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クラスター株式会社のソフトウェアエンジニアです。エンジニアリングや読書などについて書いています。

学習のため書籍を読むときは明確に目的を決める

僕は学習をする際には書籍を参考にするのが好きだ。なぜネットとかではなくて書籍を参考にするかというと、書籍のほうが学びたい事柄についてネット情報や人から教わるのと比べて、どちらかというと体系的にまとめられていると思っているためだ。

ただし書籍を参考にしている時によく陥りがちなのが、「学習する」という目的を忘れて、「本を読み切る」という事自体が目的化してしまうことだ。こうならないため、僕はこの書籍を読む目的をはっきり決めるようにしている。その目的が大体3つくらいの種類に分類されてきたので、今回はそれについてまとめてみようと思う。

三つの目的のどれかを選ぶ

僕の中で学習目的で書籍を読むときは以下の三つの目的のどれかに絞っている。

  • これからの課題を解決する方法を見つけるための読書
  • これまでうまくいったことの言語化を行うための読書
  • 視野を広げるための読書

この三つのどの目的で本を読むか、自分の中で明確にしてから読むようにしている。

これからの課題を解決する方法を見つけるための読書

これは単純。今まさに課題に直面していて(例: チームの開発フローがうまくいってない、レビュー体制がうまく回らない、等)、それを解決する方法を見つけるために書籍を読むということ。

この場合、課題は明確であるので、

  • 最初に知りたい項目を疑問点として書いておく
  • それが書かれていそうな本を探す
  • 疑問点を頭に置いておきながら書籍を読み進める
  • 最後にその疑問点について、書籍に書かれていたことをまとめる

という順で本を読み進める。このようにすることで、課題の解決方法を効率的に書籍から集めることができる。

このような読み方で本を読んだのは例えば以下の様なもの。両方共自分がマネジャー的立場になって、どのように振る舞えばよいかという課題が現れてきたので読み進めることにした。

これまでうまくいったことの言語化を行うための読書

たまにあるとおもうけど、これまでやったことが無いことをやった時に、なぜかこの日はうまくいった、なぜかこの日はうまくいかなかった、みたいなことが起こることがある。最近の自分の例だと、自分が会議のモデレータ役を数回やった時に、この会議ではうまくいったという気分が残ってるのだけど、この会議ではなぜかうまくいかなかったという気分が残っている、みたいな感じ。

この時に、うまくいったのがなぜか言語化できていないと、次から同じように反復してうまく出来るようにならないと思っている。なのでたまたまうまくいったものを今後は反復して行えるように書籍を参照にして、言語化するというステップを設けるようにしている。

この目的の場合、以下のようなステップで書籍を読むようになる。

  • なにかしらの内容で、なぜかうまくいったという経験をする(会議をうまく回せた、タスクをうまく渡すことが出来た、等)
  • うまくいったものと、逆にうまくいかなかったものを先に整理しておく
  • それらについて言語化してくれそうな書籍をいくつか探す
  • 書籍を読みながら、うまくいった理由を言語化している部分と、逆にうまくいかなかった理由を言語化していない部分をピックアップする
  • 最後にその理由をまとめる

このように読み進めると、自分がたまたまうまく出来た理由を言語化することができるので、その後うまくいく方法を反復できるようになる。

このような読み方で本を読んだのは会議についての本。一週間ひたすら会議を主催しまくる週があったのだけど、その時にうまく行った時とうまく行かなかった時があったので、書籍による言語化をはかった。
会議の前に決めることは何か - 「感動の会議!」読んだ - $shibayu36->blog;

視野を広げるための読書

インターネットの情報を参考にするときは、自分の中で検索ワードが決まっている事が多い。そうすると自然と知りたいことを知るというふうな状態に陥ってしまう可能性がある。書籍の場合、ある程度その中に知りたかったこととは違う何かが書かれていることがあるので、視野を広げるためにも書籍は参考にできる。

この目的の場合、以下のステップで書籍を読むようになる。

  • あえて自分の関係する事柄に近いが、いつもなら読みそうにない本を探す
  • あまりメモもとらずに一気に流し読みで読み切る
  • そこで印象に残ったことをまとめる

例えば僕の場合、サービスディレクターになった時に、できるだけ他の職種の視点を知っておいたほうが良いのではないかと考え、視野を広げるためにそれらの職種の人に聞いて良い本を紹介してもらい、ざっと流し見をすようにした。デザイナーの視点、プランナーの視点、ビジネスの視点など様々な視点を見つけるようにした。

このような読み方で本を読んだのはいくつかある。

デザイナーの視点。
「クジラは潮を吹いていた」を読んだ - $shibayu36->blog;

プランナーの視点。
"気持ち"をデザインしてはじめて"仕組み"が機能する - 「コミュニケーションをデザインするための本」を読んだ - $shibayu36->blog;

経営・ビジネスの視点。
「爆速経営 新生ヤフーの500日」を読んだ - $shibayu36->blog;

まとめ

良い書籍は体系だてられた知識を効率的に教えてくれることが多く、非常に効率よく学習を進めることが出来る。これが僕が学習する時に書籍を読むことが多い理由である。

しかし、ここにも落とし穴がある。書籍というのはなんとなく読みきった時の達成感がある。この達成感が強いことにより、少し間違えると「学習すること」が目的だったはずの書籍を読むという行為が、「書籍を読むこと」が目的にすり替わることがある。これはよく手段が目的化する典型例だと思う。

そのため僕はこの本はなんで読むのかというのをきちんと目的を立てて読むようにしている。それをしていった結果、大枠は今回紹介した三つくらいに収束したので、それについてもう一度言語化しておくためにまとめた。

これからも目的を忘れることなく書籍を参照していきたいと思う。

本の読み方については他にもいくつかエントリーを上げているのでそちらも参考にどうぞ。

最近の本の読み方 - $shibayu36->blog;

先に疑問を考えてから本を読む - $shibayu36->blog;