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クラスター株式会社のソフトウェアエンジニアです。エンジニアリングや読書などについて書いています。

不確実な状況に耐える力を学ぶ - 「ネガティブ・ケイパビリティ」を読んだ

自分は問題解決は得意な方だと思っている。しかし逆に不確実な状況・不安な状況・課題がある状況をそのままにして耐える力をもっと付けたいなと思っている。そこで最近目にした「どうにも答えの出ない、どうにも対処しようのない事態に耐える能力」であるネガティブ・ケイパビリティについて学ぶため本を読んでみた。

正直、この本は歴史的な話とか雑談も多く、少し頭に入りにくかったが、一方で示唆のあることを学べた。例えば

  • どうにも対処が難しい課題を見つけた時に、拙速に解決策を見出すのではなく、興味を抱いてその宙吊りの状態を耐えると良い。それによって深い理解に行き着く
  • 問題解決があまりに強調されると、まず問題設定の時に、問題そのものを平易化してしまう傾向が生まれる。この時、複雑さを削ぎ落としているので、現実世界から離れたものとなりがち

この辺りは、エンジニアリングマネジメントの文脈にも近い話題であり面白い話題だなと思えた。

ではどうすればネガティブ・ケイパビリティを高めることができるのか?ここについては明確な話はなかったような気がするが、「ネガティブケイパビリティ」という概念があることを頭に覚えておいて不確実な状況でも置いておくという心がけをしておくことで、少しずつその能力が身についていくのだろうと考えている。

その他参考になるURL

この本以外にも、ネガティブ・ケイパビリティについて述べた以下のURLが参考になった。

マネージャーとNegative Capability

我が身に翻ってみると思い当たる事が多く、特にマネージャーをやっているとこの能力の有用性を感じずにはいられない。例えばよく目にするのは以下の様な事象だ。
* 新しく入ってきたマネージャーが成果を出そうと張り切って色々提案するが、芯を外していたり合意を得られてなかったりで現場でハレーションが起きる
* ある問題を解決する為に新しいツールを導入するが、新しいツールが更なる問題を引き起こし以前より状況が悪化する
* 組織内で色々改善活動を試みるが、すぐには効果が出ず反応も芳しくないので心が折れてしまう

「辛抱強い人」と「そうでない人」の決定的な差。

前出の帚木氏によれば、「この概念の存在を知り、頭に入れて、耐え続ける態度をもつだけで、ネガティブ・ケイパビリティを身につけられる」

ケイパビリティ・ファシリテーション:チームの多様性を活かすためのケース難易度別のポイント

「不安に怯える普通の人」を統率するための「大本営」と「大本営発表」

読書ノート

* ネガティブ・ケイパビリティとは、「どうにも答えの出ない、どうにも対処しようのない事態に耐える能力」 75
    * 逆にポジティブ・ケイパビリティとは、「問題が生じたときに、的確かつ迅速に対処する能力」
* キーツは、ヒトを含めた自然と対峙した時、今は理解できない事柄でも、不可思議さや神秘さに対して拙速に解決策を見出すのではなく、興味を抱いてその宙吊りの状態を耐えなさいと主張 898
    * それによって自然の深い理解に行き着く
    * 気づき: 組織課題やチーム課題に対処した時も、拙速に解決策を出すより、その状態をしばらく置いて根本的な問題に着目した方が良い
* 問題解決があまりに強調されると、まず問題設定の時に、問題そのものを平易化してしまう傾向が生まれる。この時、複雑さを削ぎ落としているので、現実世界から離れたものとなりがち 2266
    * http://blog.tatsuru.com/2022/08/13_0929.html の話と繋がる