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クラスター株式会社のソフトウェアエンジニアです。エンジニアリングや読書などについて書いています。

「認知行動療法による対人援助スキルアップ・マニュアル」を読んだ

「マンガでやさしくわかる認知行動療法」読んだの続きとして、認知行動療法について学ぶため、「認知行動療法による対人援助スキルアップ・マニュアル」を読んだ。

最近認知行動療法について学んでいる。たまたまエンジニアリングマネージャ/プロダクトマネージャのための知識体系と読書ガイド - Qiitaの記事にEMのスキルと紐付けて認知行動療法関連の本があるのを見つけたので、読んでみた。

この本はどちらかというと認知行動療法をするセラピスト向けの本だが、認知行動療法の理解を深めたり、EMとの関連性を知れたりと面白かった。「相手へのよりよい支援を行うスキル」「自分が健康に仕事を続けるスキル」の二部構成となっていて、それぞれに面白い話があった。

例えば「相手へのよりよい支援を行うスキル」で心に残ったことは

  • 行動は直前の「きっかけ」によって起こりやすさが決まり、直後の「結果」によってその後の定着のしやすさが決まる
    • 問題行動を改善するためには、「きっかけ」と「結果」に着目することで、その行動がなぜ起こっているかを理解しやすい
  • 問題行動(= 本人にとって不利益な行動)があったとして、その問題行動には何らかの役割がある。とにかくやめさせようとするのは難しく、同じ役割を担える適応行動(= 本人にとって利益となる行動)を作り出し、そちらに置き換える必要がある

「自分が健康に仕事を続けるスキル」では、

  • ストレス要因が発生した時、人は「脅威的か否か」「対処できるか否か」という軸で解釈し、その解釈によって実際にストレスと感じるかが決まる
    • 脅威的に思いにくい柔軟な考え方を持つ、対処できるスキルをたくさん身につけることで、ストレス要因があってもストレスに感じにくい状況にできる
  • ストレスサインが何かを自分で持っておく
    • 身体面のサインは気付きやすい。口内炎ができる、腹痛が起こる、睡眠時間が増えるなど

読書ノート

### 相手へのよりよい支援を行うスキル
* 行動は直前の「きっかけ」によって起こりやすさが決まり、直後の「結果」によってその後の定着のしやすさが決まる 281
* 状況 -> 自動思考 -> 反応(気分、行動)モデル 321
    * 自動思考には、自分の信念が反映されやすい
* 問題行動とは、本人にとって不利益になる行動。適応行動とは、本人にとって利益となる行動 360
    * ある役割を担う行動を、問題行動から適応行動に置き換えていくことが大事
* 問題がなぜ続いてしまうのかを、行動と環境との関係から探っていく手法を行動アセスメント 381
    * 行動は何らかの役割を持っていて周りの環境の影響を強く受けている
    * 周りの環境を何とかしようという発想が大事
* 行動の4条件 402
    * 見る事ができる
    * 「しない」ではなく「する」
    * 数値化できる。頻度や持続時間など
    * 人によって解釈が分かれない
        * 意欲がなさそうとかは解釈が分かれる。椅子にぼんやり座るとかは解釈が分かれない
* 問題への対処 425
    * 何が問題かを捉える
        * 不安で仕方ないなど
    * 問題が起こりやすい状況でどのような行動をするかを捉える
        * トイレに駆け込んでしばらくこもってしまうなど
    * 問題行動がどのような環境で生じているかを捉える
        * 起こしやすくするきっかけと、定着させてしまう結果を探る
        * きっかけの注目ポイント:いつ、どこで、誰といるときに、何をしているときに起きるか
        * 結果の注目ポイント:その行動を行うことで、周囲の人はどのようになるか、具体的なモノや機会が得られたり除去されたりしているか、変化している物理的な状況は何か、相手自信の中でどのような変化が生じているか
    * きっかけと結果から、問題行動の役割を特定する
        * 役割は一つだけではないことにも注意
    * 問題行動の役割と同じ役割を持つ適応行動を形成する
* 自動思考を捉える 688
    * 「どんなことが頭に浮かびましたか」
    * 「いつ、どこで、誰と、何をしていた時ですか」
* 自動思考の変容のために 2142
    * 矛盾点を洗い出して妥当性を検討する
    * 自動思考を信じるメリットとデメリットを比べてみる
* 暴露反応妨害法: 不安や恐怖を感じる場面に直面し、意図的に不安や恐怖をあげ、その場に居続けることで自然と不安や恐怖が下がることを身をもって理解する 2341

### 自分が健康に仕事を続けるスキル
* 心理学的ストレスモデル 2582
    * ストレッサーをストレスにしないようにするには
        * 対処スキルをたくさん持ち、「対処できる」自信をつける
        * 物事を柔軟に考えられるようにし、脅威的・対処できるのハードルを下げる
        * 他の人に頼れるようにする
* 自分で気付きやすいストレスサインは身体面のサイン 2620
    * 口内炎ができる、腹痛が起こる、睡眠時間が増えるなど
    * 心理面と行動面のサインは自分ではなかなか気づけない
* ストレスのサインに気づいた時に心がけること 2643
    * ストレスの原因から離れる
    * 優先順位をつけ一つのことに集中
        * ストレスが強まると、あれもこれもとなってしまいがち
    * 軽い運動
    * 自分のためだけの時間を作る
    * できていることに目を向ける