投資を勉強シリーズで「敗者のゲーム」を読んだ。第6版が直前に出てたので、ミスって第5版買ってしまった。
この本は、過去の市場の統計情報に基づいて、市場原理について教えてくれる本。この本を読んでも、資産運用の実際の方法を学ぶことは出来ないが、他の本がなぜその資産運用の方法を提案しているのか、他の本は本当に正しいのかを判断するための基礎知識を学ぶことができる。読むのは少し時間がかかるが、非常にためになる本だった。
いつもどおり心に残った部分をまとめていく。
- 市場の成長率には殆ど勝てない
- リスク許容度と資産配分
- 一般的に投資家はバックミラーを見て運転する
市場の成長率には殆ど勝てない
この本によると、投資家は市場の成長率に勝とうとするが、これまでの歴史を振り返るとほとんどの投資家(長い目で見ると75%以上)は市場の成長に打ち勝つような運用はできていないらしい。また、投資家の90%以上はプロであることを考えると、個人投資家は市場の平均にかつような運用は殆どできないと考えられる。それは個人の投資家では企業と比べて情報量やノウハウが全然違ってしまうためだ。
市場の成長率に殆ど勝てないのであれば、個人投資家は長期投資の目的やリスク許容度をきちんと決め、市場の成長率に準ずるように分散投資するのが良いとされている。つまりポートフォリオを決めた上でインデックスファンドを利用することを薦めている。
このことは非常に納得できた。そもそも統計的に半分以上が負けるなら、個人でかつ専門ではない分野で勝てると思わないようにしたい。
リスク許容度と資産配分
個人で資産運用をする際に考える重要な項目は「リスク」であると書かれていた。では「リスク」とは何か。
リスクとはこの本の中では以下のように書かれている。
リスクの本質的な意味は単純である。資金が本当に必要な時に、手元に存在しないことだ
またこのリスクを考えた上で、リスク許容度とは「市場の極端な暴落期において、どこまで耐えられるか」を考えると良いとされている。つまり資金が本当に必要な時に市場が大暴落していたとしても、必要な資金は得られるというのを最低条件として、リスク許容度を決めていくと良いのだろう。
リスク許容度が決まると、それに従った資産配分が決まってくる。株式と債権とキャッシュの比率などを決められる。ちなみに一番最小のコストで、運用成績に一番最大の効果を出すのは、株式・債権等の資産配分比率の策定の段階であると書かれているので、資産配分の比率を決めるのは大切である。
上記のように考えると、資産運用をどのように考えるか少しずつ見えてくる。
まずは「資金が本当に必要な時」はいつかを考えておくことが重要そうだ。生きている中で、平均的な生涯の必要資金や、大きい支出がいつ発生するかなどをある程度調べておくと良さそうに見える。
大きな支出が発生したときにどのくらい資金があれば良いかさえ分かれば、どこまでをリスク資産にふっても良いかなどが見えてくる。そうすれば株式にどのくらい、債権にどのくらいなどといった資産配分比率が決まってくるということのようだ。
そうはいっても、資産運用を始めたことがないうちから、ポートフォリオをきちんと決めるのは難しいなとも思った。なので、最初は他の本に書かれているような商品を利用して資産運用を始めてみて、一年くらいの頻度でポートフォリオの設計がこれでいいのかというのを見直すというようにしていきたいと感じた。
一般的に投資家はバックミラーを見て運転する
この本の中に、
一般的に投資家は、バックミラーを見て運転するように、上げ相場ではさらに上昇を見込み、下げ相場ではさらなる下落の力が働くと考えがちだ
と書かれている。自分でちょっとだけ商品を買ってみると、確かに最初は数百円の変化でも気になったりするので、これが大高騰時や大暴落時にはパニック的にそういうふうに考えてしまうのだろうと思った。
実際には平均への回帰という原則が働くので、平均から離れるほど平均へ戻っていく。つまり上がれば上がるほど下がる力が強くなるし、下がれば下がるほど上がる力が強くなる。そうすると、平均より下がっているときはむしろ買ったほうが良く、平均より上がっているときはむしろ売ったほうが良いのだが、投資家はその逆を行ってしまう。
きちんとしたポートフォリオ設計をせずに、相場の上がり下がりに一喜一憂しているとこのような考え方に縛られてしまうことになる。パニックにならないためにも、ポートフォリオ設計をきちんとして、徐々に積み立てていくという戦略をとっていきたい。
まとめ
投資の勉強をするために、「敗者のゲーム」を読んだ。この本から得た知識を元に、市場の変化や周りの意見にあまり惑わされずに資産運用をできたらなと思う。
この本で言及されていた「ウォール街のランダムウォーカー」も気になったので読んでみたい。