仕事で何かしら課題を見つけた時に、それを効率よく解決する方法にはどういうものが知りたかった。そこで参考になりそうな「世界一やさしい問題解決の授業」を読んだ。
この本は非常に良かった。100ページ強と非常に少ないページ数ながら、その中に問題解決のためのエッセンスが詰め込まれていて勉強になった。分解の木や課題分析シートなど問題解決のためのツールもコラムに書かれていて、これらも参考になる。とにかくおすすめ。
「課題を見つけて解決策をとりあえず試してみたけど何かうまくいかなかった」というような経験をしたことがある人は読んでみると良いと思う。薄い本ですぐに読めるので、とりあえず誰でも読んでみると良さそう。
この本の中で自分が印象に残った次の二点をまとめておく。
- 問題解決とは「現状を正確に理解し」「問題の原因を見極め」「効果的な打ち手までを考え抜き」「実行する」こと
- アイデアを書き出し、分類や並び替えをし、分解の木を作る
問題解決とは「現状を正確に理解し」「問題の原因を見極め」「効果的な打ち手までを考え抜き」「実行する」こと
課題を発見した時に、よくやってしまいがちなミスはとりあえず思いついた解決策を実行してしまうことだ。例えば「チーム内でコミュニケーションが取れていない」という状況を発見した時に、じゃあ「コミュニケーションを取るために毎日会話ミーティングを用意しよう」と短絡的に解決策を実施してしまうということがある。やってみるとうまく解決できなかったということがよく起こる。
この本では問題解決とは「1.現状を正確に理解し」「2.問題の原因を見極め」「3.効果的な打ち手までを考え抜き」「4.実行する」ことと定義されている。例えば「チーム内でコミュニケーションが取れていない」という状況を見つけた時について考えてみると
- 1.現状を正確に理解し : 「チーム内でコミュニケーションが取れていない」という状況を見つけた時、そもそもその状況は問題なのか、その状況によってどういう問題が起こっているかを自問し、現在の状態を正確に理解する
- 2.問題の原因を見極め : コミュニケーションが取れていない状態はなぜ起こっているのかを深く考え、原因を見極める
- 3.効果的な打ち手までを考え抜き : その課題に対して、どのようにすればコミュニケーションが取れる状態になるかをたくさん考え、その中から効果的な打ち手を洗い出す
- 4.実行する : 効果的な打ち手を考えられたら、実際に実行する
というふうになる。この手順で考えれば、解決策を実施する前に、実は問題ではないかも、見えていることが原因ではないかも、やろうとしていた改善策は効果的ではないかもというようなことが見えてくる。結果として先程のように短絡的に解決策を実施したけどあまり効果はなかったということを防ぐことができそうだった。
今後何か課題を見つけたときは基本的にこの手順を意識して、解決策を無駄打ちしないようにしたいと思う。
アイデアを書き出し、分類や並び替えをし、分解の木を作る
この本の中で問題解決のツールとして、分解の木というものが紹介されていた。このツールは原因を探したり、アイデアを広げたりするのに便利らしい。分解の木とは、ロジックツリーとも呼ばれているもので、要素を漏れなくダブりなく分解していくもの。【3分でわかる】ロジックツリーの使いこなし方 | 株式会社いないいないばぁ を見るとどのようなものか分かると思う。
このロジックツリーというものが役立つということは昔から知っていた。しかし、いざやってみようとすると、はじめからうまく分解するということが難しく困っていた。
そのように思っていたら、この本で最初からうまく分解することが出来ない時や途中で煮詰まった時にどうすればよいか書かれていたので非常に参考になった。うまく分解できないと思ったら、
といった手順を踏むといいらしい。確かに分解できないと煮詰まったときでも、課題の原因として考えつくものをとにかくリストアップしたり、解決策をとにかくリストアップしたりすることはできる。
今後は分解に煮詰まったときは、そこで頑張って分解しようと考え込みすぎず、とりあえず一回アイデアを書き出し、分類や並び替えをするということを心がけたいと思った。
まとめ
何かしら課題を見つけた時に、それを効率よく解決する方法を知るために「世界一やさしい問題解決の授業」を読み、印象に残ったところをまとめてみた。他にも、原因を見極めるいいやり方や、打ち手の考え方、課題分析シートや仮説の木など問題解決に役立つツールなどが解説されていて、それらも非常に参考になった。薄い本ながら非常に内容は濃いものだったのでおすすめ。
読書ノート
読みながら書いていた読書ノートを貼っておく。
- 問題解決とは、「1. 現状を正確に理解し」「2. 問題の原因を見極め」「3. 効果的な打ち手までを考え抜き」「4. 実行する」こと 19 ☆
- ありがちなのは、「数学の成績が落ちてきた」という現象に対して、2も3もすっ飛ばして「じゃあ、数学の成績をあげよう」「もっと勉強の時間を長くしよう」「部活はやめなきゃ」などと短絡的にと考えてしまうこと。原因もわからないので効果的な打ち手もない。
- 分解の木 26 ☆
- 原因を探したり、アイディアを広げたりするのに便利
- 最初からびっしり細かい木は書けない。メモで良いのでアイデアをリストアップ、似たものをグループ化、「ほかには何があるか」「具体的にはどういうものか」と自分に問いかけ、という手順で行っていく
- 煮詰まったらとりあえず思いつくアイディアを全部書き出して、それから並べ替えても良い
- コショウの例が参考になる 29
- 原因を見極めて、打ち手を考える 34 ☆
- 1. 原因を見極める
- 1-A. 原因としてありえるものを洗い出す
- 1-B. 原因の仮説を立てる
- 1-C. どんな分析をするか考え、情報を集める
- 1-D. 分析する
- 2. 打ち手を考える
- 2-A. 打ちてのアイデアを幅広く洗い出す
- 2-B. 最適な打ち手を選択する
- 2-C. 実行プランを作成する
- 1. 原因を見極める
- はい、いいえの木 46
- 原因を調べる、考える道筋を明確にする
- 課題分析シート 49 ☆
- 何を調べる必要があるかを明確に
- 「具体的な課題は何か」「現時点での仮説とその根拠は何か」「仮説を確かめるには、どんな情報を集めて分析する必要があるのか」を明確に
- 課題、仮説、根拠、分析、分析・作業、情報源の項目でまとめていく
- 仮説の木 87
- 話の道筋を整理する
- 並列型(帰納的)な仮説の木と解説型(演繹的)な仮説の木
- 意思決定ツールその1 - 良い点、悪い点リスト 106
- 1. 選択肢を洗い出す
- 2. 各選択肢について、良い点と悪い点を書き出す
- 3. 各項目について3段階で評価する
- 意思決定ツールその2 - 評価軸x評価リスト 109
- 1. 選択肢を洗い出す
- 2. 各選択肢について、評価軸を書き出す
- 3. 各評価軸の重要度を3段階などで評価する