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ユーザーインタビューの具体的な方法を知る - 「ユーザーインタビューのやさしい教科書」を読んだ

ユーザーニーズを理解する手法を学ぶ - 「はじめてのUXリサーチ」読んだ - $shibayu36->blog;に引き続き、定性的な意見を集める手法を学んでいる。今回は「ユーザーインタビューのやさしい教科書」を読んだ。

こちらは「はじめてのUXリサーチ」と比較すると、より具体的な方法について書かれていた。たとえばインタビュー計画段階では何をするか、質問はどう設計するか、当日はどのような流れで進めるべきか、考察はどう行うかなどだ。まず1回目をやってみようとする人の教科書として最適だと思った。

具体的な方法とは別に、印象に残った部分は以下のとおり。

  • 自分が理解したい内容のメイン質問と一緒に、背景を具体的に問う質問を用意する
    • たとえば、ペットを飼っている人は医療費がかかりすぎることを気にしているという結果が得られたとする。しかし反論として、そもそも対象者はペットが好きではないのではというものがありうる。その時に、ペットとの過ごし方をインタビューとして聞いておき、ペットをベッドに入れて寝るようなペット好きほどこのような傾向があると言えれば、良い知見となる
    • 聞くことが増えるとインタビュワーが慌ててしまい情報が得られなくなるので、必要最低限にすることも注意
  • 背景を聞くときは、一般論ではなく、自身の体験を語ってもらえるような質問を作っておく
    • ❌「人と約束した時間は守る方ですか」
    • ⭕️「最も最近人との約束に遅れてしまった時のことを思い出してください。まず誰との約束でしたか?」
  • 仮説検証のインタビューの場合、状況証拠を特定するような質問にする
    • ダイレクトに仮説を示して意見を求めると、相手が忖度して「はい」と言ってしまう
  • 報告として、生の声を活かすと読む人に現実味が伝わる

読書ノート

- インタビューには、開発者のモチベーションアップやチームビルディングの効果もある 25
- レポートするときは、必ず事実と解釈を分ける 29
- インタビューのタイプは3タイプ 34~37
    - 機会探索型:顧客の状況行動感情を理解し、満たされていないニーズ自体を発見する
        - 結果をまとめる形式:カスタマージャーニーマップ、ペルソナ、現状シナリオなど
        - 注目する情報
            - その人が大切に思っていること、嬉しいこと
            - 困っていること、改善したいこと
            - これからどうなりたい、どうしたいか
            - あることは、その人にとってどんな意味を持っているか
    - タスク分析型:製品が提供するべき機能などを検討するため、顧客の活動や関心ごとを理解する
        - 作る製品やサービスの方向性は決まっていることを前提に、より具体的に活動の詳細を調べる
    - 仮説検証型:考えている仮説について、それが正しいことを確認し、変更すべき点を特定する
        - 注目する情報
            - 顧客の人物像:顧客の属性に関する想定は間違っていないか
            - ニーズ:顧客は自分たちが解決しようとしている課題を持っているか。それは顧客にとって無視できないほど重要な課題か
            - 顧客の要求を満たすために自分たちが考えた機能や特徴は、本当に顧客に受け入れられ、実際に役に立つか
- 計画のチェックポイント 40~ ⭐️
    - インタビューの計画
        - 目的を設定する
        - どんな人に何人インタビューするか決める
            - 対象者の条件は何段階か設定し、対象者が少なければ緩めていく 48
        - 計画書をまとめ、関係者に共有
    - 質問と流れの設計
        - 視点ごとに話題を切り分けながら、質問を設計する
        - 具体的な質問を考え、ガイドにまとめる
    - タイプごとのインタビュー
        - 機会探索では、具体的な体験を聞きながら価値観やニーズのヒントを得る
        - タスク分析では、行われる活動を分析的・論理的に聞く
        - 仮説検証では、誘導を避けながら、しっかり考えて評価してもらう
- 半構造化インタビューの質問設計 50 ⭐️
    - 相手の基本的な属性確認などを設計
        - 仕事について、生活について、製品やサービスの利用について
    - 質問する内容を大きなまとまりごとに分割
        - その後の活用の仕方や報告書の構成を頭に置いて検討。例:お客様はこんな時に、このような選び方をして、こんな点に不満を感じています
    - 脇を固める周辺的な質問も用意 54
        - ペットの医療費がかかりすぎることを気にしている -> 対象者が実はペットが好きじゃないのではと言うツッコミ -> ペットをベッドに入れて寝るような人の方がこの傾向が強いと話す
        - 背景を具体的に問う質問を配置する
            - 複雑な質問なら、意図を正しく理解していることを確認するため、別の聞き方でもう一度聞いてみる
            - 具体的な行動の内容を言えるか確認する
        - ただし聞くことが増えすぎるとインタビュワーが慌ててしまい、結局情報が得られない。必要最低限にする必要がある
    - 定量化を行うための標準化された質問
        - 定量化するために、質問文言も一緒で、同じタイミングに聞く
        - 例:あなたがこの商品を購入するとしたら、何円まで出せますか?
- インタビューガイドの作成 56
    - 聞きやすく答えやすい質問から。質問が単純で、本人がよく知っていて、プライバシーに触れず、短い言葉で答えられる。例:今日は朝ごはんは食べましたか。誰かと一緒に食事をしましたか、それとも一人でしたか
    - 相手が思い出す・評価する作業を助ける
        - 親しい友人とのコミュニケーションはどのようにしているかを聞きたい場合、複数の分解された質問からなる対話の流れとして準備できる
        - あなたが、“親友”と思う人たちを3人思い浮かべてください。ここに、それぞれの名前だけ書いていただけますか(紙とペンを渡す)。あだ名やイニシャルでも構いません
        - それぞれ、どんな人か簡単に教えてください。あなたが“親友”という言葉からどんな関係をイメージしているのかを知りたいんです
        - それぞれ、直接会う頻度はどれくらいありますか。それ以外では、どんな方法でのやり取りがありますか。ここに書いてある、電話、メール、SNS、郵便、その他について、まずは頻度を教えてください。
    - 難しい言葉遣いを避ける。耳で聞いて簡単に理解できる問い方で 60
    - 回答を助けるための具体例を「いくつか」準備 62
        - 一つだと誘導してしまう
    - 時間配分と優先度を記載
    - リハーサルをして、「ところで」が多すぎないか、同じ質問を二度していないか、違和感を感じないかをチェック
    - サンプルは251
- 背景を聞くときは、一般論でなく、自身の体験や語ってもらえるような質問を作っておく 64
    - 「人と約束した時間は守る方ですか」 -> 「最も最近人との約束に遅れてしまった時のことを思い出してください。まず誰との約束でしたか?」
- 仮説検証のインタビューの場合は、状況証拠を特定してそれを確認する 70
    - ダイレクトに仮説を示して意見を求めると、相手が忖度してしまう
- 準備のチェックポイント 74 ⭐️
    - インタビューの参加者を集める
        - 参加者の募集には2週間程度の十分な時間を確保
        - 募集方法、スクリーナーの配布・回収方法を決める
        - 必須条件、優先条件に当てはまる確認するためのスクリーナーを作成
        - 日程、開催地やリモートでの参加方法、謝礼など、参加の判断に必要な情報を伝える
        - 確定した参加者に、日時、開催地、参加方法、用意するものなどを伝える
    - 環境とセッティング -> そんなに重要な情報なさそう
- 定量的尺度の質問をした上で、その理由を深掘りするのも良い 120
    - 全く使いたくない〜是非とも使ってみたいの6段階を用意し、「どうしてその点を付けたのですか?」とかを深掘り
- 実施のチェックポイント 124 ⭐️
    - 気持ちよく話せる場を作る
        - ラポールを築く
        - ラポールを壊さないように相手の表情や態度を観察し、適切な言葉を使う
    - 柔軟に舵をとる
        - インタビューガイドは台本ではなくチェックリスト
        - 誘導にならない言葉づかいと態度
    - 語りを引き出す
        - 質問の基本と深掘りテクニックを活用し、焦らずに問いを重ねる
        - 堀り止めの判断を急がない
        - 文脈や環境や時間をずらす質問で掘り筋を切り替える
        - 日ごろ意識していないことを考えさせるところまで踏み込む
- ラポールを構築する 127
    - 自分の見た目を気にする
    - 相手に関心を持ち質問する
    - 感謝の気持ちを込めつつ、最初の挨拶をする
    - 何を言われても傷つきませんと伝える 133
    - 共通点や共通の話題を探す
    - 不快感につながる言葉づかいを避ける。「だから...」「ですから...」のようなどうして一回でわからないのという心の声が透けるような言い方はやめる 142
- インタビューをするときは相手に教えをこうくらいがちょうど良い 139
- 知識レベルを問うときのテクニック 144
    - いきなり「今お使いのクレジットカードにどんな優待サービスがあるかご存知ですか?」と聞くと固まる
    - 自分の知っていることを家族や友達に紹介するというシナリオで聞くテクニック
    - 「特典どんな感じ?と聞かれたら、なんて答えますか?」
- 質問の基本 170
    - 端的で明瞭な問いを用意する
    - 余計な前置きは省く
    - クローズドクエスチョンとオープンクエスチョンを使い分ける
        - オープンなら言葉や表現の選び方も含めてニュアンスを聞き取れる
        - クローズドは、いきなりスタート地点を聞きたいことから遠くにならないように話題を意図的に絞り込みたい時に使える。それた話を本筋に戻せる
    - 相手の発言を正しく理解しているか確認するときは、違ったら遠慮なく言っていただきたいんですけどと前置きした上で、「つまりxxxということですか?」と聞く
    - 間を恐れない
- 深掘りの基本 180
    - まずインタビューテーマと比較し深掘りすべきか検討 189
    - 5W2H = 5W1H + 感情や気持ちのHow did you feel?を埋める 190
    - 相手が使った言葉を拾い、問いかける
    - 具体例を聞くことで、少しずつ話の粒度を細かく
        - 例えば?他には?逆にしていないのは?
    - 理由をしつこく聞く
    - 自信なさげな言葉を拾う
    - 行動を起こさなかったことも行動として深掘りする 192
- 考察のチェックポイント 222
    - 機会探索における考察
        - 状況を踏まえ適切な探索範囲を認識
        - 親和図法を用いて分析し解釈する
        - 個人ごとの分析と、全体での分析とを組み合わせる 210
            - 個人ごとの分析から仮説を得て、全体についても言えるかどうかを確認
            - 全体の分析から仮説を得て、個人ごとの分析と矛盾しないか確認
        - 創造的な解釈を行いながら、論理的な説明を組み上げる
    - タスク分析における考察
        - 人々の行動や思考とその流れを把握する
        - タスクの階層構造を意識し、記述の粒度をなるべく揃える
        - カスタマージャーニーマップなどで可視化しながら分析する
    - 仮説検証における考察
        - 仮説の正しさを検証し、改善のヒントを見つける
        - 回答の内容を考慮して、仮説の肯定・否定を検討する
    - 報告と共有
        - なるべく素早く、わかりやすい言葉や図を用いて表現し、報告する
- 報告の形式 234
    - 生の声を活かすと読む人に現実味が伝わる 238

ユーザーニーズを理解する手法を学ぶ - 「はじめてのUXリサーチ」読んだ

最近、ユーザーのニーズを理解して定性的な意見から施策の優先度をちゃんと決められるようになりたいと思っている。そこでUXリサーチについて学習しようと決めた。そこでまずは「はじめてのUXリサーチ」を読んだ。

この本では質的リサーチの方法について、さわりの部分を全体的に学べる。何もわからないところからの入門として最適だと感じた。特にいろんな事例を交えて説明してくれることがありがたい。

個人的に印象に残ったのは以下の点。

  • UXリサーチには「何を解くと良いか、正しい問いを立てるため」の探索のリサーチと、「どのように解くと良いか、正しい解決策を作るため」の検証のリサーチがある。この二つは目的や状況に応じて使い分けたり、組み合わせたりする必要がある
  • インタビューなどで質的リサーチを入れることで、数値分析などの量的リサーチの仮説も妥当性の高いものになる
    • 気づき: 確かに量的リサーチをするときは、仮説立案段階ではある程度主観で決めるしかないのだが、その参考になるというのは良いと感じた
  • UXリサーチを行う前準備として、調査結果がどのようにプロジェクトで活用されていくかを明確にイメージしておくと良い
    • どのような意思決定を起こしてもらうことで、どのようにプロジェクトが前進するか
    • そのために、UXリサーチの「どのような結果」が「どのように共有される」と良いか?
    • 気づき: まずは報告の形式を考えるところから始めるのは確かに良さそう。ブログを書くときも「誰にどのような読後感を持ってもらうか」を先に考える方が良い記事ができるが、それに似ていると感じた

そのほかインタビューの具体的な質問の作り方、当日の進め方、インタビューテクニック、インタビュー後の分析手法などが解説されていて、実際にリサーチを行うときに参考になりそうな内容がたくさんあった。ユーザーのニーズを探す方法を知りたい人はPM・デザイナー・エンジニア問わず一度読んでみると良いと感じる。

読書ノート

- UXリサーチは探索と検証の2つ 32 ⭐️
- インタビューなどで質的リサーチを入れることで、量的リサーチの仮説も妥当性の高いものになる 26 ⭐️
- UXリサーチをするときは、ユーザーの生活や考え方を理解する時間も取る 26
    - ユーザーはどういう人なのか、どのようにサービスを使っているのか、どういう利用状況にいるのか
- 質的リサーチと量的リサーチを使い分ける 34
    - 質的リサーチはユーザーの考えを知れるが、量的にどの程度起こっているか分からない。たとえばうんざりしているというのが100人に1人しか起こっていないかもしれない
    - 量的リサーチは、どこで、何が、どの量で起こっているか調べられる。しかしなぜそのようなことが起きたかは分かりにくい
- UXを時間軸で考えると、サービスの利用前、利用中、利用後、利用全体の4種類の期間がある 38
- UXリサーチの対象は抽象軸と時間軸の2つの掛け合わせでマトリクスに整理できる 40
- UXリサーチを行う前準備として、調査結果がどのようにプロジェクトで活用されていくかを明確にイメージしておくと良い 82
    - どのような意思決定を起こしてもらうことで、どのようにプロジェクトが前進するか
    - そのために、UXリサーチの「どのような結果」が「どのように共有される」と良いか?
- 共有形式については、調査・分析に同席してもらう、レポートにまとめて共有する、調査結果を活用するワークショップをするの3パターンがある 83
- インタビュー当日のガイドを作るときは、調査の前後の流れまで含めてまとめておくと良い 92
    - どのように調査協力者を迎えるのか、最初の挨拶はどうするのか、謝礼をご案内するタイミング、最後にお見送りする時はどうするかなど
- UX調査企画書のテンプレート 95 ⭐️
- UXリサーチの手法 102
- インタビューの質問項目の作り方 105
    - あらかじめ立てた問いを明らかにするために、質問を思いつく限り書き出す。ひとつの質問を思いついたら5W3Hの観点でさらに広げる。そもそもどういう人なのか、どういう生活をしている人なのかなどの趣味嗜好や生活を理解する質問も入れる
    - 質問項目を分類してトピック名をつける
    - トピック名から優先順位を決める
- ユーザーインタビューの序盤・中盤・終盤の流れ 111
- インタビューテクニック 112
- KA法による質的データの分析 138
    - 元データの参照番号を書く
- UXリサーチを導入するには、引き込みたい相手の視点から語り、UXリサーチと言う単語を使わない 158
    - 事業上にxxと言う課題があり、それを解決するにはxxを明らかにする必要がある(からUXリサーチを活用する)

データ分析の基本の因果推論を学ぶため、「原因と結果の経済学」を読んだ

データ分析をやっていると、ある施策の効果検証をすることが多い。効果検証では、ある施策Aが仮説通りにある指標Bを変化させられたのかを検証したい。これはつまり「ある施策Aの実施」と「ある指標B」が因果関係にあるかを推論したいと言い換えられる。

このことからデータ分析をするには、因果推論の技術の習得が基本であると考え、「原因と結果」の経済学という本を読んだ。

この本は評価が非常に高かったのだけれど、その評価に違わず因果推論の技術の入門に最適だった。明示的にデータ分析担当にならなくてもエンジニアはデータを見る機会が多いので、その解釈を間違えないように読んでおくと良いと感じた。

たとえば印象に残った部分だと以下の話があった。

  • 因果関係の存在を証明するためには、原因が起こったという「事実」における結果と、原因が起こらなかったという「反事実」における結果の二つの結果を比較する必要がある
    • しかし反事実の確認はタイムマシンがなければできないため、もっともらしい値で穴埋めする方法を考えなければならない
    • もっともらしい値を出すためには、因果推論したい「原因」以外の条件が揃ったもう一つの比較可能なグループを作る必要がある
    • すべての因果推論の技術は、この比較可能なグループを作ることを目的としている
  • 因果関係を確認するためには、3つのチェックポイントを確認する必要がある
    • 全くの偶然ではないか、交絡因子が存在しないか、逆の因果関係ではないか
  • ある実験をした前後での比較は因果関係を明らかにすることはできない
    • 時間とともに起こる自然な変化 = トレンドの影響を考慮できない
    • 平均への回帰(= 極端な値をとったあとは徐々にいつもの水準に近づいていく)に対処できない

このあたりの話をベースとして、比較可能なグループを作りだす因果推論の手法について1つずつ解説してくれる構成になっているため理解しやすかった。たとえば手法としてランダム化比較試験、差の差分析、マッチング法などを教えてくれる。

このように非常に短いページ数で、因果推論の基本を教えてくれるのでおすすめだ。データ分析担当になった人はもちろん、エンジニアやPMなどもさっと目を通すと参考になりそうだ。

読書ノート

- 因果関係を確認する3つのチェックポイント 29
    - まったくの偶然ではないか
        - 例: 地球の温暖化が進むと海賊の数が減る
    - 第3の変数(=交絡因子)は存在していないか
    - 逆の因果関係は存在していないか
- 因果関係の存在を証明するためには、以下二つの結果を比較する必要がある 41
    - 原因が起こったという「事実」における結果
    - 原因が起こらなかったという「反事実」における結果
        - 反事実 = 仮に〜しなかったらどうなっていたか
    - 反事実はタイムマシンがないと確認できないため、もっともらしい値で穴埋めする方法を考えなければならない
- 穴埋めをするには、比較可能なグループを見つける必要がある 50
    - 例: 売り上げに影響しそうなすべての特徴が似通っていて、2つのグループの唯一の違いは「広告を出したかどうか」だけなら、比較可能
- 因果関係を明らかにするための方法は、全て「比較可能なグループを作り出し、反事実をもっともらしい値で置き換える」ことをしている 53 ⭐️
- 因果関係を証明する方法: ランダム化比較試験 80
    - 対象となる人々を、乱数表などで介入群(事実)と対照群(反事実)にランダムに割り付ける
- 因果関係を証明する方法: 自然実験 96
    - 対象となる人々が、制度の変更、自然災害などの「外生的なショック」によって、介入群と対照群に自然に分かれてしまったという状況を利用する
    - 観察データから「あたかも人為的な実験が行われたかのような」状況を見出す
- ある実験をした前後での比較は因果関係を明らかにすることはできない 106
    - 時間とともに起こる自然な変化 = トレンドの影響を考慮できない
    - 平均への回帰(= 極端な値をとったあとは徐々にいつもの水準に近づいていく)に対処できない
- 因果関係を証明する方法: 差の差分析 102
    - 介入群と対照群において、介入前後の結果の差の、さらに差を見て因果効果を判定する方法。ただし元々のトレンドが同じ、介入のタイミングで別の変化が起きていないという2つの前提条件あり
    - 使える前提条件
        - イベントの前のトレンドが平行である 114
        - 指標に影響を与える「別の変化」が起きていない 117
            - 例: Aにだけ指標に影響を与えるドラマが放映されていた
- 因果関係を証明する方法: 操作変数法 138
    - 「原因に影響を与えることを通じてしか結果に影響を与えない」という操作変数を用いて、介入群と対照群を比較可能にする。前提条件は2つで、操作変数が原因には影響を与えるが結果には直接影響しない、操作変数と結果の両方に影響する第4の変数が存在しないこと
- 因果関係を証明する方法: 回帰不連続デザイン 155
    - 恣意的に決定されたカットオフ値の両サイドで、介入群と対照群が分かれる状況を利用する。前提条件は、カットオフ値の周辺で結果に影響を与える他のイベントが起きていないこと
    - 例: 従業員が50人を超えた店舗でだけ広告を出せるケース
- 因果関係を証明する方法: マッチング法 175
    - 結果に影響を与えるような共変量を用いて、対照群の中から、介入群によく似たサンプルをマッチさせて比較する。複数の共変量があるなら、それらをまとめたスコア(=プロペンシティ・スコア・マッチング)を使うこともある。マッチングが成り立つ条件は、結果に影響を与えるような共変量が全て観察可能であること
- 因果関係を証明する方法: 回帰分析 182
    - 原因と結果に最適な線を引くことで、因果効果を推定する。ただし交絡因子が存在していないことが条件
    - 交絡因子が似ている人の中で、回帰分析を行うと影響を取り除ける = 重回帰分析
        - 飲酒と肺がんの因果関係を見つけたい -> 喫煙量が同じ人の中で飲酒量が多い人と少ない人を比較し、肺がんのリスクが異なるかどうかを調べる
        - ただし中間変数を取り除くと本来の影響を過小評価してしまうので注意 191
- 因果推論のステップ 196 ⭐️
    - 1. 原因と結果を明確に定義する
        - 原因として広告をとっても、広告料なのか、掲載面積なのか、もしくは単に出したかどうかなのか
        - 結果として売上でも、売上高なのか営業利益なのか
    - 2. 3つのチェックポイントの確認
        - 全くの偶然ではないか、交絡因子が存在しないか、逆の因果関係ではないか
    - 3. もっともらしい値を使い、反事実を作り出す
        - 広告を出した時と比較するため、広告を出さなかった時という反事実を、もっともらしい値を使って作りだす
        - 手法は書籍で紹介されたもの