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クラスター株式会社のソフトウェアエンジニアです。エンジニアリングや読書などについて書いています。

「なんかいいよね」禁止。 - 「広告コピーってこう書くんだ!読本」を読んだ

「なんかいいよね」禁止。 - 「広告コピーってこう書くんだ!読本」を読んだ

前回「クジラは潮を吹いていた」を読んだ - $shibayu36->blog;で、デザイナがどう思ってるのかもっと知りたいと思ってるって話をしたのだけど、それと同様に企画って何を考えているんだろうをもっと知りたくて、今回は同僚におすすめされた「広告コピーってこう書くんだ!読本」を読んだ。

この本はYonda?などのキャッチコピーを書いた谷山雅計さんが、キャッチコピーを作るための秘訣について平易な文章で教えてくれるという感じの本だった。企画的な心理が知りたいと思っていて読んだのでそういう面も非常に面白かったのだけど、立ち返って自分の職種にも適用できるような良い言葉がたくさんあり、非常に面白かった。


今回も心に残ったところについて書いていく。

  • 100本作る
  • 「書き手」から「受け手」へ
  • 「なんかいいよね」禁止。

100本作る

この本の中に、目安として一つの課題につきキャッチコピーを100本作るのが目安と書いてあった。100本作るって結構大変そうに思えるけど、それでも特に最初の方はそうしたほうが良いと書かれている。

これは根性論で言っているわけではなく理由は明確にあり、コピーを書くときは

散らかす -> 選ぶ -> 磨く

という流れで行ったほうが良く、何も考えずにやってしまうと最初から磨こうとしてしまい、いろんな切り口で物事を考えられなくなってしまうことが多いということらしい。


これはなるほど企画的と感じた。今回はキャッチコピーの話ではあるけど、Webサービスで新企画を考えるときもまずは散らかすという作業をせずに、さて良い物を考えようとなりがちな気がする。そうではなくてまずは付箋にこれからやりたいことに関するアイデアを100個くらい書いてみて、それを元に選んでいき、さらにブラッシュアップしてみるとしてみたほうが良い企画が生まれるのではないかと感じた。

「書き手」から「受け手」へ

この本の中に、キャッチコピーを作る時に、すごくいい作品を作った時にそこでやったいいものが書けた!となってしまう事が多いけど、そこで立ち返ってそれを見る人の観点で考えてみると、あれ微妙じゃないってなることがあると書かれていた。つまり「書き手」にとってすごく良いというものは、総じて「受け手」にとっても良いものではないので、注意する必要がある、書いた後に一度引いて検討する必要がある、ということだ。


これもなんか自分でWebサービスを作っていると、あー同じ所があるなと感じることが多い。例えばたまにこれは良い機能を作ったぞ!って感じることがあってそのままリリースしてみるんだけど、結局その機能はまったくユーザに届かなかったり、これは絶対使いやすいUIだろうと思ってもそのUIには非難が集まったりということがある。これは結局「作り手」には良いが、「使い手」には良くなかったという例だと思っていて、ここはキャッチコピーと似たところがあるなと感じた。


今後、何かを作る時書く時などは「受け手」の方に一度立場を移してみて考えるということを心がけたいと感じた。

「なんかいいよね」禁止。

さてこの本のなかで僕が一番印象に残ったのは「なんかいいよね」禁止。という章と、最後に「繰り返すことができる」がプロという章である。この本は「なんかいいよね」禁止。という章から始まり、「繰り返すことができる」がプロという章で終わる。


まず「なんかいいよね」禁止。という章の方から。著者は、良いキャッチコピーを考えるのはセンスという部分はあるが考える体質を作ることのほうが大事、と言っている。そのため、「なんかいいよね」じゃあこれで行こうという話で終わってしまうと、そこで思考がストップしてしまい、考えることをしなくなり、それでは考える体質を作ることが出来ない。なので毎回なぜいいのかを考える癖を付けたほうが良いと書かれている。

なぜそうしたほうがいいのか。その答えが僕は「繰り返すことができる」がプロという章に書かれていると感じた。

「繰り返すことができる」がプロという章には次のようなことが書かれている。キャッチコピーという職業はまれに大阪のおばちゃんの方が良い(もしくは面白い)キャッチコピーを作ることがある。でもそれでも僕がプロを名乗っているのは、一定レベル以上の良いキャッチコピーを繰り返し作ることができるからだ。


この二つの章、本当に印象に残っている。どんなプロでも自分の専門分野では一定のレベル以上のものを繰り返せるということが本当に重要であると僕は感じた。また繰り返すためには、確かに良い物を作れる理由を理解しておく必要があり、理解するためになぜそれが出来たのかを常に考える必要がある。そのため、「なんかいいよね」を禁止し、常にどうしてそれをいいと思ったのかについて考える癖をつけるというのは非常に大切だと感じた。

これまで自分の悪い癖を考えてみると、このコードはなんか美しいいいじゃんとか、このUIはなんか使いやすいからいいじゃんと考えてしまっていた。もっと自分で「なんかいいな」とか「なんかいやだな」と感じた時に、なぜそうなのかを考えることをもっとしていきたいと感じた。

まとめ

今回の本は企画の観点について知るためにさらっと読みたいと思ってた本だったが、思った以上に自分の職種にも役に立つことが書かれていて非常に面白かった。おすすめ。

他にも以下のような本をおすすめされたので、読んでみたいと思う。