組織関連の興味の一貫として、「学習する組織」を読んだ。
この本は組織の学習能力に影響を与える五つの重要なコンセプトについて教えてくれる本。特に副題となっている、システム思考という考えを重点的に教えてくれる。600ページ近くある本で読み切るのは結構大変な感じではあった。
読んでみたら、まず最初20%の、なぜチームの学習障害は発生するのかを具体的にビールゲームという話題で教えてくれる部分と、システム思考の話は非常に面白かった。この二つは自分に新しい視点を与えてくれた。この部分を読むのはおすすめ。
一方で、それ以降は結構難解で抽象的なので、自分はいまいち分からないなという感想を抱いた。なので最初20%くらいはちゃんと読んでたけど、流し読みという感じにはなった。後半部分は人を選びそうだった。
この本の中で僕が面白いと思ったのは、構造が人間の行動を決定し、同じ構造なら別の人に変えても同じような結果になりやすいという話。確かにある問題を対処しようと細かい対策をしても全く変わらなかったものが、チームのコミュニケーションの流れを少し調整したり、組織構造を調整したりと全体を見て調整をすることで、今まで全く解決しなかった問題が劇的に改善することがあるので、この話は面白いなと思う。
構造が人間の行動を決定するというのがあるので、ある問題が起こった時、その間近だけ見ていては問題が起こる理由が分からないことがある。そのためにシステム思考という考え方で、その問題を根本的に起こしている構造を明らかにすることが大事だと書かれていた。システム思考自体の考え方は説明が難しいので本を読んでもらうと良さそう。
読書メモ
- 学習する組織とは、目的を達成する能力を効果的に延ばし続ける組織であり、その目的は皆が望む未来の創造 10
- チームの中核的な学習能力 223
- 志の育成: 自己マスタリー、共有ビジョン
- 内生的な会話の展開: メンタルモデル、ダイアログ
- 複雑製の理解: システム思考
- 学習する組織にするための五つの要素技術 428
- システム思考
- 自己マスタリー
- メンタルモデル
- 共有ビジョン
- チーム学習
- 七つの学習障害 726
- 私の仕事は○○だから: 組織内の人たちが自分の職務にだけ焦点を当てていると、すべての職務が相互に作用した時に生み出される結果に責任をほとんどもたない
- 悪いのはあちら
- 先制攻撃の幻想
- 出来事への執着
- ゆでガエルの寓話
- 「経験から学ぶ」という妄想: 最善の学習は経験を通じた学習だが、もっとも重要な意思決定がもたらす結果を直接には経験できないことが多い
- 経営陣の神話
- ビール・ゲームの教訓 1182
- 構造が挙動に影響を与える: 人が替わっても、同一の構造の中では定性的に同じような結果を生み出す傾向がある
- 人間のシステムにおける構造はとらえにくい
- レバレッジは往々にして新しい考え方によってもたらされる
- 構造が挙動に影響を与える 1248 ※
- 重要な問題を理解するためには個人の間違いや不運を超えた見方をしなければならない。個々の行動を形作り、ある種の出来事が起こりやすい状況を作り出している、根底にある構造に目を向けなければならない
- 大半の人は、自分の仕事をシステムの残りの部分と切り離して、「自分の役をうまくやること」が自分の仕事だと考える。必要なのは、その役がより大きなシステムとどのように相互作用しているかを理解すること 1392
- 自分が行動することで、「外的要因」ととらえている諸変数に影響を与えていることを忘れてはいけない 1406
- 学習障害とビール・ゲーム 1448
- なぜ構造の説明が非常に重要かというと、それをもってしか、挙動パターンそのものを変えられるレベルで、挙動の根底にある原因に対処することができないからだ。構造が挙動を生み出すゆえに、根底にある構造を変えることで異なる挙動パターンを生み出すことが出来る 1494
- フィードバック・ループ図 1911
- フィードバック・プロセスには、自己強化型とバランス型の二つの異なった型がある 1982
- 多くのフィードバック・プロセスには「遅れ」が伴い、徐々に行動の結果をもたらす「影響の流れ」を中断させる 1982
- システム原型1: 成長の限界 2280
- システム原型2: 問題のすり替わり 2439
- ビジョンは共有されるプロセスが重要。組織中のあらゆる人々の個人ビジョンと結びつかないといけない 4505