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クラスター株式会社のソフトウェアエンジニアです。エンジニアリングや読書などについて書いています。

「MBAより簡単で英語より大切な決算を読む習慣」読んだ

エンジニアをやっていく上で、ビジネス側の素養もあったほうがビジネスサイドの人からも相談しやすかろうと思い、昔おすすめされていた「MBAより簡単で英語より大切な決算を読む習慣」を読んだ。

この本は、決算を読む上で何を重視して読むのか、それぞれのビジネスモデルごとでどういう指標が大事かを教えてくれる。ビジネスモデルごとの売上を決める方程式を教えてくれた上で決算から読み解くという流れになっているので、ビジネスと決算が直接結びつくイメージが付いてよかった。

以下印象に残った部分のメモ。

  • 本に載っている実例を見ると決算を見る時は以下のようなところを見ておくと良い?
    • 売上・営業利益・利益率
    • YoY(対前年比)
    • ビジネスモデルの方程式を抑えて、その指標を見る
    • 競合/類似企業と指標を比較する(特に王者と比較する)
    • 市場規模と比較する
  • 決算を読むときに大事なのは、決算を読む「量」を増やす、時系列で同じ会社の決算書を読み続ける
    • 四半期決算を1時間かけて分析するより、同じ時間で1年分の決算を流し読みする方が発見が多い
    • 流し読みしていると、突然開示される数字や、逆になくなる数字がある。これが「強調したい数字」や「隠したい数字」であることが多い
  • (これは今回の本の論旨とは関係ないけど印象に残った) Amazonの決算資料にある言葉
    • 大企業にとっての一つの共通の落とし穴は「汎用型」の意思決定
    • 意思決定には絶対に後戻りできない「タイプ1の決断」と、そうでもない「タイプ2の決断」の2種類。タイプ2に関しては現場に権限委任して、スピード感を持って決め、失敗したらまたやり直せば良い
    • 組織が大きくなると、多くの「タイプ2の決断」事項も含めて、大抵の決断に厳しい「タイプ1」の意思決定プロセスを選ぶ傾向にある。すると、進行が遅くなり、思慮に欠けたリスク回避をし、十分実験できずに、発明が出来なくなる

読書メモ

* 決算には大きく分けてP&L(損益計算書)、BS(バランスシート)、CFS(キャッシュフロー計算書)がある 169
    * 家計簿になぞらえるなら毎月の収入と支出が書いてあるのがP&LとCFS、家や車などの資産やローンなどの負債について書いてあるのがBS
* 決算短信ではなく、決算説明会資料から読む 179
* 決算を読むときに大事なのは、決算を読む「量」を増やす、時系列で同じ会社の決算書を読み続ける 191 ※
    * 四半期決算を1時間かけて分析するより、同じ時間で1年分の決算を流し読みする方が発見が多い
    * 流し読みしていると、突然開示される数字や、逆になくなる数字がある。これが「強調したい数字」や「隠したい数字」であることが多い
* 決算を読む時は、ビジネスモデルごとに「方程式」を覚えておくと良い 191
* 成長率(対前年比 / YoY)を必ず確認する
* 1社だけではなく、類似企業の決算も分析比較する 227
    * 比較することで違いが浮き彫りになり、意味のある「知識」が見いだせるようになる
    * 同じような事業内容なのに、成長率が大きく異なるなら、その原因がどこにあるか分析する
* ECビジネスの決算 279
    * 方程式: ネット売上 = 取扱高 x 低クレート
    * 1. 各サービスの「取扱高」をチェック、2. 取扱高とネット売上から「低クレート」算出、3.取扱高と低クレート改善のための打ち手を確認
* ECビジネスは他のビジネスに比べてWinner Takes Allが起こりやすいので、「取扱高」が最重要 300
* Amazonの決算資料にある言葉 849 ※
    * 大企業にとっての一つの共通の落とし穴は「汎用型」の意思決定
    * 意思決定には絶対に後戻りできない「タイプ1の決断」と、そうでもない「タイプ2の決断」の2種類。タイプ2に関しては現場に権限委任して、スピード感を持って決め、失敗したらまたやり直せば良い
    * 組織が大きくなると、多くの「タイプ2の決断」事項も含めて、大抵の決断に厳しい「タイプ1」の意思決定プロセスを選ぶ傾向にある。すると、進行が遅くなり、思慮に欠けたリスク回避をし、十分実験できずに、発明が出来なくなる
* FinTechビジネスの決算 973
    * 方程式: 収益の源泉が「フローかストックか」で別
    * お金を預かるビジネス(ストック): 預金残高 x 金利
    * お金を貸すビジネス(ストック): 貸付残高x金利
    * 決済・送金をするビジネス(フロー): 取扱高x手数料パーセント
* 広告ビジネスの決算 1732
    * 方程式: 売上=ユーザー数(特にAU) x ユーザーあたりの売上(ARPU)
    * 類似サービスや競合と比較する時は「ARPU」を比較する
* 個人課金ビジネスの決算
    * 全員課金にすると入り口が狭くなりすぎる場合があるので、無料枠 + 有料会員みたいになることが多い
    * 方程式: 売上 = 広告売上 + 課金売上。ユーザーあたりの売上(ARPU) = 広告ARPU + 課金ARPU
    * 読み解くStep: 1. ARPUを「広告ARPU」と「課金ARPU」に分解。2. 「課金ユーザー数」を増やすための施策を確認。3. 「課金ARPU」を増やすための施策を確認
* 決算を上手に読むための10カ条 161, 4061 ※
    * 1. 他人の家庭の「家計簿」を覗くつもりで読む
    * 2. 必要なのは四則演算のみ
    * 3. 決算短信ではなく、決算説明会資料から読む
    * 4. 企業の「将来」を予測しようとする前に「過去」を正確に理解する
    * (初級者編)
    * 5. 各ビジネスの構造を数式で理解する
    * 6. 各ビジネスの主要な数字を暗記する
    * (中級者編)
    * 7. 徹底的な因数分解で「ユニットエコノミクス(顧客一人あたりの収益性)」を計算する
    * 8. 成長率(対前年比 / YoY)を必ず確認する
    * (上級者編)
    * 9. 1社だけでなく、類似企業の決算も分析・比較する
    * 10. 類似企業間の違いを説明できるようになる
* 決算を読む習慣を付けるためにも、関心がある業界の決算資料を15分と時間を区切って分析を試みる 4072