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クラスター株式会社のソフトウェアエンジニアです。エンジニアリングや読書などについて書いています。

「考えるカラス」が良すぎる


理科 小学高学年~中学・高校 考えるカラス|NHK for School - NHKオンライン

 

 

今日朝に考えるカラスという番組を見ていて、非常に良かったので書いてみる。

 

考えるカラス

この番組は、「科学の知識」ではなく、自ら課題を見つけ、観察し、仮説を立て、実験し、その結果をもとに考えるという「科学の考え方」を学んでもらおうという新しい理科教育番組です。

 と番組の狙いに書かれている。

こう言っている通り、番組の最初の「考える観察」では、最初はなぜこういうことが起こるんだろう?から始まり、それをどんどん観察していって答えを見つけていく過程が描かれている。ただし、完全に答えは言わない。最後も疑問で、ここまではわかったけどなぜこうなるんだろう、という問いかけで終わる。

また「蒼井優の考える練習」のほうも面白い。最初に科学の3択のクイズが出されて、まず考えてみようと言われる。その後その3択の答えが実演で発表される。そして解説が始まり始めたタイミングで、そこでいきなり番組が終わり、「この先は自分で考えてみよう」というワードで締めくくる。やばい。

 

内容自体も大人でも面白い内容になっていて、このターゲットは親と子供が一緒に見ることを想定してて、その後なんでなるんだろうねーと親子が調べる、という流れを作りたいんじゃないかな―と思った。確かにこんな構成をされると、子供はなんでなんでってなるだろうし、このくらいのクイズ難度だと、親自体もそこまで明確な解を持っているわけではないから、絶対に二人で調べてしまうだろうなーと思う。

誰が企画を練ったのか分からないけど、以前読んでいたコミュニケーションデザインという本に書かれているように、番組だけでないコミュニケーションがきちんとデザインされている番組だなと思った。企画協力に佐藤雅彦が入っているから、そのへんも関係有るのかも。

 

個人的には教育って、知識をただ教えるのじゃなくて、こういうふうになぜをどうやって作るかを教える、考え方自体を教える、そこから調べ方自体を教える、となったほうが良いと思っている。学校で教えられる知識は本当に限られていて、実際に社会に出てからも学習しつづけないといけないので、その楽しさやその方法を学んでおかないといけないと思うから。そういう意味でこの番組は考え方や方法を教える、というコンセプトになっているので非常に良い番組だなと思った。

 

絶対に自分に子供がいたらこの番組をみてわいわいしてしまうなーと妄想してしまったということを書き記すのを最後に感想を終える。

 

コミュニケーションをデザインするための本 (電通選書)

コミュニケーションをデザインするための本 (電通選書)

 

 

 

会社は儲けるためにあるのか

以前、「会社は儲かればいいのかもしれないけど」というワードを聞いたことがあって、今から考えるとそうではないんじゃないかな―と思ってきたので、適当にメモとして残しておく。


今のところの個人的な意見としては、会社は儲けるために存在するのではなくて、社会的に価値を提供するために存在し、そして社会的に価値を提供した結果、自然と儲かるだけであると考えている。ただし、以下の様なことから少し問題を複雑にしているとは思う。

  • 社会的に価値を提供し続けるためには、儲かっていなければならない
  • 価値というのは、それが人に理解されなければ発生しない


このへんの話いろいろ難しいのだけど、会社は儲けるためじゃなくて社会に対して明確な価値を提供するために存在していると僕は考えていたいし、その価値を提供し続けるために儲かっている状態を作り出さないといけないとも思う。ただし、これを逆転させてはならなくて、儲けるために会社の提供している価値を損なうようなことはしていけないとも思っている。結局は、会社が提供している「価値」とはなんなのかを明確にしないといけないんだろうなと思った。

歴史文学「HHhH」

歴史文学でもたまには読もうと思い、「HHhH」という本を読んだ。

この本は第二次世界大戦中のドイツ占領下におけるプラハや、ナチの中で重要なポジションを担いプラハの統治を行っていたハイドリヒ、そしてハイドリヒの暗殺計画に携わったクビシュとガブチークについて書かれた歴史文学。

歴史文学と聞いていたので、最初は小説のつもりで読んでいた。だけれどたちまち僕はどういう構造になっているのか掴めなくなった。例えばこの本の中に書かれている「僕」というのは誰なのか。「僕」の視点になったり、その状況下のプラハの情景に変わったり、ころころ場面が変わるのはなんなのか。

いろいろ見てみると、いくつかの発見があり、ようやくどういう本なのかわかってくる。この本は歴史について創作で書くことをよしとせず、残っている資料を元にしか書かないという制約をかけていること。「僕」というのは著者本人であり、小説を書くための調査までも本の中に組み込まれていること。このあたりが掴めてきてから、こんな独創的な小説というのがあるのかと感じた。



独創的であり、正直非常に難しくはあるのだけれど、なぜ独創的であるかがわかってきてからはかなり楽しんで読むことができた。ただそれでも当時の状況について詳しくなかったため、ネットで当時の状況を調べながら読むという読み方になった。こんな読み方をしたのもこれまであまりないと思う。例えばラインハルト=ハイドリヒ略伝のような情報を先に読んだりした。そういう感じに読んだことにより、プラハにおけるナチの位置付けやハイドリヒの性格、暗殺計画である「類人猿計画」がどのように進んだかを感じることができた。



僕は以前プラハを訪れたことがある。その時は現地の友達に案内してもらった。現地の友達は、いろいろな話をしてくれたし、いろいろな場所を紹介してくれた。その中で、ちょっと苦い顔をしながらやっぱりドイツは嫌いと話していたことや、すこし誇らしげな顔でこの教会はチェコの英雄が立てこもって銃撃戦をしたんだよと話していたことが印象に残っている。

この時の僕は戦時下のチェコプラハの状況をよく知らなかったので、正直このような顔になるコンテキストが全く分からなかった。でも今さらながら、「HHhH」で描かれている戦時下の状況や、ハイドリヒを暗殺し立てこもった教会がその教会であると思い出したことによって、なるほどそういうコンテキストだったのかということが理解することができた。



こういうふうに文学を読みながらその周辺の情報を調べられたこと、これを読むことによってプラハの旅行を思い出せたこと、その辺も含めて非常に面白い本だったと感じた。これからプラハに行くんだったら読むと面白いだろうし、行った人にとっても面白い。僕ももう一度このコンテキストを理解した状況でプラハに行きたい。



最後に全然関係ないけど、プラハの写真を貼っておく。
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