僕は今、大学を一年休学し、4月から株式会社はてなでアルバイトをしている。KLab×はてな エンジニア応援ブログコンテストという企画があったので、応募してみる。エンジニア武勇伝とはちょっと違うかもしれないが、この機会に「自分がはてなに入ったきっかけ」と、「今どういう気持ちでエンジニアをしているか」について、少し書きたいと思う。
なぜ一年休学してアルバイトをしているか
実際だったら四回生のこの時期に、なぜ休学してアルバイトをしているか。
僕は大学に入ったときから、大学院に行くつもりがなく、卒業したらエンジニアとして就職しようと思っていた。ただ、三回生になったとき、「本当にエンジニアに向いているのか」について疑問に思ってしまった。少し悩んだが、このまま就職しても自分にとって、いい結果は生まないのではないかと考え、思い切って大学を一年間休学し、エンジニアの仕事の世界に飛び込んでみるという決心をした。インターンではなく、アルバイトにしたのはエンジニアという仕事にじっくりと取り組み、自分に確信を持って最終的な仕事を決めたかったからだ。
はてなに入ろうと思う前の事
上で書いたような考えがあったため、3回生の中盤から、エンジニアのアルバイトを探し始めた。夏休みの最後あたりにアルバイトを見つけ、三回生の後期はそこで働きながら、学校に通っていた。それまでは、学校ではプログラミングをしていたが、自分の趣味ではそこまでしているとは言えなかったため、知識が少なく、毎回の仕事が新しい発見ばかりで非常に楽しかった。四回生になり休学した時もこの会社で働けたらなと思った。
しかし、休学の手続きが終わり(2、3月くらい)、本腰を入れてアルバイトを始めたころに、少し状況が変わった。その会社の親会社(?)からの請負業務をやっていたのだが、その業務がデスマーチ化したのだ。クライアントの要求が納期の一週間前に変わる、そもそもの納期が短すぎるなどの理由から、仕事が間に合わないという状況となった。社員の人はずっと家に帰らず仕事を続ける(もちろん土日も出勤)。外注の人を増やすが、そもそも管理する人がいないせいで効率が悪く、また人が増えたためコミュニケーションが増え、さらに仕事が遅れる。そんな状況が二ヶ月ほど続いた。その状況からの出口も見えない。
このような状況は、もしかしたらエンジニアの仕事ではよくあることかもしれない。「それも仕事の一面なんだから文句を言うなよ」と思われるかもしれない。ただ、思い切って大学を一年間休学までしたのに、ずっとこの状況だったため、さすがに辛くなっていた。このまま一年働いて、本当に自分に確信が持てるのだろうか、と不安になってきた。不安になってくると、仕事の効率も落ち、さらに不安になり、と悪循環になっていた。このままではまずいと思った。
出会い
そんなときに、IT勉強会カレンダーで、「GREEのCTO藤本さんとの座談会」というイベントを見つけた。このイベントには、エンジニア志望の人が来るだろうし、刺激を受ける事ができるかもしれないから行ってみたいと思った。ただ、そのイベントの日は他の用事でかなり忙しく*1、行くかどうかかなり迷った。最終的に、こんな機会はあんまりないだろうと思い、行く決心をした*2。
そのイベントは、藤本さんの話を一時間くらい聞き、その後に集まっている人とご飯を食べながら、話をするというものだった。ただ自分は初対面の人と積極に話すというのはあまり得意ではなかったため、あまり話に混じれずにいた。ただ、そのイベントの場には、そのときのバイト先の先輩がいたため、その人と少し話していた。今のバイト先の話や、今思ってる不安をちょっと話していると、「今来ている友達ではてなでバイトしている人がいるから話をしてみる?」という話になった。
そこで、会ったのがid:yaottiさんだ*3。はてなの話を少し聞くと、はてなでアルバイトをしてみたいという気持ちになった。だめもとではあったが、その場ですぐに「アルバイトをしたいと思っているのですが、人事の方に聞いてみてもらえないでしょうか」と言った。話をしてもらえることになった。
別れ
話をしてもらったら、面接を受けさせてもらえる事になった。面接まで三週間ほどあったが、何の相談もなしにアルバイトの応募をしたため、面接までにそのときのアルバイト先の人と、この先アルバイトをどうするか、話をしなければならなかった。バイトをどうするかは自分でも迷っていた。話をしてみて、「はてなで毎日働きたい、でも突然すぎてそのときのバイト先の人に悪いのではないか」という思いがあって、はてなで週三日、そのときのバイト先で週二日というやり方に決めた。自分の「やりたい」という思いに反して、「はてなと今の会社ではできる事が違うから、この選択が一番いい選択だ」と自分に言い聞かせた。ただ、迷いは残っていた。
そんな時、ある朝に一本の電話で起こされた。母親から「いとこが交通事故にあって、かなり厳しい状況になっている」と言われた。一年に1~2回くらい会っていたため、非常に驚き、戸惑った。その一週間後にその子は亡くなった。まだ17歳だった。
この日から、「人って若くても簡単に死ぬんだな」と思うようになった。また、「生きているんだったら、少しくらい人に迷惑がかかっても自分のやりたいことを全力でやらなければならない」と思うようになった。そう思ったら、残っていた迷いがなくなった。すぐにそのときのバイト先の方に「やはりはてなでのアルバイトに集中したい」ということを伝え、了承をもらうことができた。もう退路はない、全力でやらなければならないと思った。
そしてはてなに入った
その後、面接を受けた。はっきり言って面接はかなり緊張した。ここで落ちたら、どうすればいいかわからなかったからだ。幸い面接は通り、4月中旬からはてなでアルバイトをさせてもらえる事になった。
はてなでアルバイトをし始めたら、思った以上に大変だった。二週間で決められた一つのプロダクトを作らなければならず(もちろん社員さんがTAという形でついてくれる)、それまでperl, javascriptには触った事がなかったため*4、非常に苦労した。アルバイト時間中だけでは間に合わなかったため、家に帰ってからもずっとプログラミングをし続けた。確かに大変だったが、迷いはしなかった。「全力でやらなければいけない」という考えを常に持っていたからだ。結果、なんとか二週間で自分の満足するプロダクトを作る事ができ、レビュー会で評価・指摘をもらい、「一つのものを作った」という自信を持つ事ができた。
今どういう気持ちでエンジニアをしているか
はてなでアルバイトを始めてから二ヶ月がたった。プロジェクトに関わり、エンジニアとして、プログラミングを行なっている。個人的な事情があって、週四日にしてもらってはいるが、「全力でやらなければならない」という気持ちはずっと持ち続けている。その気持ちがあるおかげで、アルバイトから帰ってきたあともだらだらせずに、プログラミングの勉強や開発を行なえている。
上に書いた通り、「エンジニアに向いているかどうか知りたい」という気持ちがあって、休学をし始め、これまで様々なことがあった。この四ヶ月間で「やりたいことを全力でやらないといけない」という非常に大切な考えを得る事ができた。また、この気持ちでエンジニアの仕事をひたすらやっていたら、もう一つの気持ちにも気づく事ができた。それは「エンジニアとして開発を行なうのは非常に楽しい」ということだ。休学するに至って、最初に思っていた「エンジニアに向いているか知りたい」という目標は達成できたのではないかなと思う。大学を卒業した後も、エンジニアとして働きたい。
最後に
最初に書いた通り、今回書いた内容は「はてなに入ったきっかけ」と「今どういう気持ちでエンジニアをしているか」についてなので、エンジニアの武勇伝ではないかもしれない。ただ、自分がエンジニアとして働きたいと思えるようになった話なので、この機会に書いておきたいと思い、書いた。今は技術的には未熟であり、まだまだエンジニアの武勇伝のようなものは書けない。しかし今働く事ができているはてなには、エンジニアとして非常にレベルの高い人が多くいるので、その人たちを見習い、スキルを高め、いずれ自分も武勇伝と思えるような仕事を達成したい。そのためにも、この四ヶ月で得る事ができた「全力でやらないといけない」という思いを忘れずに、これからも自分を高めていきたいと思った。