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「組織論補訂版」読んだ

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第Ⅰ部を読んだあと、結局一気に読んだ。

組織論 補訂版 (有斐閣アルマ)

組織論 補訂版 (有斐閣アルマ)

正直かなり難しくて、読むのが非常に大変だった。ただその分、組織の成果や諸問題を起こす背景となる知識を得られたと思う。これを元に組織で起こる問題に対処したり、より良い戦略を考えたりしていきたい。

ちなみに一つ一つの部を読んだあと、必ず自分で印象に残ったところをまとめながら読み返すという読み方をしたのが非常によかった。本書はこういう感じでじっくりと読む読み方が良さそう。経営だったり、組織だったりに興味がある人は一度は読むと良いと思う。

感じたことや、印象に残ったことを以下に記す。

  • 組織の目的、組織の枠組み、組織のプロセス、組織の変革という観点を得られたのは良かった
  • 満足化意志決定の法則のため、選択肢の探索プロセスが、最終的な解に影響する
  • 行動プログラムによって、探索プロセスにかかるコストや時間を大幅に削減する。行動プログラムは同じプロセスを何度も経験することで作成されるので、分業により補助できる
  • 組織均衡論は、兼務している時にメンバーがチームにうまく参画してくれない問題とか、ある役割をメンバーがこなしてくれない問題、メンバーが退職してしまう問題など、いろいろな問題を解釈する手助けとなる
  • 組織のアウトプットは、有効の観点と能率の観点の両側面から見る必要がある。有効でなければなりたたないし、一定の能率を達成しないと組織が参加者への見返りを返せなくなる
  • 組織がさまざまな特性をもつのは、不確実性に対処していくためである
  • 官僚制システムにより、情報の流通をシステム化して、不要な混乱を回避し、組織の効率を上げることができる
    • 一方、目標達成のための規則だったものが、規則の遵守が第一になっていくと、柔軟性がなくなり官僚制の弊害が起こる
  • 組織は、組織に所属する人を、より大きく組織に連結する、よりいっそう組織に対する貢献を動機づけるようなシステムを構造的にもたなければならない
  • 組織が抱える諸問題やコンフリクトの発生は、組織の構造を起因とすることが多いので、プロセスの改善に頼りすぎず、組織の構造自体をより適合したものにする努力が必要
  • 組織デザインはただちにメンバーに影響をあたえることはなく、多くの人が同じように認知し、徐々に組織文化の形になってから、行動に影響を与える
  • コンフリクト(対立的な関係)は、より創造的なアウトプットの生成などに役立つことも、組織崩壊へ繋がる害悪になることもある。役立つことがあるので、コンフリクト自体を悪と考えてはならない。またコンフリクトは誤解にもとづいている事が多いので、交流機会を増やすことでも解決できるが、一方組織構造がコンフリクトを起こす原因となっていることもあるので、協力的な関係を構築するという解決策だけに頼ってはならない
  • 組織は既存の行動レパートリーで問題解決を行う「短期適応(問題解決に相当)」と、組織の行動レパートリーそれ自体を変えることを通じて環境に適応する「長期適応(学習に相当)」がある
  • 組織構造は戦略に従う
  • 組織は学習する
    • ある組織行動がもたらした結果を観察・分析した結果、個人レベルの信念・知識に修正が加えられる
    • 個人が学習したせいかは個人レベルの行動の変化を促し、それが組織レベルでの変化をもたらし、組織は新しい行動を展開する
    • その結果が環境での優れた成果に結びつけば、組織における個人の信念は強化される
    • 低いせいかしかもたらされないなら、その信念は棄却される
  • 組織は学習するが、不完全な組織学習サイクルになってしまうこともある
    • 役割制約的学習: 規則によって自己の信念に反するような行動を余儀なくされ、個人レベルではそのルーティンが適当でないことを知っていても、変化が起こらない
    • 迷信的学習: 売上低下に対し、広告の支出増を多なった場合、実際には景気の回復などで売上高が伸びても、組織メンバーは「広告費の支出増は売上高の上昇をもたらす」という信念を強化するもの
    • 傍観者的学習: 個人は学習するが、それが組織の行動には活かされない。組織部門間の「カベ」が原因だったりする
    • 曖昧さのもとでの学習: 組織の行動がもたらした環境の変化を、組織メンバーが適切に解釈できず、結果として個人の信念が修正されない。曖昧な事象に直面すると、個人は自己の認識枠組みに即して解釈する傾向にあり適切に解釈できないことがある。
  • 組織は既存の枠組みの中で改善をすることをするが、一方で組織の変革も環境変化や規模の拡大によって必要である
  • 組織は既存のやり方を改善する漸次的進化を適用しようとする強い圧力がかかっているので、組織の変革の必要性を認識することが重要である
    • 認識するには、スラック(余裕)資源を持ちスラック探索を行ったり、既存の組織の情報処理手続きによって加工されていない生データを見たり、コンフリクトの発生から組織の変革の必要性のシグナルを受け取ったりしなければならない

読書ノート

自分が面白いと思ったところだけバーっと書いていった読書ノート。

## 第Ⅰ部 組織論の基礎: 第1章 なぜ組織理論を学ぶのか
- 組織論は、現代社会の基礎的構成要素としての組織を対象とし、その行動や変化のメカニズムを解明する学問 3

## 第Ⅰ部 組織論の基礎: 第2章 組織の定義
- 「組織」とは、「2人以上の人々の、意識的に調整された諸活動、諸力の体系」 20
- 組織の概念その1: 組織を構成する要素は、人間そのものではなく、人間が提供する活動や力である 20
    - 個人と活動とを区別することが最も本質的
    - この概念により、組織が成立するためには、個人から組織に必要な活動を引き出すことが必要ということが分かる
- 組織の概念その2: 組織を構成する諸活動・諸力は、体系(system)として互いに相互作用をもつ 21
    - 組織の相互作用は、必ずプラスの効果を生むとは限らなく、ときには利害の対立などが起こる(コンフリクト)
- 組織の概念その3: 組織を構成する諸活動は、「意識的に調整」されている
- 組織の概念を具体的なイメージにする例 23 ※
    - 岩をその道からどけるという例がわかりやすい
    - 岩をどけるには、それぞれが全力で岩を押すという活動をし(活動の提供)、岩を押す方向をとタイミングを一致(相互作用)させる必要がある。そのためには、事前にどの方向に押すか、どういう合図で押すかなどの調整が必要である(意識的調整)
    - 組織とは、岩が動き出してから、退けられるまでの間に存在する合力
- 組織は、一定の時間的広がり(ある一定の時間内)の中にのみ存在する 24
    - 企業では、勤務時間のみ組織があり、それ以外に組織は存在せず、また勤務時間が始まると組織が再構築されているとみなせる
    - 組織は、繰り返し行われる組織化のプロセスのスナップショットとして観察される
- 一定期間以上存在する組織は、絶えず繰り返される組織化の努力によって維持されなければならない 25
- 組織は、(1)互いに意見を伝達できる人々がおり、(2)それらの人は行為を貢献しようとする意欲をもって、(3)共通目的の達成をめざすときに成立する 25
    - 組織成立のための必要十分条件である組織の三要素とは、伝達、貢献意欲、共通目的
- 意思決定をするにま、「意思決定前提」が必要 27
    - 目標、代替的選択肢の集合、各代替的選択肢の期待される結果の集合、各結果がもたらす効用の集合、意思決定ルール
- 満足化意思決定とは、限られた数の選択肢を逐次的に探索し、各選択肢のもたらす結果および効用について限られた範囲内で期待を形成し、その効用が一定の基準を越えていれば、その選択肢を採用する 32 ※
    - この場合、どの順番で、どこから、どのような方向に探索するかで、最終的に選択される解が異なる 33
    - なぜなら満足する選択肢が見つかった時点で決定されるから
- 限られた情報処理能力をいかに効率的に活用するか -> 「行動プログラム」が規定されることで、探索プロセスにかかるコストと時間は大幅に節約される 33 ※
    - 日常の反復的な行動や、組織内の多くの行動は、この行動プログラムにより支配されている
- 殆どの場合、満足化意思決定が行われると考えるならば、動機づけられた人間の適応行動を次のように表現することができる 34
    - 1. 意思決定主体の満足度が低ければ低いほど、代替的選択肢に対する探索活動はそれだけ積極的に行われる
    - 2. 探索活動が積極化すればするほど、いっそう多くの報酬が期待されるようになる
    - 3. 報酬の期待値が高くなればなるほど、満足度も高くなる
    - 4. 報酬の期待値が高くなればなるほど、決定主体の希求水準も高くなる
    - 5. 希求水準が高くなればなるほど、満足度は低くなる
- 人の行動に影響を与えるには、その人の意思決定プロセスに介入し、意思決定前提に影響を与える必要がある 37

## 第Ⅰ部 組織論の基礎: 第3章 組織均衡と組織論の枠組み
- 組織均衡論とは、組織が成立・存続していくためには、どのような条件が必要になるかを明らかにした理論 42
- 組織均衡論の中心的公準 42 ※
    - 1. 組織は、組織の参加者と呼ばれる多くの人々の相互に関連した社会的行動の体系である
    - 2. 参加者それぞれ、および参加者の集団それぞれは、組織から誘因を受け、その見返りとして組織に対して貢献を行う
    - 3. それぞれの参加者は、彼の提供される誘因が、彼が行うことを要求されている貢献と、等しいかあるいはより大である場合にだけ、組織への参加を続ける
    - 4. 参加者のさまざまな集団によって供与される貢献が、組織が参加者に提供する誘因をつくり出す源泉である
    - 5. したがって、貢献が十分にあって、その貢献を引き出すのに足りるほどの量の誘因を供与している限りにおいてのみ、組織は「支払い能力がある」―存在し続けるであろう

- 組織の有効性とは、共通目的を達成するための手段の選択に関する概念。ある手段が、組織の目標水準を達成するとき、その手段は有効であるという 46
- 組織の構造やマネジメントシステムをどのようにするかは、いずれも組織目的を達成できるか否か、つまり有効性の観点からデザインされる 46 ※
- 満足基準による意思決定を前提とすれば、ある目標について有効な手段は複数存在する。その中で具体的にどれが選択されるかは「能率」の概念から決定される。 46 ※
    - 能率とは、一般に、インプットのアウトプットへの変換率
    - すべての参加者についてIi(i番目の参加者の誘因効用) >= Ci(i番目の参加者の貢献効用)が達成できなければ組織は存続できないため、一定の能率以上が必要
- 組織には、厳密な「組織」概念における境界、ドメインとしての境界、意識的調整の及ぶ範囲としての境界の三つの境界の分類がある 50
- 意識的調整の及ぶ範囲としての境界概念が、日常用いる意味での「境界」に最も近い 51
- 組織と環境の図 53
- 組織が存続するためには、一定以上の有効性と能率を達成しなければならない 56
- インプットの総和より大きいアウトプットを生み出すメカニズムの一つが、分業と統合のメカニズム 56
    - 組織が一定以上の能率を発揮するためには、分業にもとづく専門化の利益が、分断された業務を統合するコストよりも大きいことが必要である
    - 組織は構造をもつことで、統合のコストを低く抑えつつ、専門化の利益を発揮しようとする
- 専門化は、素人に比べてより多くの行動プログラムをもつので、迅速に問題を解決できる 57
    - 反復行動で、行動プログラム化することが、専門化の利益
- 調整・統合は基本的にコミュニケーションを通じて行われる。コミュニケーション・プロセスをプログラム化することで、調整・統合コストが削減できる 57
    - 利用される用語、時間、伝達形式を曖昧性の少ないものに特定化し、使用するコミュニケーション・チャネルを特定化する
- 既存の組織構造の枠組みの中で行われる適応を「短期適応」、組織構造の変更を伴って展開される適応を「長期適応」という 59

## 第Ⅱ部 環境に組み込まれた組織: 第4章 組織の戦略的選択
- 取引コストアプローチ 72
    - 1. 経済活動は取引とみることができる
    - 2. 取引を調整する組織形態は、取引コストに依存する
- 取引コスト・アプローチでは、ある資源取引が内部化されるのは、この場合の取引コストが、市場メカニズムで調整される場合の取引コストよりも低いからと説明される 72
- 組織がさまざまな特性をもつのは、不確実性に対処していくため 82
- 不確実性を測定するフレームワーク: 環境の複雑性(単純-複雑)と変化性(安定-不安定)の2つの次元を組み合わせる 84
- 不確実性が低ければ公式化の程度は高くなり(機械的管理システム)、変化が早く不確実性の高い環境では組織は規則が少なく有機的になる(有機的管理システム) 85,86
- 部門間の調整には、統合担当者を置く、組織構造によって調整能力を高める、スラック資源で対応するなどがある 88

## 第Ⅱ部 環境に組み込まれた組織: 第5章 組織への環境からのコントロール
- 組織の生存に必要なある資源が希少で、他の供給者から入手できない場合、その資源の供給者はその組織に対して大きなパワーを持つ 92
    - 意思決定に大きく影響を与える

## 第Ⅱ部 環境に組み込まれた組織: 第6章 組織目標と組織有効性

## 第Ⅲ部 組織構造のデザインと組織文化: 第7章 組織構造と組織デザイン
- 官僚制システム: 情報の流通をシステム化して、不要な混乱を回避するような仕組み 145
    - 規則と手続き、専門化と分業、ヒエラルキー、専門的な知識や技術をもった個人の採用、文書による伝達と記録
- 組織サイズは組織デザインにおいて非常に重要な要因 147
    - サイズが小さければ、環境の変化を機敏に捉え、迅速に対応できるが、管理職や事務職の割合が多くなり、組織効率を低下させることもある
    - サイズを大きくすると、スケールメリットを追求できることがある
    - 大規模化は通常、官僚制化の進行を促す
- 官僚制による標準化によって組織の効率が上がる一方で、過剰になると官僚主義といわれる病弊が見られるようになる 150
    - 規則などを整備すると、その遵守が第一義的に重要になり、部門間の連絡調整などに柔軟性がなくなり、結果として、リスクテイクな企画や行動ができなくなる
- 組織の枠組みを構成しているものは何か 151
    - 階層数: 高いとトップの意思決定が現場に伝達されるまでに遅れが出たり時間コストが増えたりする。しかし、トップの権威は大きくなる。逆に低くて階層が少ないと、トップと現場は相互に連絡しやすいが、トップの権威は乏しくなる
    - 分業化
    - 統制スパン: 一人の管理監督者が見る人数の数。複雑なタスク環境に対応する必要があれば、スパンを小さくして少数精鋭で、単純なタスクであれば大きなスパンで管理できる
- 組織の分割の区分け 153
    - 行動による部門化: 総務、人事、経理、営業など
    - 出力による部門化: 同じような製品やサービス
    - 地域による部門化
- スタッフとライン: 実行組織と支援組織 154
    - 組織効率を向上させるためにヒエラルキーにそって組織の目標を達成することに努める部分と、それを支援する部分
    - サービス提供は前者、総務・人事などが後者
- 組織に所属する人を、より大きく組織に連結する、よりいっそう組織に対する貢献を動機づけるようなシステムを構造的にもたなければならない 155
    - インセンティブシステム
    - 人事管理により、強制されるのではなく自身の意志で働きたいとする意欲、さらにはそのことで積極的に組織に貢献しようとするようにする
    - 採用、配置、人事考課、昇進昇格など、適材適所に関わる仕組みの構造化
- インセンティブ・システムは、客観的な評価指標の作成と、その正当性の確保、公平な運用が欠かせない 156

## 第Ⅲ部 組織構造のデザインと組織文化: 第8章 組織デザインに影響を与える変数
- 組織デザインとは、まず、その組織が何をするかを決定することからはじまる(ドメインの決定) 163
- 組織の成長段階によってデザインを工夫する必要がある 165
- 組織の衰退の回避のためには 167
     - 資源の調達能力が低下するようなら、動態化や柔構造化を積極的に行い、組織を活性化するとか
     - ドメインを再定義するとか
     - 規模を縮小して、効率的な経営を行うとか
- 情報の伝達の設計は組織デザインそのもの 169
    - 官僚制システムに準拠した上意下達方式や、現場で考えを集約しその場で決定しその意向を上に伝える下位上達方式
- 技術が組織の制度や構造を規定する要因の一つ 171
    - 大量生産のバッチシステムなら権限の集中化や手順手続きの標準化を促す
    - 手作業中心のクラフト工程なら、個々の作業者の高度な技能に依存するので、自立性を許容する
- ジョブ・デザインは作業の拡大化と充実化に大別できる 178
    - 拡大化は作業単位を増やし、仕事を単調じゃなくする
    - 充実化は仕事の中身をつくりかえること。
- ジョブ・デザインのモデルであるJDSモデル 180 ※
    - 多様性+タスク・アイデンティティ+有意味性が仕事の有意味感を
    - 自律性が責任の認識を
    - フィードバックが仕事の把握感を
    - それぞれ生み
    - 内的な動機づけや満足を大きくし、欠勤や利点職を少なくして組織の成果に貢献する
    - http://www.earthship-c.com/leadership/Job-Characteristics-Model.html

## 第Ⅲ部 組織構造のデザインと組織文化: 第9章 組織文化
- 個々のメンバーの判断や行動は、組織デザイン変数によって制約されているが、それがそのままただちにメンバーに影響を与えているわけではない 183
    - 変化は変化としてメンバーに認知されなければ、考えや行動に影響を与えることにはならないし、認知されてもそれがそのまま考えや行動をただちに変化させることにはならない
- 状況をより全体的にとらえて、その状況と組織の成果や満足、モチベーションなどとの関係を分析するための概念として、組織風土がある 185
- 組織デザイン変数を、多くの人が同じように認知することで、あたかも、そこに物理的にあるかのように理解することで、その組織を特徴づける文化のようになる。組織の中に、根付いて、判断や行動の枠組みとして働くことになる。組織文化となると、メンバーの行動を制約する 186
- 組織文化を変えることは組織の枠組みを変えることと同義 187
- 組織文化とは、組織の中で、それを構成する人々の間で共有された価値や信念、あるいは、習慣となった行動が絡み合って醸し出されたシステム 188
    - メンバーは誰もがその影響を受けている
- 組織文化を創造する基本的な条件は、それぞれの人達がそこにいて見るもの聞くものを共有しあって、組織へのアイデンティティを互いが強く持つこと 191
- 認知された風土の集団内分散が小さくなる程度に応じて組織文化となる 191
- 分散を小さくする要因 191
    - 近接性: 物理的に近接していると認知を共有しやすい
    - 同質性: メンバーが互いに類似している
    - 相互依存性: タスク実行のために協力しあわなければならないと分散が小さくなる
    - コミュニケーション・ネットワーク: マルチチャネル型ネットワークの方が同質の情報を過不足なく全員に伝達できると、明瞭な文化が形成される
    - 帰属意識の高揚: 研修などを通じて文化を伝達する。社是・社訓の周知などもこれ
- 他の組織と比較して、同等の競争相手というべき組織や、内部のある部署が新しい技術を採用し、成果が質や量において向上した、つまり「パフォーマンスギャップ」を知覚すると、革新の必要が認識される 199

## 第Ⅳ部 組織内プロセス: 第10章 モチベーション
- キャリアの短い方のサイクルは3つに区分できる 210
    - 最初の数年は習得の時期で、探求し方向を定めようとする
    - 定められた方向に向かって邁進し、成長する時期
    - 成長が停滞する時期
- モチベーション理論は欲求説(or 内容説)と過程説(or 文脈説 or 選択説)の二つに区分される 212
- 過程説の中で今最も有効とされるのは期待モデル 218 ※
    - 努力すれば相応の成果が得られそうだという期待と、その成果がその人にとって重要であると考える誘意性を掛け合わせたものが、モチベーションの強さの関数
- 目標設定モデル 219
    - 自らが、何をどのようにすべきかを決定できるような状況のもとでは有意にモチベーションが高揚する
- 組織によって公式に表明された目標に対して、個人が期待していることと合致しない場合、個人と組織は対立することになる 220 ※
    - この相違を埋めて、熱心に働こうとする意欲を強め、組織の効率や生産性の向上をはかる
- コミットメントの強いメンバーは組織に対して前向きで貢献の意欲が強く、組織的均衡も高い水準で達成される。そのため、個々のメンバーの目標と組織の目標を合致させながら、コミットメントの高揚を図ることが重要 221

## 第Ⅳ部 組織内プロセス: 第11章 マネジメント・コントロール
- 権威とは、むりやり服従を強要するようなやり方では拒否されコンフリクトが発生する。むしろ権威を権威と感じさせないような方式の影響関係が形成される方が望ましい 230
    - 権威を不自然に感じないようになればなるほど、権威は権威らしくなるということがある
- リーダーシップとは特定の個人の能力や資質によるのではなく、対人的な関係の中で発揮され、場合によっては、集団の機能そのものであるという考え方が合意を得ている 231
- リーダーシップとは、集団の成員に受け入れられるような目標を設定し、それを達成するために個々の人たちの態度や行動を統合的に組み立て、いわゆる組織化を行い、それをさらに、一定の水準に維持するという集団全体の機能である 231
- リーダー行動は、人間関係中心と、仕事の成果中心の2つの次元がある 233 ※
    - 2つの役割を果たすことが望ましいとされるが、現実には役割葛藤があるので、2つの役割は異なる人によって分担されるようになる
    - 最も有能な人と最も行為を持たれる人は別人になる
- カリスマになれるリーダーとは、自己犠牲を厭わず、進んでリスクを背負い、新たなビジョンを打ち立て、人々をそれに向けて動員できるような改革者 237
    - フォロワーに受け入れられる範囲の、実現可能な構想を提示できる現実主義者である必要もある

## 第Ⅳ部 組織内プロセス: 第12章 コンフリクト・マネジメント
- コンフリクトとは、2つ以上の人や集団の間に生じる対立的な関係 251
- コンフリクトを生み出す条件 252
    - 資源の希少性
    - 自律性の確保: それぞれが自立して動きたがる
    - 意図関心の分岐: 共通の目標を確立できず、協力関係のコンセンサスが成り立たない場合
- コンフリクト関係は、役に立つ場合も害になる場合もある 254
    - 組織内のハーモニーを重視しすぎると、自己満足に陥って、崩壊に至ることもある
    - 組織の業務向上に貢献するようにコンフリクトを管理する必要がある
- 組織にとって機能的であるコンフリクトの視点 254 ※
    - 中位の程度のコンフリクトであれば、つまり多少の緊張の存在は、その低減に向けてメンバーの行動を動機づける
    - 見解が対立することは、しばしばより上質のアイディアを生み出す
    - 対立していたり敵対している状況を、表面化させず押し込めてしまうと、現状を維持するだけになり、変革への意欲を押さえ込むことにもなる
- 組織構造や制度に起因するコンフリクト関係は不可避 259 ※
    - 相互依存した組織間での水平的コンフリクト
    - 上司部下間の垂直的コンフリクト
- 集団間コンフリクトの要因 260
    - 不完全なコミュニケーションネットワーク: 互いの集団が相互依存的なのに、コミュニケーションが正しく行われていない
    - 利害関係の対立や競合: 目標となる指標の対立など
    - 未熟な組織内関係: 誰が何をし、何をすべきでないかを明確に定義していなかったり、誰が誰に伝えるべきであるかなどのコミュニケーションの伝達経路が不確かであったりするとコンフリクトが起こりやすい
- コンフリクトは互いが意志を疎通させないことで、誤解にもとづいていることが多いと考えられている。そこで解消するためには 264 ※
    - 1. コミュニケーションの機会を大きくする
    - 2. 仲介者を設ける
    - 3. 互いのことがよく理解できるようにするために、人事交流を図る
    - ただし構造的なコンフリクトがあるので、協調的な関係を確立すればコンフリクトは減少するはずと考えすぎるのはよくない
- 上司と部下間のコンフリクト関係の5つの解消法 266
    - 1. 一方が立場を撤回し他人に応諾すること
    - 2. 一方が他方を宥めすかして宥和すること
    - 3. 互いが折り合うところを見つけて妥協すること
    - 4. 一方が他方にむりやり強制すること
    - 5. 互いに問題を直視して方途を探ること
    - 1~4は当面の解消に役立つことがあるが、前向きに生かせる方法として直視が最良

## 第Ⅴ部 組織のダイナミクス: 第13章 組織の長期適応と発展過程
- よくデザインされた組織は、既存の構造、文化、組織プロセスや人員の能力で、ある程度の環境変化に対して適応できる行動のレパートリーを持つ 271
- 既存のレパートリーの範囲内で展開される環境適応を「短期適応」、組織の行動レパートリーそれ自体を変えることを通じて展開される環境適応を「長期適応」という 271 ※
    - 短期適応は「問題解決」に相当、長期適用は「学習」に相当
- 組織の成長と発達段階モデル(図もあり) 273 ※
    - 企業社的段階 -> 共同体段階 -> 公式科段階 -> 精巧化段階
    - 企業社的段階: 製品を開発し市場を開発し、環境の中に生存領域を見出す。創始者の創造性革新性が重視。規模が拡大すると創始者の個人的な能力だけでは管理できなくなる
    - 共同体段階: 組織の内部統合をつくり出す段階。強力なリーダーシップにより明確な目標に向けて活動が統合されていく。規模が拡大すると、強力なリーダーシップだけでは機能しなくなる。権限を移譲し分権された諸部門をトップリーダーが指揮する必要のないようにしていく
    - 公式化段階: 職務規制や評価システムなどの規則手続きが導入され、官僚制的になっていく。官僚制の正しい運用により組織は安定的に成長できる。一方規則は組織目標を達成する手段であるが、規則を固守することが目標となる「目標の置換」現象に注意
    - 精巧化段階: 部門や職能を横断するチームを形成し、協力関係を導入する。
- 組織構造やプロセス、組織文化などは新しい戦略に適合するように変革する必要がある 277
    - 組織構造は戦略に従う
- 経営戦略と組織の発展段階 279
- 組織文化は、その組織が過去に経験した外部適応や内部統合に関する諸問題を解決する過程を通じて学習される 281
- 3つの比較静学モデルは、いずれも組織が順調に発展していく場合、そこに段階的な発展パターンが見いだされることを示している 290 ※
- 組織の成長発展は、経路依存性をもっている、ある段階から次の段階へと組織を変革していく経営者の能力に依存している 290
- 経路依存性: 現在および将来の経営資源の蓄積と事業展開が、どのような活動を過去に行ってきたかに依存する 290
    - 組織が直面する諸問題は、外部環境の諸条件の変化だけではなく、その組織の過去の歴史によっても規定されている
- 経営者の提供するサービスは、既存の経営資源を管理・運営するサービスと、新しい経営資源の獲得・蓄積を計画し、組織を変革していくサービスに分けられる 291

## 第Ⅴ部 組織のダイナミクス: 第14章 組織学習と変革
- 組織の発展プロセスはそれぞれの段階における漸次的進化過程と、ある段階から別の段階に飛躍する革新的革新過程という2つのタイプの変化プロセスが交互に組み合わさって記述される 296
    - 長期の発展プロセスは、比較的長期に安定した漸次的進化過程の期間と、そうした均衡を打ち破り組織全体を再構築する不連続な革新的変革過程、そしてその後に再び訪れる漸次的進化過程によって描き出される
    - この流れに従ってうまく二つをバランスさせることが重要
- 個人が経験から学習するように、組織もまた学習する 298 ※
    - 学習とは、潜在的行動能力に起きた変化が、永続的に定着すること
- 組織の行動能力は、組織の持つルーティン(行動プログラム)に依存するので、組織学習は行動プログラムの変化プロセス 298
- 組織ルーティンは制度化されている手続きや組織構造だけでなく、組織文化や暗黙知の形態もとる 298
- 組織の短期適応とは組織ルーティンのレパートリーによって遂行される問題解決活動を通じて行われる適応、ルーティンそのものの変化を伴う適応は長期適応 298
    - 組織学習とは、組織の長期適応に対応する概念
- 組織の学習は「積極的問題解決学習」と「不安除去学習」を通じて行われる 299
    - ある解決案が組織の直面する重要な問題を解決すると、その解が後に喚起・使用される可能性は高くなる(積極的問題解決学習)
    - 不安除去学習は、負の効用を除去するための知識の学習。このような学習は小数の経験だけでも、恐怖症のメカニズムにより、しばしば強化される
- 組織学習のサイクル 300 ※
    - ある組織行動がもたらした結果を観察・分析した結果、個人レベルの信念・知識に修正が加えられる
    - 個人が学習したせいかは個人レベルの行動の変化を促し、それが組織レベルでの変化をもたらし、組織は新しい行動を展開する
    - その結果が環境での優れた成果に結びつけば、組織における個人の信念は強化される
    - 低いせいかしかもたらされないなら、その信念は棄却される
- 組織学習は、上記のメカニズムで説明できるほど単純ではないところに重要な特徴がある 301
    - 現在の環境に適さない行動を展開したりとか
- 組織学習には「低次学習」と「高次学習」がある 301 ※
    - 低次学習は与えられた目標や制約条件のもとで、手段行動のエラーのみを修正する
    - 前提となる価値や目標などそのものを修正を伴う学習を「高次学習」「ダブル・ループ学習」という
    - 学習のレベル比較 302
    - 漸次的進化過程を支配するのが低次学習、革新的変革過程は高次学習に相当
- 基本的に組織学習サイクルは不完全になる傾向があり、低次学習が促進される傾向が強い 302
- 不完全な組織学習サイクルのパターン 303 ※
    - 役割制約的学習: 規則によって自己の信念に反するような行動を余儀なくされ、個人レベルではそのルーティンが適当でないことを知っていても、変化が起こらない
    - 迷信的学習: 売上低下に対し、広告の支出増を多なった場合、実際には景気の回復などで売上高が伸びても、組織メンバーは「広告費の支出増は売上高の上昇をもたらす」という信念を強化するもの
    - 傍観者的学習: 個人は学習するが、それが組織の行動には活かされない。組織部門間の「カベ」が原因だったりする
    - 曖昧さのもとでの学習: 組織の行動がもたらした環境の変化を、組織メンバーが適切に解釈できず、結果として個人の信念が修正されない。曖昧な事象に直面すると、個人は自己の認識枠組みに即して解釈する傾向にあり適切に解釈できないことがある。
- 成熟期にある企業組織の高い能率、有効性を可能にしている特徴それ自体が、革新的組織変革への重大な抵抗や障害となることが多い 308
- あるプログラムや戦略知識が、希求水準を超えるような成果をもたらしている場合、現在のプログラムや戦略よりも優れたものを探索しようとする動機づけは失われる -> 有能さのワナ 311
- 業績低下がゆるやかに起こると、希求水準自体がそれに適応してしまい、革新へのきっかけがつかめなくなる 313

## 第Ⅴ部 組織のダイナミクス: 第15章 組織の戦略的変革
- 組織の戦略、構造・文化などを抜本的に変革する「戦略的組織変革」は経営者にとって最も困難な仕事 317
- 戦略的組織変革のプロセス 318
    - 1. 変革の必要性の認識
    - 2. 変革案の創造
    - 3. 変革の実施・定着
- 組織は漸次的進化によって適用しようとする強い圧力がかかっているため、変革を創始する必要性をまず認識しなければならない 319 ※
    - 必要性に気づくには、組織の既存の情報処理手続きによって加工された情報ではなく、よりリッチな情報を獲得し経営者は自身の責任でそれの意味するところを解釈しなければならない
    - 特定の経験について既存の解釈とは異なった意味を導くには、多用な解釈を試み、それを評価する多様な価値観を適用する必要がある
- リッチな経験として解釈する可能性は、組織の情報探索性向、コンフリクトの三つに依存する 320 ※
    - スラック(余裕)資源をもっていないと、組織は日常業務に関する意思決定を、革新よりも優先的に処理してしまい、リッチな経験として解釈できない
    - 探索モードには問題主導型探索とスラック探索があり、より高いリスクを許容したり多用な解釈の可能性を試してみる「遊び」がゆるされたスラック探索が、新しい解釈に到達する可能性を高める
    - 既存の情報処理手続きによって加工されていない生のデータはリッチな情報を伝達できる
    - コンフリクトの発生は、組織の既存の手続きや規則では処理できない問題が発生していることを示すシグナルとして機能し、戦略的組織変革の役に立つ
- 組織における創造過程に影響を与える3つの条件 324
    - リッチな情報を処理する自律的組織単位: 情報の多義性を増幅し、リッチな解釈をするためには、関連する多様な領域、バックグラウンドをもつ人々をひとつのグループにまとめる必要がある
    - フェイス・トゥ・フェイスコミュニケーション: 革新的アイディアは「暗黙知」の形をとることがおおいので、フェイス・トゥ・フェイスにより暗黙知を言語で表現可能にする手助けになる
    - 冗長性と最小多様性の法則: 自己組織的なプロセスは、メンバーが少なくとも自己の専門領域をもちつつも、組織全体に関する知識や情報をきょうゆうしていなければならない。環境の多様性と同じレベルの多様性が組織単位に組み込まれとき、最も効率的に学習が促進される
- 組織変革の移行過程で生じうる問題は、変化に対する「抵抗」、変化に際しての「混乱」、変化を利用しようとする「対立」の3つがある 328
- 移行状態の問題への基本的な対応方法は、第1に移行状態のマネジメントを専門に担当する管理者およびチームを形成すること、第2にトップマネジメントがこの移行管理チームを全面的にさぽーとし、かれらが職務を完遂できるように支援すること 329
- それぞれの移行かていで生じうる問題に対する対処法 329 ※

## 終章 未来の組織と組織論の未来
- 組織とは人の集合ではあるが、それだけではない。何らかの目標を持ち、それを実現するために、人の集合が、意図的に、あたかもひとつの生き物であるかのように動いているかのように見える 373
- 組織とは、人を一つの方向に動員するシステムの構築だけではなく、モノやカネ、情報などを効果的に統合させるための知識のシステムでもある 375

dockerの公式のGet Startedのドキュメントが今のコンテナ技術の概念をいろいろ学べてお得

https://docs.docker.com/get-started/をやってみたのだけど、今のコンテナ技術の概念をいろいろ学べてお得だった。

みたいな感じで、とにかく一気にコンテナ技術のいろいろな概念が学べた。あとは具体的な技術(ECSのTask Definitionとかロードバランサとか、k8sのPodとかクラスタ管理とか)がこれらの概念のどこに当てはまるか考えていると理解が早そう。

「組織論補訂版」第Ⅰ部 組織論の基礎を読んだ

組織のことを体系的に学習したいと思って、組織論補訂版を読んでいる。

組織論 補訂版 (有斐閣アルマ)

組織論 補訂版 (有斐閣アルマ)

組織の理論を体系的にまとめられているので、非常に知識が得られる。一方で専門性も高く、読みながら自分できちんと具体的な例を想像していくというように丁寧に読まないと理解がついていかないとも感じている(これは自分の実践や前提となる知識不足を感じる)。なので、一つずつ丁寧に理解していきたい。

ひとまず、「第Ⅰ部 組織論の基礎」を読んだ。第Ⅰ部は3章構成。

  • 第1章 なぜ組織理論を学ぶのか
  • 第2章 組織の定義
  • 第3章 組織均衡と組織論の枠組み

面白いなーと思ったのは、満足化意思決定、行動プログラム、組織均衡論、有効性と能率性の話かな。

  • 満足化意思決定とは、限られた数の選択肢を逐次的に探索し、各選択肢のもたらす結果および効用について限られた範囲内で期待を形成し、その効用が一定の基準を越えていれば、その選択肢を採用する 32
    • この場合、どの順番で、どこから、どのような方向に探索するかで、最終的に選択される解が異なる 33
    • なぜなら満足する選択肢が見つかった時点で決定されるから
  • 限られた情報処理能力をいかに効率的に活用するか -> 「行動プログラム」が規定されることで、探索プロセスにかかるコストと時間は大幅に節約される 33
    • 日常の反復的な行動や、組織内の多くの行動は、この行動プログラムにより支配されている
  • 組織均衡論とは、組織が成立・存続していくためには、どのような条件が必要になるかを明らかにした理論 42
  • 組織均衡論の中心的公準 42 ※
    • 1. 組織は、組織の参加者と呼ばれる多くの人々の相互に関連した社会的行動の体系である
    • 2. 参加者それぞれ、および参加者の集団それぞれは、組織から誘因を受け、その見返りとして組織に対して貢献を行う
    • 3. それぞれの参加者は、彼の提供される誘因が、彼が行うことを要求されている貢献と、等しいかあるいはより大である場合にだけ、組織への参加を続ける
    • 4. 参加者のさまざまな集団によって供与される貢献が、組織が参加者に提供する誘因をつくり出す源泉である
    • 5. したがって、貢献が十分にあって、その貢献を引き出すのに足りるほどの量の誘因を供与している限りにおいてのみ、組織は「支払い能力がある」―存在し続けるであろう
  • 満足基準による意思決定を前提とすれば、ある目標について有効な手段は複数存在する。その中で具体的にどれが選択されるかは「能率」の概念から決定される。 46 ※
    • 能率とは、一般に、インプットのアウトプットへの変換率
    • すべての参加者についてIi(i番目の参加者の誘因効用) >= Ci(i番目の参加者の貢献効用)が達成できなければ組織は存続できないため、一定の能率以上が必要


この本を読んでいる時の前提知識として以下の本の内容が非常に参考になっているので、先にこっちを読んでおくと良いかも。

組織デザイン (日経文庫)

組織デザイン (日経文庫)

読書ノート

## 第Ⅰ部 組織論の基礎: 第1章 なぜ組織理論を学ぶのか
- 組織論は、現代社会の基礎的構成要素としての組織を対象とし、その行動や変化のメカニズムを解明する学問 3

## 第Ⅰ部 組織論の基礎: 第2章 組織の定義
- 「組織」とは、「2人以上の人々の、意識的に調整された諸活動、諸力の体系」 20
- 組織の概念その1: 組織を構成する要素は、人間そのものではなく、人間が提供する活動や力である 20
    - 個人と活動とを区別することが最も本質的
    - この概念により、組織が成立するためには、個人から組織に必要な活動を引き出すことが必要ということが分かる
- 組織の概念その2: 組織を構成する諸活動・諸力は、体系(system)として互いに相互作用をもつ 21
    - 組織の相互作用は、必ずプラスの効果を生むとは限らなく、ときには利害の対立などが起こる(コンフリクト)
- 組織の概念その3: 組織を構成する諸活動は、「意識的に調整」されている
- 組織の概念を具体的なイメージにする例 23 ※
    - 岩をその道からどけるという例がわかりやすい
    - 岩をどけるには、それぞれが全力で岩を押すという活動をし(活動の提供)、岩を押す方向をとタイミングを一致(相互作用)させる必要がある。そのためには、事前にどの方向に押すか、どういう合図で押すかなどの調整が必要である(意識的調整)
    - 組織とは、岩が動き出してから、退けられるまでの間に存在する合力
- 組織は、一定の時間的広がり(ある一定の時間内)の中にのみ存在する 24
    - 企業では、勤務時間のみ組織があり、それ以外に組織は存在せず、また勤務時間が始まると組織が再構築されているとみなせる
    - 組織は、繰り返し行われる組織化のプロセスのスナップショットとして観察される
- 一定期間以上存在する組織は、絶えず繰り返される組織化の努力によって維持されなければならない 25
- 組織は、(1)互いに意見を伝達できる人々がおり、(2)それらの人は行為を貢献しようとする意欲をもって、(3)共通目的の達成をめざすときに成立する 25
    - 組織成立のための必要十分条件である組織の三要素とは、伝達、貢献意欲、共通目的
- 意思決定をするにま、「意思決定前提」が必要 27
    - 目標、代替的選択肢の集合、各代替的選択肢の期待される結果の集合、各結果がもたらす効用の集合、意思決定ルール
- 満足化意思決定とは、限られた数の選択肢を逐次的に探索し、各選択肢のもたらす結果および効用について限られた範囲内で期待を形成し、その効用が一定の基準を越えていれば、その選択肢を採用する 32 ※
    - この場合、どの順番で、どこから、どのような方向に探索するかで、最終的に選択される解が異なる 33
    - なぜなら満足する選択肢が見つかった時点で決定されるから
- 限られた情報処理能力をいかに効率的に活用するか -> 「行動プログラム」が規定されることで、探索プロセスにかかるコストと時間は大幅に節約される 33 ※
    - 日常の反復的な行動や、組織内の多くの行動は、この行動プログラムにより支配されている
- 殆どの場合、満足化意思決定が行われると考えるならば、動機づけられた人間の適応行動を次のように表現することができる 34
    - 1. 意思決定主体の満足度が低ければ低いほど、代替的選択肢に対する探索活動はそれだけ積極的に行われる
    - 2. 探索活動が積極化すればするほど、いっそう多くの報酬が期待されるようになる
    - 3. 報酬の期待値が高くなればなるほど、満足度も高くなる
    - 4. 報酬の期待値が高くなればなるほど、決定主体の希求水準も高くなる
    - 5. 希求水準が高くなればなるほど、満足度は低くなる
- 人の行動に影響を与えるには、その人の意思決定プロセスに介入し、意思決定前提に影響を与える必要がある 37

## 第Ⅰ部 組織論の基礎: 第3章 組織均衡と組織論の枠組み
- 組織均衡論とは、組織が成立・存続していくためには、どのような条件が必要になるかを明らかにした理論 42
- 組織均衡論の中心的公準 42 ※
    - 1. 組織は、組織の参加者と呼ばれる多くの人々の相互に関連した社会的行動の体系である
    - 2. 参加者それぞれ、および参加者の集団それぞれは、組織から誘因を受け、その見返りとして組織に対して貢献を行う
    - 3. それぞれの参加者は、彼の提供される誘因が、彼が行うことを要求されている貢献と、等しいかあるいはより大である場合にだけ、組織への参加を続ける
    - 4. 参加者のさまざまな集団によって供与される貢献が、組織が参加者に提供する誘因をつくり出す源泉である
    - 5. したがって、貢献が十分にあって、その貢献を引き出すのに足りるほどの量の誘因を供与している限りにおいてのみ、組織は「支払い能力がある」―存在し続けるであろう
- 組織の有効性とは、共通目的を達成するための手段の選択に関する概念。ある手段が、組織の目標水準を達成するとき、その手段は有効であるという 46
- 組織の構造やマネジメントシステムをどのようにするかは、いずれも組織目的を達成できるか否か、つまり有効性の観点からデザインされる 46 ※
- 満足基準による意思決定を前提とすれば、ある目標について有効な手段は複数存在する。その中で具体的にどれが選択されるかは「能率」の概念から決定される。 46 ※
    - 能率とは、一般に、インプットのアウトプットへの変換率
    - すべての参加者についてIi(i番目の参加者の誘因効用) >= Ci(i番目の参加者の貢献効用)が達成できなければ組織は存続できないため、一定の能率以上が必要
- 組織には、厳密な「組織」概念における境界、ドメインとしての境界、意識的調整の及ぶ範囲としての境界の三つの境界の分類がある 50
- 意識的調整の及ぶ範囲としての境界概念が、日常用いる意味での「境界」に最も近い 51
- 組織と環境の図 53
- 組織が存続するためには、一定以上の有効性と能率を達成しなければならない 56
- インプットの総和より大きいアウトプットを生み出すメカニズムの一つが、分業と統合のメカニズム 56
    - 組織が一定以上の能率を発揮するためには、分業にもとづく専門化の利益が、分断された業務を統合するコストよりも大きいことが必要である
    - 組織は構造をもつことで、統合のコストを低く抑えつつ、専門化の利益を発揮しようとする
- 専門化は、素人に比べてより多くの行動プログラムをもつので、迅速に問題を解決できる 57
    - 反復行動で、行動プログラム化することが、専門化の利益
- 調整・統合は基本的にコミュニケーションを通じて行われる。コミュニケーション・プロセスをプログラム化することで、調整・統合コストが削減できる 57
    - 利用される用語、時間、伝達形式を曖昧性の少ないものに特定化し、使用するコミュニケーション・チャネルを特定化する
- 既存の組織構造の枠組みの中で行われる適応を「短期適応」、組織構造の変更を伴って展開される適応を「長期適応」という 59