ビジネスを学ぼうシリーズ第6弾。「爆速経営 新生ヤフーの500日」を読んだ。とにかく面白かった。
この本はヤフーが2012年に経営陣を総入れ替えし、社長が宮坂さんになってからどのように経営改革を行ってきたかについて、筆者が取材をもとにまとめたものである。新生ヤフーになってからの改革プロセスが非常に良くまとまっており、具体例もいろいろ出てくる。特に宮坂さんがルールを明確にし、それぞれの社員に自律性を促すマネジャータイプの経営をおこなっているところから、自分自身の経験もあいまって非常に面白かった。
この本の中で個人的に一番面白いと思ったのは、宮坂流マネジメントの本質である「原理原則で動かす」という話だった。
「原理原則で動かす」というのは、
意思決定をする判断のよりどころとなるルールを公開し、社員に周知させた上で事業を進めるというスタイルである。宮坂は管理型のマイクロマネジメントではなく、社員が自律的に動く、ルールに基づく権限移譲型のマネジメントを目指した。
というもの。
この本の中でマネジメントは、
- マイクロマネジメントで現場に細かく指示を出すタイプ
- ルールを公開して、それをみんなに見てもらい、自律的に動いてもらうタイプ
の二種類であるとしていて、宮坂さんはマイクロマネジメントをするには自分には百人規模くらいでないと無理だと判断し、権限移譲型のマネジメントを目指したらしい。
このルールというのは例えばヤフー番付のような仕組みに見られる。これはそれぞれのサービスが定量的な指標に基づき評価され、Y!3といったように5段階の分類に分けられるというような仕組みである。ちょうどサッカーのJ1、J2のような仕組みと同様のようになっていて、年二回その順位が入れ替わるような仕組みらしい。
この時、経営として力を入れたい指標を判断基準に入れる、例えばモバイルに力を入れたいとするとモバイルアプリのダウンロード数などを数値に組み込むというようなことをする。これをすることで、経営として力を入れていることを明確に社員に周知することができるとともに、もし経営的に戦略を変えようとした時は、この指標を少し変更することにより、会社全体に対しても影響をおよぼすことができるようになっている。
この格付ルールは元々サイバーエージェントがやっていたものらしく、それを素早く取り入れていったらしい。
確かに権限を委譲するにしても、このように明確な評価項目がないとその下の人は自律的に動けないだろうなと思う。明確な目標もなく、いい感じにやっておいてというのは任せているのではなく、放任なだけである。この辺りを1000人規模の会社で、仕組みをきちんと作り、自律的に社員が動く仕組みを作っているのがすごい。しかもそれらが新経営陣に変わってからすぐに作られているというのにも驚かされる。まさにこの本のタイトルとなっている爆速経営というのを体現しているなと思った。
他にもいろいろ面白い話が書いてあったので経営に携わっている人は参考になることが多いように思った。またここで紹介されていたおすすめ本も面白そうなものが多かったので是非読んでみたい。
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次のビジネスを学ぼうシリーズは「アリババ帝国」です。
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