすく、組織の中をトップダウンで効果的に広がっていく
- プロトタイプを構築せよ 1600
    - 要件や設計上の判断をテストして、コストを浪費したり期待を裏切ったりするリスクを低減しなければならない
    - プロトタイプを作る目的: 潜在的なニーズを含む要件の理解、顧客と一緒に要件を検証して顧客を巻き込む、システムにおける人間とコンピュータのやり取りについて検討すること、設計上の判断について費用対効果を検討すること
    - プロトタイプは捨てることが重要
- リスケは一度だけ大きくする 1710
    - 細かいリスケを続けると、誰もスケジュールを信じなくなる
- 作業の分割 1766
    - プロダクトバックログの分割と、優先度の決定みたいな感じ
- ワークキュー 1812
    - プロダクトバックログは一つずつスケジュールするのではなくて、単純に優先度順にしましょうという感じ
    - 緊急度や優先度が高い項目を上に
- 開発者がプロセスをコントロールする 1926
    - うまくいっている組織は有機的に機能していて、中央集権的なコントロールは最低限に抑えられている
    - ある機能を作るときは、開発者が最初から最後までやる。要件を理解する、設計する、実装する、テストするなど。
- 作業が内側に流れる 1961 ※
    - ある程度の中央集権化と指示は必要だが、行き過ぎると中央がボトルネックになる
    - 顧客をはじめとしたステークホルダーから開発者へと、作業が流れ込むべきだ。作業がマネージャーから流れ出すべきではない
- 誰か一人を犠牲にする 2165 ※
    - 余計な作業が細かく積み重なると、集中を奪い、チームの力を蝕んでしまう
    - 誰か一人余計な作業に割り当てて、その作業を終わらせる
- 託児所 2240
    - 新人教育も、一人が新人全員の教育に割り当てる
    - 誰か一人を犠牲にすると同じ
- 組織の漸進的成長のためのパターン言語のつながりの図 2497
- 組織を細かくする 2542
    - 技術マネージャーのグループは10人まで
    - 人月の神話感
- 段階的に人を増やす 2626
    - 雇用は段階的に、プロジェクトの成長の段階に応じて必要な人を入れる
- 顧客たちを巻き込め 2713 ※
    - 顧客とのコミュニケーションは「顧客満足度」グループだけで負うべき責務ではない
    - 開発者もアーキテクトも、自由にそして頻繁に顧客と話をすべき
    - 防火壁や門番を使って、顧客と開発者とのやりとりを注意深く調整する必要もある
- シナリオが問題を定義する 2859 ※
    - システムの機能的な要件をユースケースとして表現
    - 確かに仕様では議論が進まないが、ユースケースや画面を作ると議論がされるように感じる
- 防火壁 2887
    - 外部の協力者が増えるにつれて、コミュニケーションオーバーヘッドは加速度的に増える
    - 開発担当者を外部のロールとのやりとりから守るマネージャーロールを作る。このロールの責任は「ペストを寄せ付けない」ことにある
- 門番 2932
    - プロジェクトの外部から来る最先端の情報や二時的な情報を、プロジェクトメンバーに翻訳して伝える
    - マーケティングと開発とのかけはし
    - 防火壁とバランスが取られる
    - 役に立つ情報が効率的に流れるようにするパターンで、防火壁が気をそらすような情報の流れを妨げるのと対照的
- 目的の統一 3009 ※
    - 最終的にプロダクトがどうなるべきかが曖昧になっていると、一貫して作れない
    - プロジェクトのリーダーは全員に共通のビジョンと目的を教え込まなければならない
    - このプロダクトは何をすることになっているのか?誰が顧客なのか?このプロダクトはどうやって顧客に役に立つのか?スケジュールは?スケジュールを確約できると誰もが感じているか?競争相手は誰なのか?
    - コミュニケーションはビジョンを共有するための手段にすぎない
- スカンクワークス 3085 ※
    - イノベーションのジレンマ的な
    - イノベーションのアイデアを取り込みつつ、通常通りサービスを進歩させていく
    - アイデアを試し続けるチームを作る
    - その組織は強力な防火壁で支え、上位の経営陣や資金提供者たちの詮索に邪魔されないようにする
- 人気者と婦長と門番 3289
    - 婦長は組織を育てることに関心があり内側に集中する
    - 門番は外側に集中し、組織が次に向かうべき大きな方向性を常に探す
    - 人気者は両者の中間だが、どちらとも異なっている
- 賢い愚者 3492 ※
    - コンフリクトを起こす必要性みたいな話
    - 人間同士のダイナミクスは、時に、よいアイデアを口にしたり、悪いアイデアを取り除いたりすることの妨げになる
    - 誰かが触媒となって、時々グループの内省を促す必要性
    - ポイントは、組織が内部からの批判を喜んで受け入れなければならないこと
- トラックナンバーはほどほどに
    - 完全なる属人性は避けたほうが良いが、属人性を排するのに多大なコストをはらうのも無駄という話
- 成功報酬 3732 ※
    - 個人に報酬を与えることにより、企業の価値体系に合ったビジネスの目的を達成するように仕向けることが重要
    - 成功に導くような振る舞いに報酬を与える
    - 組織が価値を置くものについて報酬を与えるようにする
    - 組織内で共有された「達成すべき重要事項」という価値体系に基づいて報酬を与えるのが一番
- 組織構築パターンの関係性の図 4098
- 分割統治 4277
    - 成長した組織をどう分割するか
    - 強力な相互関係がありながら、組織の他の部分との結合度が低いロールのクラスタを見つけよう。そして、そのロール郡を中心にして、今あるものとは別の組織とプロセスを形成しよう
    - ただし、組織の中には、はっきりとしたサブドメイン(プロジェクトが成功し、拡大してマーケットが確保できるようになったら、部署に成長するもの)が必要
    - 機能単位の垂直分割のイメージかな?マイクロサービスでの分割に通ずるものがある
- コンウェイの法則 4318 ※
    - ビジネスの主構造、組織の構造、ソフトウェアの構造の三つを整合させたものが、長期的に見て最善の構造
    - 三つを整合させるアプローチとして
        - 主要なソフトウェアの成果物をドメイン分析の考慮点を中心に設計し、組織とアーキテクチャを揃える
        - ビジネス上のニーズを中心に組織を設計し、アーキテクチャが組織に従うようにする
    - アーキテクチャが安定していない状況で組織をアーキテクチャによって境界づけてはならない
    - 関連: 組織はマーケットに従う 4453、組織は拠点配置に従う
- 拠点が離れていてもコミュニケーションが貧弱にならない条件(リモートワークの成功) 4419
    - すべての拠点を合計しても、プロジェクトの開発者の数が少ない
    - ほとんどのコミュニケーションがEメール(広く分散され、非同期のコミュニケーション)のようなもので行われている
    - 関わる人が一定期間一緒にいて、お互いを知っていると感じている
    - 「不必要」な移動のせいでメンバーが疲れてしまうことのない程度に、必要に応じて喜んで移動する人たちである
- コミュニケーションの強度比 4630
    - 負荷の偏りを可視化する
    - 「最も忙しいロールのコミュニケーションパスの数」と「ロールあたりのコミュニケーションパスの数の平均」との比率として定義
    - コミュニケーションの強度比を2かそれ以下に保つ必要あり
- ハイコンテキストで成熟した領域では、機械化が実現できる 4771
    - これは流動状態では機械化はできないけど、特化状態ならできるみたいな話とかぶる
    - 流動状態と特化状態は、プロダクトよりもっと小さい機能単位でも起こると考えておく
- デイリーミーティングで言い合うことの例 5330
    - 1. 前回のミーティング以降何をしたか、2. どんな障害に行き当たったか、3. 次のミーティングまでに何をするのか
- 疲弊しつつある組織は、学習するための時間をとれず、学ぶことができない 6099
- 危機によって学習の機会が生み出される。その危機について事後分析を行えば、組織が大いに学習するための種を蒔ける 6216
- AT&Tの組織変革においての主要な原則の一つ: 一度に変えようとしてよいのは三つまで
    - 文化は中核的には安定を望むので、緩やかに変えていく必要がある
- 組織からのフィードバックにはフィルターをかけ、総じて人は変化に抗うということを心に留めておく必要がある 6501 ※
    - フィードバックだけでなく、組織の全体感を向上させる方向に向かっているかを適切に見る
    - 文化の中でパターンが受け入れられるのには時間がかかる。自分でいつまで待つかを判断する
- 人間組織の適切な変化は合意のプロセスから生じるし、合意を形成するには時間も集中力も必要 6518
- 組織パターンはインスピレーションをもたらすのに使うべきで、そのまま適用するべきではない 6586 ※
    - パターンから現在の組織の問題の発見の手がかりとし、解決の緒を考える切っ掛けとする
- 優れた組織は、プロセスだけに注目しない。プロセスは構造から現れ、構造は価値観から現れるため 6777 ※
- 組織学習にはシングルループ、ダブルループ、トリプルループがある 6777
    - シングルループはよくあるふりかえりで、Howを変化させる
    - ダブルループは組織における洞察を刷新する
    - トリプルループは、我々はどんなビジネスをやりたいのか?我々にとって価値と原則は何か?に答える手助けをする学習
    - シングルループは1日、ダブルループは1ヶ月、トリプルループは1年以上と、かかる時間が違うことに注意
    - 偉大な組織はトリプルループを適切に行なっている
- 全ての組織パターンの要約 7749 ※

雑誌で続きを楽しみにしている漫画たち

最近気づいたら漫画の雑誌やアプリを毎日めちゃくちゃ読んでいることに気づいた。そこでこの機会に毎回続きを楽しみにしている漫画たちを紹介したいと思う。

読んでいる雑誌やアプリは

あたり。

ハルタ

ダンジョン飯が面白すぎて、続きが気になりすぎて、雑誌自体を買うことになってしまった。ハルタは面白い漫画がたくさんある印象。

有名なダンジョン飯。そもそも雑誌を買うことにしたきっかけなので、続きを楽しみにしているに決まっている。九井諒子さんの漫画は、ファンタジーの世界観がその中で完璧に出来上がっていて好き。ひきだしにテラリウムも非常に良かった。

現在アニメ放送中ですね。面白いと聞いたことはあったけど、1巻だけ買って、ん―次買うかどうしようかなと放置していた。が、ハルタで最新話を見たら、あれ?おもしろいやん?となって2巻を買った。気づいたら全巻揃っていた。そんな感じのシュールギャグ漫画。

これもハルタを買い始めてから新しく見つけた漫画。不死の猟犬というタイトルでは終わって、続きが不死の稜線という名前で始まったみたい。老死以外で死ぬとすぐに蘇る世界という感じで始まって、それだけで面白そうやんと思ったのだけど、5~6巻に進むにつれて、本当に綿密に世界を作り込んでいることが分かって、特に6巻は面白かった。

あとは単行本で買っているので、ネタバレを恐れて読んでないけど、ハルタの以下の作品も楽しみに読んでいる。

週刊ヤングジャンプ

[asin:B07CG99RX8:detail]

ヤングジャンプ、本当に楽しみにしている。なぜならめちゃくちゃ好きな二つの作品が連載しているから。

神。毎週熱い気持ちになっている。

読みながらいつもにやにやしている。笑いもあるし、かぐや様はかわいい。会社で昼休みに読んでるけど、読んでる間、自分がにやにやしてて本当に気持ち悪いと思う。確かウルトラジャンプから移籍してきたみたいな感じだったけど、一話目からめちゃくちゃ面白くてずっと追いかけている。

あともう終わりそうな雰囲気がしてるんだけど7'sという漫画も好きです。

週刊ジャンプ

ジャンプはどんどん終わる分、新しい面白い漫画がどんどん出てくるのが良い。

最近はもう有名ですね。特に最初の農園内の話がめちゃくちゃおもしろかった。農園の外に出た今もずっと面白い。

科学って面白い。そんな気持ちになる漫画。

あースポーツ漫画でよくある感じで中だるみしてきたな...とちょっと前は思っていた。が、音駒との戦いになってまた面白い!ただ、このあたりでスパッと終わってほしい気持ちもある。スラムダンクとか、山王戦勝ってバーンって終わったのがやっぱり良かったと思うのですよね。

[asin:B07BK4RR75:detail]
個人的には役者系の漫画ってあんまり見ないし、普通に面白くて楽しみにしてるんだけど、なんか打ち切りコースの順番に入ってて嫌な感じがする。

月刊アフタヌーン

美大受験漫画。自分が全然知らない分野だからこそ面白い。こういう主人公がめきめき力を伸ばしてく系の漫画、ベタだけど好き。

単行本で読んでて追いつけてないので、まだ雑誌では読んでないのだけど。単行本めっちゃ楽しみにしている。

あと最近始まった「猫が西向きゃ」という漫画も面白くて早く続きこないかなと思っている。蟲師の作者の新作。

イブニング

過去改変物。説明文みてどう考えても面白いよなと思って読んでる。

遠野叶多(かなた)は、幼なじみの真奈の家から奇妙な箱を見つける。箱の中には実際の人間が生活し、よく見るとそこは中世の日本らしき世界だった。好奇心で観察を続けるが、ある時、箱の中で少女が野盗に襲われているのを見てしまい、思わずその野盗を殺してしまう。動揺した叶多は真奈に相談するため彼女の家に向かう。だがそこで真奈の父親から思いもよらぬ事実を告げられる。「うちには真奈なんて娘はいないよ」と。

大学生がネアンデルタール人ホモ・サピエンスが戦争している時代に入り込んでしまう話。

まとめ

今回は雑誌で続きを楽しみにしている漫画たちを紹介した。アプリとかも紹介しようと思ったのだけど、既に多すぎて疲れてきたので、また別の記事で書いていこうと思う。

人為的選択で自然淘汰でない組織変化を起こす - 「殻 脱じり貧の経営」を読んだ

組織論や経営への興味関心から、「殻 脱じり貧の経営」を読んだ。

この本は、会社がじり貧に陥る理由を「殻」という概念を提唱し説明してくれる。また最後にじり貧に陥った会社がどうやってそこから脱出するかについても論じている。

この本は経営者におすすめできる。「じり貧」というのは難しく、ゆでガエル現象と揶揄されるように、中にいるとそうなっていること自体に気づけないことが多いので、じり貧に気づくためにも一度読んでみると良いと思う。

僕は8章と終章が面白かった。一方、途中の事例紹介であるフォードの話とENIACの話は、こんなに詳細に書く必要ある?というくらい回りくどく感じたので、フォードがどのように成功し、どのようにじり貧に陥ったかというのがある程度理解できるくらいに流し読みしても良いと感じた。特にENIACの話は別に読まなくても理解できそう。

僕が印象に残った点は以下の部分。

  • 人為的選択で自然淘汰でない組織変化を起こす
  • 心構えが改善を生み出す
  • 「殻」について

人為的選択で自然淘汰でない組織変化を起こす

競争型同型化では優れた形質で同型化が進まないことがある、そのため人為的選択で自然淘汰でない組織変化を起こす必要があるという話が非常に面白かった。


まず、組織は4つのメカニズムで同型化していく。

  • 環境との機能的適合に対応した「競争型同型化」-> 環境の淘汰圧力のようなメカニズム
  • 文化・社会的適合に対応した「制度的同型化」
    • 強制的同型化: 依存している組織からの圧力、社会の中での文化的期待、たとえば、法的な規制
    • 模倣的同型化: 組織はより正統的あるいは、より成功していると認識している類似の組織を後追いしてモデル化する。不確実性は模倣を助長する
    • 規範的同型化: 主に職業的専門化に起因するもので、(1)大学の専門化による公式の教育と正当化、(2)職業的ネットワークの成長と洗練が重要。人員の選別も重要なメカニズム。

この中で、競争型同型化で生き残った組織や制度は優れているとみなすことが多い。しかし、その同型化のメカニズムに任せるだけでは優れた形質で同型化が進まないことがあるのだという。なぜなら、人は自己概念や自己アイデンティティを脅かす変化に対してはネガティブな反応を示すため、ある局所最適から抜け出せないことがあるためだ。

そのため、制度的同型化、つまり人為選択を利用して、自然淘汰ではない組織変化を起こす必要がある。これをするには、組織の一部で起こった良いものをうまく育てて他へと普及させる「育種家」と呼べる存在が大事である。たまたま目的にかなった成功例・様式が見つかったときには、たとえ統計的には無視されてもしょうがないような稀な成功例・様式であったとしても、それを選んで残し、他へと普及させることが重要なのである。

と、自分の言葉で自分の理解をまとめてみた。


ではどうやって人為的選択を広めていくか、どうやって「育種家」を増やすかという話がある。個人的には、その役割をきちんと評価することが重要と感じるのと、この本で書かれていた「徘徊モデル」の話が参考になるかなと感じる。

  • その役割をきちんと評価すること
    • 「育種家」が大事であれば、その行動を明示的に評価する。その行動が評価をされるということが明確であれば、その行動は組織内で増えていくだろう
    • これは他の組織論の本から自分が感じた
  • 徘徊モデル
    • 現在のポジションにとどまったほうがパフォーマンスが高い場合そこにとどまるという戦略を取る合理モデルと、あえて現在のポジションを捨てて徘徊することを選ぶ徘徊モデルを比べると、徘徊モデルのほうが圧倒的に高いパフォーマンスを実現する。なぜなら合理モデルでは、たとえそこが局所最適であっても、そこに安住してしまうので、すぐにじり貧に陥るため
    • 実際に自分があるチームに慣れてくると、チームの中であまり良くないところが見えなくなるということはよくある
    • そのため、積極的に人を異動させ、それにより良い衝突を起こすことで、良い方法を広めていけるのではないか

このように人為的選択を増やしていけるのではないかと感じた。

心構えが改善を生み出す

この本で、精神が生み出す学習曲線という話があった。つまり、単純な心構えが、その積み重ねによって大きな改善を生み出すということである。例として挙げられていたのは次のものだ。

  • トヨタの例: 「これは競争力に使えるだろうか?」「これはお客さんのためになるだろうか?」ということを、何万人の従業員がみんな考えているとしたら、これは本当に単純な心構えなのだけれども、ひょっとしたら、そういうことの積み重ねが20年30年するうちに、追いつけないような企業の差になって表れるんじゃないかという気がするわけです
  • フォード社の例: アイデアを思いついた作業者は、どんなアイデアでも伝え、実行に移せるような非公式の提案制度をもっていた

僕はこの話はビジョナリー・カンパニーで書かれている内容に繋がるなと感じた。ビジョナリー・カンパニーでは、会社を進歩させるために基本的価値観が大事と論じている部分があるのだけど、この基本的価値観というのが、この本で話されている「精神」なのだろう。この「精神」をもととした積み重ねが、製品の改善や工程の改善をを非常に大きなものにする。

では、「精神」を根付かせるためにはどうしたらよいかということについては、ビジョナリー・カンパニーの方にかかれていたので、そちらを参照すると良いだろう。

「殻」について

本書の提唱している「殻」についても少し触れておく。

本書で提唱している「殻」とは何か?「殻」については、本書では以下のように書かれている。

  • 企業が幼弱な時期には企業を保護してくれていた「殻」がある。しかし、その殻にしがみついて経営していると、いずれは「じり貧」状態に陥る
  • フォード社の幼弱期において、より安く作れば売れるT型フォードは殻となって、フォード社を保護したのであった。しかし、その「殻」=「不変のT型フォード」の裏で、護符のごとくに必死に殻にしがみついていた経営者フォードが、今度はフォード社を「じり貧」に追い込んでいく

この文章からは、いまいち「殻」がどういうものか分かりづらかったのだけど、自分たちが会社の売りであると感じている商品や体制は会社を成長させるが、それにしがみついていて、新しい変化がなければじり貧となってしまうということだと理解した。

僕はこの概念を見て、怖いという感情を抱いた。まず売りとなっている何かがある場合、会社内ではうまくいっていると感じているだろう。うまくいっていると感じているからこそ、さらにその売りを強めていく。しかし、それを強みに感じすぎて、しがみついてしまう場合がある。さらにその後、売りと感じていたものが、実は今は社会的には競争力が低くなっていたとしても、それにしがみ続けてしまうこともよくある。そのまま新しい変化を起こさなかった場合、徐々に徐々にあまり気づかないレベルでじり貧となっていく。このように「うまくいっている」と感じているのに、実は気づかないうちにじり貧になってしまうというのは怖い。

うまくいっていると思っている時に、それに集中するのは良い。しかし、そんな時でも突然変異のような新しい変化を起こせるように仕組みを作っておかないといけないんだろうなと感じた。

このあたりの話は「イノベーションのジレンマ」に通ずるところがあって面白かった。

まとめ

今回は「殻 脱じり貧の経営」を読んで、そこで感じたことをまとめてみた。組織関係の本を読み始めて暫く経つけど、少しずつ他の本と繋がったと感じることが増えてきたのが良かった。次は組織パターンと、人事管理入門を読もうかなと思う。

読書ノート

- 企業が幼弱な時期には企業を保護してくれていた「殻」がある。しかし、その殻にしがみついて経営していると、いずれは「じり貧」状態に陥る ⅵ ※
- 「殻」が出来上がる例: 最初、人々は信仰心から一生懸命に働いていたのだが、やがて、その勤労意欲旺盛な人々を前提とした新しい社会(資本主義社会)が成立してしまうと、今度は、人々が一生懸命に働くことを求められるようになる(つまり拘束)。もっとも、一生懸命働いていさえすれば、資本主義社会の中では、他人からとやかくいわれることなく大きな顔をして生きていけるので(つまり保護)、信仰心や精神なんかなくても、殻に守られて生きていけるのである 14 ※
    - 正確にいえば、「殻」が拘束しているわけではなく、人間の側が一方的に、護符としての「殻」の陰で「ひきつるようにしがみついている」だけ 15
- 殻を「コア」「売り」だと認識しているとき、その裏側では常に硬直性がつきまとう 17
    - これこそ自分たちのコアだ!とか、ひきつるように護符のごとくしがみつくとかの行為自体が硬直性そのもの
    - その「コア」が、競争優位が失われつつあっても、しがみつき続けることがある
    - それが「じり貧」
- 新しい製品デザインが登場したとき、最初は「オモチャ」扱いされるが、やがて性能を向上させ、世の中を席巻していくという現象 29
    - イノベーションのジレンマで出てきた話と同じ
- 「ユーザー自身によって開発」される現象 -> ユーザー・イノベーション 31
- ドミナント・デザインとデファクト・スタンダート 40
     - これを確立した会社に独占の利益をもたらすよりも、新規参入者が短期間にマーケット・シェアを急速に伸ばすことを容易にしてしまう
- ある製品デザインがデファクトスタンダードになる代表的メカニズムは、技術的なものではなく、ネットワーク外部性やクリティカル・マスの存在のような市場的なもの 44
- ドミナントデザインとは新しいものが何もないデザイン。しかしフォードは、T型フォードがドミナントデザインになったあとも、それを売って成長させたことが特筆すること 47
- 生産単位のイノベーションは、二つの状態パターンに分類 49 ※
    - 流動状態
        - 製品のデザインも特性も急激に変化して流動的である
        - 革新的製品は、安いというよりも性能がいかに優れているかで従来品と競争する
        - 製品イノベーションではコスト低減よりも性能の向上が強調される。この製品イノベーションではユーザーが重要な役割を果たし、しばしばユーザー自身によって開発が行われる
        - 生産システムは《柔軟だが非効率的》である
    - 特化状態
        - 製品は標準化され、変化は漸進的である
        - 市場では価格競争が行われる
        - イノベーションは漸進的でコストや生産性への累積的効果をもった工程イノベーションが中心になる
        - 生産システムは《硬直的だが効率的》である
- 流動状態では、革新的製品は安いというよりも性能がいかに優れているかで従来品と競争する 52
- T型フォードのようなドミナント・デザインが登場すると、【特化状態】に移行し、今度は価格競争が行われるようになり、それを支える工程イノベーションが中心になる 53
    - 特化状態での工程イノベーションによる生産性向上とコスト・ダウン、そしてそれが可能にした価格の値下げがフォード社に反映をもたらした
- フォード社の幼弱期において、より安く作れば売れるT型フォードは殻となって、フォード社を保護したのであった。しかし、その「殻」=「不変のT型フォード」の裏で、護符のごとくに必死に殻にしがみついていた経営者フォードが、今度はフォード社を「じり貧」に追い込んでいく 67 ※
- 【流動状態】がドミナント・デザインの出現によって【特化状態】に移行するというアバナシーのモデル 69
- 生産性のジレンマ: 流動状態では生産システムは柔軟だが非効率的だが、特化状態では生産システムは硬直的だが効率的なので、生産システムにおいては生産性・効率性と柔軟性は両立しない 69
    - しかしT型フォードの顛末はこの生産性のジレンマとは噛み合わなかった
- 生産量が増えることを期待して生産技術を変えること、すなわち機械器具を設備して量産態勢をとること、あるいは大量生産に合った製品デザインを採用することが、コスト低減の大前提 178
    - 前提となるスケール観が必要
    - 集積回路とファミコンの例
    - 最初からどのくらいの量を作るのかに関するスケール観が生産コストを決める重要な要因になっている
    - 単に大量に作ったから価格が下がるのではなく、スケール観が最初からあることが大事
- フォード「まず販売が増えるまで値引きをする。そして、それを価格にしようとする。コストにはかまわず。その新しい価格がコスト・ダウンを余儀なくするのである」 180
    - ビジョナリー・カンパニーの大胆な目標っぽい
- 技術的選択の前提としてのスケール観。ここに学習曲線の秘密がある。つまり、日々の現場の努力でコストが数パーセント下がるのではなく、最初から経営者が30%とか50%とかコストを下げるための量産態勢作りを指示し、製品デザインもそれに合わせて作り直す必要がある 181 ※
- 精神が生み出す学習曲線 184 ※
    - トヨタ: 「これは競争力に使えるだろうか?」「これはお客さんのためになるだろうか?」ということを、何万人の従業員がみんな考えているとしたら
    - フォード: アイデアを思いついた作業者は、どんなアイデアでも伝え、実行に移せるような非公式の提案制度をもっていた
    - 非公式な提案制度であれば無意味というわけでもない
    - 工程イノベーションは、研究室で行われるものではなく、生産現場で、実際の生産活動、製造の経験を通して行われる行動による学習 185
        - 学習する組織感
- 目の前にいっぱい降ってくる技術的代替案を一つひとつ手にしながら、「これでもっとコストダウンできるだろうか?」と何万人もの従業員がみんなで考えているときに、対数線形型の学習曲線は出現する 186 ※
    - ビジョナリー・カンパニーの価値観の話とつながる
- 生産が追加されても、ついには改善が全く見られなくなる高原効果という現象 188
    - 仮にコストダウンの目標を立てたとしても、前もって決めた目標を一旦達成してしまうと、もう経営側は新たな目標を設定しなくなり、進歩も足踏みすることがある
        - 組織論のコンフリクトの必要性の議論とかぶる
    - 進歩を求める飽くことなき精神がなければ、進歩は止まる
- 合理モデルと徘徊モデルの比較 190
    - 合理モデル: 現在のポジションにとどまったほうがパフォーマンスが高い場合はとどまる
    - 徘徊モデル: あえて現在のポジションを捨てる
    - 徘徊モデルのほうが圧倒的に高いパフォーマンスを実現する
    - 合理モデルでは、たとえそこが局所最適であっても、そこに安住してしまい、すぐに「じり貧」に陥り、化石化してしまうから
- T型フォードの時代のフォード社の偉業は、当初は、スケール観をもった「預言者」フォードと、生産現場での飽くことなき改善(工程イノベーション)によって成し遂げられたものだった。しかし、そのうち、フォードがT型フォードにしがみつくようになると、しがみつかれることでT型フォードは殻と化し、やがてT型フォードが錦の御旗としての効力を失うにつれて、フォード社は「じり貧」に陥っていった 193
- じり貧に陥った場合の正攻法は、預言者や古き理想の復活を目指すこと。直接的な方法は、実は、会社や組織の殻を破ることではなく、個人個人を殻から引っ張り出すことである 194 ※
- 組織同型化のメカニズム 202 ※
    - 環境との機能的適合に対応した「競争型同型化」-> 環境の淘汰圧力のようなメカニズム
    ― 文化・社会的適合に対応した「制度的同型化」
        - 強制的同型化: 依存している組織からの圧力、社会の中での文化的期待、たとえば、法的な規制
        - 模倣的同型化: 組織はより正統的あるいは、より成功していると認識している類似の組織を後追いしてモデル化する。不確実性は模倣を助長する
        - 規範的同型化: 主に職業的専門化に起因するもので、(1)大学の専門化による公式の教育と正当化、(2)職業的ネットワークの成長と洗練が重要。人員の選別も重要なメカニズム。
- 競争型同型化(自然淘汰)では優れた形質で同型化が進まないことがある(ディーラーのフォローカードの事例) 203 ※
    - 制度的同型化(人為的選択)によって優れた形質で同型化する
    - 企業や組織においても重要なのは優れた形質を育てられる「育種家」
    - 例えば、経営者の目的にかなった成功例・様式が見つかったときには、たとえ統計的には無視されてもしょうがないような稀な成功例・様式であったとしても、それを選んで残し、他へと普及させることに努めるべきなのである